4話
更新今は早いですけどそのうち週一になりますよー
「よし俊行くぞー」
「悪い悪い遅れちまった」
「珍しいな。俊が寝坊だなんて」
「ちょっと出かけてたんだよ」
昨日も遅くまで柳家の島にいたからなー。しかも最近は誠一とも手合わせしたりするし余計に疲れる。昨日なんて親子で俺と手合わせしたりしな。俺の仮説の検証のために2人とも銃は使わず術のみで行った。やっぱり誠一は強かった。術の扱いが上手いのだ。自分の隙を神弾でフォローしたり感知型の術、つまり罠を設置してこっちに隙が出来るのを待ってもいた。もちろん保有神力も多いから持久力もある。
「そっかー。というかまゆちゃんのライブまたないかなー。前のは中止になったし。はぁー」
「それなら来月やるみたいだぞ」
「えっマジ!」
これは本人からの情報なので間違いではない。昨日の手合わせの時に彼女が口にしてたのだ。
「てかなんで俊が知ってんだよ?まさか嘘か?」
「本当だ。ツテがあるんだよ。ちなみにそのツテが今日の寝坊の原因だ」
「おぉ!なにそれ俺も欲しいわー」
「生きてればそのうち出来るだろ」
「高校生でそんなツテは出来ねーよ」
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「俊さん」
「おぉ真夢か」
で真夢のライブの話を涼と話しつつ、学校に着くと本人がいた。
「うぉぉぉ!?まゆちゃん!?てかなんで俊に!?しかもさん付け!?」
涼がうるさい。まぁ知らん人からしたら俺がまゆちゃん怒らせたのを見てるから驚きだろうけれどさ。
「あのっ今日の夜討伐に初めて私が出るんです。その…」
「監督者としてついてきて欲しいと?」
「うぅ…そうです。駄目ですか?」
「いや構わないけど」
構わないけどね。ただ人前でこの状態を見せ続けるのはマズイ。国民的アイドルが平凡な高校生に怯え、敬語を使っている。もうこんなのがファンに知られたら俺もマズイぞ。
「なら夜に島に行くから待ってろ」
「はっはい!」
それだけ言うと真夢は俺から離れていった。
「おい!お前まゆちゃんのなんなんだよ!」
はい早速きました。うんまぁわかってたけどさ。
「いや何という知り合い?」
「お前みたいなやつとか?でも例え本当だとしてもお前に怯える必要はないじゃないか!あれはどう見ても怯えてたぞ!まさかお前…」
なんか目の前の男が勝手に暴走しつつある。このままじゃ俺犯罪者扱いされかねんぞ。
「落ち着けって。そもそもおれは前に彼女の危険を偶々助けたことがあって、それ以来向こうの親から感謝されまくりなんだよ。でお前も一か月くらいに彼女が俺に怒ったことがあっただろ?彼女は俺を忘れてたらしくてな。でその件を知った彼女の親は激怒したんだよ。彼女はそれがあって俺を怯えてるわけなんだよ」
まぁところどころ嘘があるがほぼほぼ間違いでもない。
「いや確かにその件は聞いたけど…」
キーンコーンカーンコーン
「ホームルーム始まりますよ?一応言っときますけど彼女に何かする気はないのでどうぞご自由に」
俺はその場から去る。こういう時は逃げるのが1番だ。変に目をつけられたらヤバイしな。
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「あの…今日はよろしくお願いします!」
「おう。というかもう敬語使わなくていいぞ?」
「あっ…ごっごめんなさい」
うーん重症だな。これは少しばかしやり過ぎたかもしれんな。まぁキツイといえばキツイけど別に俺のように魔境に放置されて、三日三晩戦ったわけでもないんだけどなー。
「まぁ今はいいか。で誠一は?」
「パパは今日は討伐に出てます。俊さんの保有神力向上方法の成果を試すそうです」
「そうかなら行くとするか。場所はどこだ?」
