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1話

お久しぶりです。新作作りました。更新速度は一週間に一話ぐらいです。

「何故だ……。くっまさかこれほどだったとは…あの時に始末しておけばよかったか」


「たしかにそうだな。でもそれもまた運命。じゃあこれでおしまいだ」




------------------------




「佐藤俊よ、我が世界を救ってくれて感謝する」


目の前には50代くらいの男がいる。見た目は人間ではあるが彼は人間ではない。


「まぁ異世界転移なんてすごい経験でしたしね。こっちがお礼したいくらいですよ」


「そうか?しかしそなたとてそれなりの苦労もあっただろう?」


「あーまぁないとは言えないですけどそれでも楽しいという気持ちが強かったですしね」


「それならいいのだ。そしてこうして私の願いを無事完遂した君には2つの選択肢がある。1つ目はこの世界にとどまる。2つ目は地球に戻る。前者なら君は今回の魔王討伐で得た地位と名誉で遊んで暮らせるだろう。後者はそなたが転移した直後からのスタート。つまり転移しなかった場合の人生を送れる。もちろん異世界の記憶とかは残るぞ。ただ後者では充分に魔法は使えんだろうな」


確かに地球では魔法なんてなかった。実際にはあったのかもしれないが俺は見たことはない。つまり魔法というのは少なくとも一般的ではないのが確かなのである。そんなところで魔法なんか使ったら国家権力の注目の的になるだろう。


「そうですね…」


「そなたの好きに決めるが良い。そなたの人生なのだからな」


「では戻ります」


俺としては異世界にたくさんの友人は出来たけど、やはりこの世界は命が軽い。もしかしたら俺も殺されるかもしれない。それも踏まえるとやっぱり故郷の地球への想いのほうが強かった。


「ふむ、では送るぞ」


「ふぇ?もうですか!?」


「うむ。わしもそこまで暇じゃなあからのう。さらばだ!」


その言葉と共に俺の足元に魔法陣が浮かび上がり俺の身体は故郷の世界へと戻っていった。


「……少し寂しくなるな。しかし我は神だ。そなたの力に頼らずともこの世界を元どおりにしてみせるぞ」


神は荒廃した世界を見下ろして再度決心した。





------------------------




あれから2年が経った。異世界転移という夢物語のような出来事からだ。最初は久しぶりの地球での生活でけっこうヘマしたが今ではごく普通の高校生活を送っている。


「おーい俊!学校行こうぜー!」


「あいよー」


こいつは同級生の涼で幼稚園からずっと同じの幼なじみだ。


「ところでお前なんでそんな元気なんだ?いつもなら学校行きたくねー。眠いだの言ってるのに」


「当たり前だろ!今日はあのまゆちゃんのコンサートだぞ!?」


「誰だそれ?」


「え?」


涼は俺の言ってる言葉を理解出来ていないらしい。こいつは頭は良かったはずなんだけどな。


「何というかここまでくるとお前は男色なのかと疑っちまうよ。もしかして俺逃げたほうがいい!?」


涼は自分の尻を抑えながら後ずさる。

俺はとりあえず高速で涼の背後に回り頭をはたいておいた。


「うぉっ?いつの間に!相変わらずすごいな…なんかの武術か?なら教えてくれよ!なぁいいだろ!?」


「そんなもんじゃないって。ほら早く学校行くぞー」


俺は適当に返事をして誤魔化しておく。俺は異世界で勇者として何度も死線をくぐり抜けてきた。おかげでレベルも上がり、半ば人間というくくりから抜け出してるのだ。 とはいえそれがバレるわけにもいかないので現在はこうして適当なことを言って誤魔化している。