「秋田です。なんでも鬼が出たそうなんです。それで付近の神主では待機できないそうなんで俊さんの依頼ついでに私の初討伐もという感じです」
「わかった。で服はそれで行くのか?」
彼女の服は巫女服のようだった。もちろん赤と白の二色のありきたりなものではない。たくさんの色を使い、芸術品のような印象のある服だった。
「はい、これにはさまざまな神力付与がされていて術の神力消費を抑えたり、威力を増大したり。他にも強い衝撃が加わると鋼のように硬くなり鎧のようになるんです。えっと…変えた方がいいですか?」
「いや構わない。さて移動はどうするんだ?」
「はっはい。あのそこでお願いなんですが…俊様の魔法で秋田まで転移してくれませんか?……やっやっぱりだめですよねすみませんすみませんすみません」
彼女はひたすら謝り続ける。頭振り過ぎてテレビから出でくる某幽霊さんみたいになっている。
「大丈夫だから落ち着け。別に減るもんじゃないしな」
「あっありがとうございます!」
「よしじゃあ行くぞ」
その言葉を掛け声に俺は秋田へと飛んだ。
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「ここは…空港ですか?」
「転移は俺が行ったところに限定されるからな。でどこに鬼はいるんだ?」
「えっとここから西にある山村です。俊さんは何か移動手段でも…」
「走る」
「へ?」
「走るんだよ。あの山だろ?」
俺は目の前の山を指差す。
「そうですけどここからは距離が…」
「ヨイショと」
俺は真夢をお姫様抱っこする。そして山へ全力疾走する。勇者で人外な力を持つ俺ならはるか先の山でも一瞬だ。あとは山村まで真夢をナビゲータにすればいい。
「キャァァァァァァァ」
真夢の声がどこまでも響き渡る。
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「ここか…」
確かにこれは雰囲気が違うな。というか目の前が悲惨すぎる。家屋は潰れている。まるで踏み潰されたように。
「おい真夢。鬼の大きさ……」
彼女は道に倒れていた。彼女の綺麗な服が汚れるのも御構い無しに。
「ちっ!俺が察知できない相手か!?くそどこにいやがる!」
「俊…さん……ちがい…ます…」
「喋るな!傷口は!?」
「あの……」
「くそマジで感知できないぞ!」
「あ「どこだ!どこにいるんだ!」
「どこに「俊さん!!」
「私はちょっと酔っただけです!」
…………俺の勘違い?
「あっそうなのか」
「そりゃいきなりお姫様抱っこで軽く車を超える速さで走られたらそうなります!」
「おっおうすまんすまん」
というかこいついつのまにか俺への怯えがなくなってるな。今だけかもしれないがそれでも順調だな。流石にあのままじゃ俺としてもいたたまれない。
「まぁとりあえず鬼退治といくか。でどこにいるんだ?」
「はっはい!基本的には洞窟に住んでいますね。でたまに村を襲いに外に出るんですけど。どうやらこの村にはもう来ないみたいですね…」
「ならちょっと探してみるか」
といっても簡単だ全方位に魔力を放出するだけ。でこれが何か生命体にぶつかると俺にわかるのだ。
「………………こっちの方向に2キロ」
「ッッッ!!そっちは麓の村の方向です!今ならまだ間に合うかもしれません!」
「よし!走るぞ!」
俺はまたしても彼女はお姫様抱っこして走りだす。
「キャアアアア!」
こだまが響いてるなー。
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「いました!あれが鬼です!」
そこにいたのは確かに鬼だった。ただパンツはあのシマシマの派手なものじゃなくて草を編んだだけのものだったが。大きさは10メートルくらいの化け物だった。