「それでえーとだれだっけ?えーとみゆ?」


「ちげーよ!まゆちゃんだよ!」


それからはずっと涼は俺に説明し続けた。なんでもそのまゆちゃんとやらはうちの学校の子らしい。今じゃアイドル界のスターだとか。


「ふーん、そんな奴いたのか?」


「ほんとお前興味のないことは何にも知らないよな…」


「生きてくのに必要ないからな」


涼のため息が聞こえた気がしたがそこは無視して俺は高校の校門を抜けていった。




「おい!あれって!!」


「間違いない!我らがまゆちゃんだ!!」


「うおおおお!制服姿初めてみたぁぁぁ!」


なんだこれは…。目の前に広がるのは廊下を埋め尽くさんばかりの人が1人の女子を囲んでいた。


「うおおおお!まゆちゃんだ!なんで!?今日ライブのはずなのに!?」


隣にいた涼も廊下を埋め尽くす集団の中に混ざっていく。どうやらあの真ん中で囲まれている女子がまゆちゃんらしい。俺が観察しているとこちらの視線に気づいたまゆちゃんは俺に近づいてくる。


「あなたも私の周りに集まりにきた人?それならこっちに来るのを許すわ」


何かと思ったらいきなりとんでもないことを言い放ってきた。俺の気のせいでなければアイドルというのはもっとこう…


「あなたごときが私と会話しているのだから緊張してしまってるのかしら?まぁいいわ」


あ、これうざいやつだな。異世界にもいたーなこんなやつ。勝手に実力見誤って、馬鹿みたいな推論をペラペラ言うやつ。まぁもちろんそんな奴らはもれなく返り討ちにしたがな。


「は?何言ってるんだ?誰がそんな野郎共の中に好んで入らなきゃいけないんだよ?」


「へ?」


突然の思いにも寄らない俺の言葉に顔の表情が固まってしまっている。ふむ、このままなら顔は美形だからいいんだけどな。そんなこと言ってたら彼女の顔はだんだんと憤怒の色に染まる。しかし彼女も周りに人がいるのは気にしてかすぐにおさめる。


「そっそうだったのね…なら私はこれで」


彼女は足早に去っていく。もちろんそれに合わせて周りの男たちも付いて行く。なんか蟻みたいだな…。


「お前なぁ…」


「知らんな。それより早く教室行くぞー」


「ちょっまっまってくれ!」


俺は涼を置いてとっとと教室に向かったのであった。




「というわけで………」


(はぁぁぁぁ〜ねむぅ〜)


現在は5時間目の日本史の授業である。ちなみに俺は魔法を使って記憶力を上げて、もはや俺は歩く教科書である。というわけで俺にとって日本史は知ってることを永遠と話され続けるだけの授業なってしまっている。


(んー眠すぎる……)


俺はだんだんと意識を手放し、先生の声をBGMに少しずつ意識を手放しつつあった。


「ガン!」


俺は俯きかけた頭を再びあげる。

突然の動きに周りがこちらを見て、びっくりしている。だが俺にとってその視線はどうでもいい。それよりも重要なのはこの学校で殺気を感じたことだ。この世界では初めて感じた。この世界の殺気なんて俺からしてみれば悪意、害意程度のものだった。しかしこれはそれとは全然違った。本当の殺意だ。


(どこからだ!?この殺意は…あそこからか!)


「先生!腹痛いのでトイレ行ってきます!」


「あっはい。どうぞ…」


俺はとりあえず適当に嘘をついて、殺意の発生元に全速力で向かった。




----------




「こちらアルファ。現在目標を視認」


「了解。そちらのタイミングに任せる」


しっかし今回の目標はイージだな。あのジャパニーズガールを殺るだけの仕事であの大金。どうやらそこそこの有名人らしいが俺には関係ねぇな。


「さて、じゃあそろそろ始めるか」


「何を始めるって?」


ビクッッ!!