「撃ちます!俊さんはフォローを!」
そう言うと真夢はあのガトリングガンを出し、撃ち始めた。保有神力が増えたからか威力も大きくなってきているように思える。ただ初戦は弾幕を張るだけの銃。威力はそこまで高くない。鬼の皮膚を貫くことは出来てなかった。
鬼も身体に当たる銃弾で俺たちの存在に気づいたらしい。見た目に似合わないような速度で真夢に迫る。
「グワァァァ!?」
まぁもちろん近寄らせないけどな?援護をするのが俺の役目だし。とりあえずファイアーボールで鬼を牽制する。
その間に真夢も武器を取り替えていた。彼女が持っていたのは携帯式ミサイルだった。巫女服の女がミサイルを肩に乗せてる姿を見る機会なんて滅多にないな。目に焼き付けないと。
そうこうしてるとミサイルが次々と鬼に向かっていく。鬼も逃げるがミサイルは追尾する。そして鬼の必死の回避も虚しく次々と被弾してく。
ただ驚いたことに鬼は未だ倒れてはなかった。ボロボロだがまだ戦えるようだ。鬼は真夢を叩きつけるように手を振り下ろす。
「残念だったな」
俺は振り下ろしてくる腕を剣で薄い輪切りにしてやった。
「これで最後です!」
真夢はボロボロの鬼に再度ミサイルを放った。鬼は腕を失ったことで身体のバランスをとりづらくなり、逃げることもなかった。
そして鬼は次々と被弾し、最終的には動くなった。
「よしこれで討伐終了だ。怪我はないか?」
「はっはいだ以上だす!」
だすってなんだよ。やっぱり重症だ。重症すぎる。マジでどうするかなー。
「そっそれより俊さんはは剣だけで戦ってたじゃないですか!お怪我はないんですか!?」
「あんくらい余裕だ」
「そっそうですか…俊さんのお強さを改めて感じましたよ…」
「まぁ最強というつもりはないがそれなりに強いぞ」
まぁ勇者だしな。魔王倒した勇者なんてほとんど最強と言っても間違いないだろう。
「そっそのなんで俊さんは遠距離武器を使わないんですか?剣とかじゃあ危なくないですか?」
彼女はビクビクしながら聞いてくる。多分俺が自分の戦い方を否定されて怒るとでも思ってるのだろう。
「別に怒らんからそんなビクビクするな。そうだな…簡単に言うと俺のスペックについてくるような遠距離武器がないんだよ」
「銃もですか?」
「そう。そもそも人類がなぜ銃を使うかわかるか?」
「安全な位置から攻撃出来るから?」
「そうだなそれも1つだな。ただそれは相手が銃を持ってたらその優位性は失われる。他には?」
「威力が高いとかたくさん攻撃できるとかでっですか?」
「そうだな。俺も銃のメリットはそれだと思う。だがな俺はそれよりも高い威力の攻撃ができ、なおかつ銃を超える速さでそれが出来る。これなら遠距離武器を使う必要性は無いだろう?」
そう。これが異世界で銃が使われなかった1番の理由だ。ある程度の強さになると銃よりも威力のある攻撃もできて、なおかつ攻撃のスピードも速かった。俺も一時期試行錯誤で開発して使ったが、銃口の方向に出ると分かれば簡単に避けられてしまうか、単純に結界で止められる。つまり異世界のスペックが想像以上に高かったのだ。
「さて、じゃあこの鬼はどうするんだ?」
「はっはい、『除魔の術』」
すると鬼が光の粒子となって、鬼のいた場所には異世界でよく見たあれに似ていた。
「魔石?」
「いえ、これは神石です。これは簡単にいうと神力を溜める蓄電器ですね」
「魔石の神力バージョンてとこか」
「俊さんの異世界にもこのようなものが?」
「おう。ちなみにそれはどうやって使うんだ?」
「非常用の神力として使いますね。戦っている時に神力が無かったら危険ですからね」
まぁ魔道具みたいなものは既に科学の分野で作られてるから意味ないしそんなもんか。
「よし、じゃあ帰るとするか」
「はっはい!」