俺はとっさに覗いていたスコープから目を外し、その場から急いで距離を取る。そして声の発生元に目をむけるとそいつはいた。


「……ガキか?」


「ガキと言われるほど子供でもないんだけどな」


俺の目の前にいるガキは生意気なことを言いながらこっちに近づいて来る。


「ちっ見られたからには仕方ねぇか…」


俺は暗殺者。依頼を受けたからには完璧にこなさないといけない。目撃証言なんてもっての他だ。俺は胸元にある拳銃で奴の脳天に銃弾をプレゼントした。


「余計な手間が増えたな。こいつはどうやって処理するかなー」


「気にしなくていいぞ。俺は自分で動ける」


パシュッ パシュッ パシュッ パシュッ スカッ


俺はガキに向けて弾切れまで打ち続けた。しかし無情にも聞こえるのは消音器による独特な射撃音だけ。

俺はすぐに相棒たる狙撃銃でガキに発砲する。


「問答無用で殺しにくるのか。まぁいい。とりあえず殺しはしないから安心しろ」


俺は今までの僅かな時間の出来事とその言葉で崩れた。


「くっ来るな!ジャパンにはバケモノがいるのか!?」


俺は逃げた。それしか考えれなかった。この業界で得た経験が全力で警報を鳴らしていた。あいつはヤバイ。逃げろ。

でもそれは俺の意識が失われることで途絶えてしまった。




----------




ビビったわー。話しかけたらいきなり撃ってくるなんてな。しかも狙撃銃を至近距離で。まぁとりあえず結界で防いだけどな。


「さてそろそろお話でも聞くか」


俺は水魔法で男に水弾を当て、強制的に起こす。


「ここは……」


「よう先ほどぶり」


「ッッッ!!」


男は俺の顔を見て恐怖で顔を覆った。必死に逃げようとするが俺は土魔法で即席手錠と足枷をつけたので逃げれない。


「殺さないから早く話せ」


「………」


男は俺を無視した。まぁいかにも暗殺者って感じだし喋らないか。それより映画にいるような暗殺者が自分の目の前にいて少し興奮しているのは内緒だ。


「ペイン」


「ガァァァァ!」


男は叫びだす。まぁ腕もがれるレベルの痛さだし仕方ないか。ちなみに今のは俺の闇魔法ペインで外傷はないけど痛みだけ与えるエグい魔法。俺は勇者だからあまり得意じゃないから魔法名を言わないと使えないけど結構使い勝手がいい。


「さて、少し話す気にはなったか?ちなみにお前が感じてる痛みは俺の機嫌次第で強くもできるし、弱くも出来るぞ?」


男は首を縦に振る。

俺はすぐにペインを解く。


「はいじゃあどうぞ」


「ふーふー……俺は雇われた暗殺者だ。目標はマユという女だ」


「ほかに仲間は?」


「それも言わないとダメか?」


「ダメだ」


「クッソ……俺は暗殺者集団「シャドウ」の1人だ。だから仲間は幾らでもいる。ただ今回の件に関しては本拠地で俺のサポートをしてるナビゲーターくらいだ」


意外と大きな組織だった。普通こういうのは1人の暗殺者が依頼主に雇われると思うじゃん?なんかどっかの特殊部隊な感じだな。


「そうか、ならもう帰っていいぞ。ちなみまだ殺そうとするなら俺もお前を殺すからな?」


「わっわかってる!俺も異国の地で死にたくはねぇよ。任務は失敗。目標の仲間の邪魔が入った。これでいいだろ?」


「いやダメだろそれは。お前バカか?それを言ったら俺がバレるだろ?」


俺は暗殺者に少しだけ殺気を飛ばす。


「違う!仲間はお前じゃない!目標の家の者達にする!」


「目標の親に抵抗にあって失敗したと言うのか?そんな滑稽な話信用されるのか?」


どうやら意外と暗殺者は馬鹿らしい。俺でもわかるくらいに穴だらけの報告をしようと考えてたようだ。


「彼女の親………そうかあんたは知らないのか。目標の家のやつらは特殊な力を使う家なんだ」


マジか!!まさかの日本もファンタジーだったという新事実!あれか?結界術とか?


「まっマジか…」


「これならいいか?」


「帰っていいぞ。ちなみにお前が俺の事を話したらお前内側から焼かれて死ぬからな?」


しっかりと保険はかけとく。ちなみに今のは本当だ。まぁ話さなければ大丈夫だし、暗殺者も今の聞いて顔面蒼白になってるから多分話さないだろう。

それにしても


「異世界だけじゃなくてこっちの世界もファンタジーなのかよ!!」


おれは大声で空に向けて叫んだ。

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