表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/13

食堂にて

食堂に向かう道中、アルにはルナとライムが学院に入学する前の、冒険者活動でのパーティーメンバーという説明で納得してもらえた。


食堂に着くと、ルナもライムも先に来ていたようで手を振ってくれる。ライムの隣には初めて見る女の子もいる。友達ができたのかな?


「お待たせ、先に来てたんだな」


俺が声をかけると2人は笑顔を返してくれるもののアルの存在に気づいたようで顔を顰める。


「お嬢様方。今朝は済まなかったね。私が勘違いしていたようだ」


だがアルが最初に謝罪したことで2人の顔も穏やかになる。


「分かってくれればいいのですぅ。ライムがご主人様の恋人だということが」


「ライムさんのご冗談は相変わらず面白いですね。早く昼食にしましょう」


頬に手を当てて俯きがちに顔を振るライムの言葉をルナがばっさりと切り捨てる。


「おい、なんだよこの美少女たちは!俺がお前に感じたシンパシーは偽物だったのか!」


ロイが俺の隣で喚きたてる中、交流は進んでいく。


「どうもこんにちは。僕はセトさんと同じクラスのレンヤと申します。お名前を伺ってもよろしいですか?」


「ご主人様と1つ屋根の下で一緒に暮らしているライムと言いますぅ」


「セト様と毎晩(ねや)を共にしているルナと申します」


おい、なんだよその自己紹介は!ルナもなんかライムに張り合ってるし、誤解が生じる言い方はやめろよ!さすがにレンヤさんの顔も引きつってるぞ。


「おい、1つ屋根の下ってなんだよ!閨を共にするってなんだよ!」


ロイはまだ騒いでるし。


「あら、アル様こちらにいらしたのですか」


「なんだシャルはライムさん達と知り合いだったのか」


こちらは元々知り合いのようだ。


「ご主人様、この子は同じクラスでお友達になったシャルちゃんですぅ」


「アルメニア伯爵家が次女、シャルロット=エミリアですわ。以後お見知りおきを」


ライムは無事、友達が出来たみたいだな。伯爵家の令嬢みたいだけど大丈夫かな?まぁ侯爵家の三男に適当な扱いしてる俺が言うことではないだろうけど…。


俺、平民だし、貴族との接し方なんて知らない訳で、それに向こうがいきなり言いがかり付けてきた訳だしいいよね。アルも特に何も言ってないし良いということにしておこう、うん。


ルナは友達出来なかったのかな?本当は優しい子なんだけど、誤解されやすいところがあるからな…。なんて思っていると。


「ルナさぁぁあんん、僕とぜひ、ぜひ昼食をともに!!!!」


「おい、お前何抜け駆けしてるんだよ。ルナさんに踏まれ隊、鉄の掟を忘れたのか!!」


「ぶひー、ぶひー。あの冷たい目で罵りながら踏みつけて欲しいんだな。ぶひー」


なんかやばい奴ら来た…。


「気持ち悪いので、私の半径10m以内に近づかないで欲しいのですが」


ルナが走って近づいてくる男3人組に辛辣な言葉を投げかける。いや、確かにちょっとやばいなとは思うけどそこまで言う必要は…。


「うはぁ、何たるご褒美!!」


「あの冷たい目、それに俺の心は撃ち抜かれちまったんだ」


「ぶひー、ぶひー」


あ、さっきのが模範解答だったんだね。もはや俺に理解できる領域ではないよ…。


「セト様、あの者たちは一応剣士Sクラスでも上位の成績を収めている者たちのようです」


「あぁ、そうなんだね。大丈夫かな、剣士Sクラス…」


「大変気持ち悪いですが我慢します」


「あー、えっと、頑張ってね…」


俺がルナに同情している横で、


「わかる、確かに俺も踏まれたいぞ!」


ロイがまだ騒いでる。大丈夫か、こいつ。教室に入ってきたときのギラギラした目はどこ行ったんだ…。


「ま、まぁ、そろそろ昼食にしようか」


このカオスを治めてくれたのは常識人のレンヤさんだ。間違いなく俺たちの中で1番まともだと思う。

食堂では各々で食べたいものを注文する訳だが、なんと特待生は学生証を見せると無料になる。なんという素晴らしいシステム。


俺は迷わず貴族向けの、日替わりスペシャルセットを注文する。他の皆も大半が俺と一緒のS(スペシャル)セットを注文しているようだ。


食堂内はなかなか広くて、一般生徒用、貴族用、特待生用とフロアが3つに分かれている。

俺たちは特待生のフロアで食事をとる。


用意されている10人分くらいのスペースがありそうな長机に腰掛ける訳だが、席の並びは俺の右にルナ、左にライム、そのまた左にエミリアさんで対面にロイ、アル、レンヤさんとなっている。


当然のように俺の両隣に座るルナとライムを見て、ロイの視線が痛い…。

というか他にも視線を感じると思ったら、さっきの3人組がこっちを遠目に見つめている。

半径10m以内に近づくなってルナの言葉守ってるんだ…。


「鬱陶しいですね。私の魔法で氷漬けにしてきましょうか?」


「いや、それはやめてやれよ。一応好意からきてる行動だろうし」


俺がちらちら見ていたせいかルナが不穏なことを言い出したため慌てて止める。でもあいつらの場合逆に喜びそうな感じがするんだけど。


「私が好かれたいのはセト様だけですので」


「そ、そっか」


そう言ってくれるのは嬉しいというか悲しいというか。

ルナは少し俺に妄信的なところがあるからな。俺以外の人のことも信頼できるようになれれば1番だとは思うんだけどそれにはルナの過去も関わってくるし、まだまだ難しいか。


食事を始めるとすぐに今日の話になる。

剣士Sクラスや支援Sクラスでは今後の授業の方針やカリキュラムなどの詳しい説明を受けたらしい。


俺たちはいきなり模擬戦スタートなんだけどどういうことなんだよ…。


剣士クラスでも槍や斧について学べることや、支援クラスでは回復や補助などの支援魔法か、魔道具作りどちらをメインとするかなど幅広い選択が可能らしい。

申請すれば他のクラスの講義も受けれるようで自分にあったものを探すのが良さそうだ。


というか、話は変わるが昼食のSセットがめちゃくちゃ美味しい。いやでもそれはそうか。普通に買ったら3000エンくらいするし、特待生様様だな。


「ご主人様、午後からはどうしますかぁ?」


俺がSセットに舌鼓を打っているとライムから声がかけられる。ちなみに昼食は無料ということもありライムも食べている。意味はほとんど無いんだけどね。

そもそもスライムに味覚があるかも謎である。


今度聞いてみようかな…。


それより午後からどうするかだな。


「俺の受けたい『高度複合魔法理論』の講義今日はやらないみたいだし、午後からは久々にギルドに顔出しに行ってくるよ。多少はお金も稼がないといけないし」


冒険者学院では午前に自分のクラスでの授業、午後から自由参加での選択授業となる。おそらく学費や生活費を工面するため働く学生の為の制度だと思う。


俺たち3人は全員特待生の上、ここに入る前冒険者としてクエストをこなして貯めたお金もあるものの、普通にいって2年、成績優秀者でも卒業までは1年かかるためお金を稼いでおくに越したことはない。


「ライムは『回復魔法発展講座』受けてきますぅ。お怪我に気を付けてくださいね?」


「私も『発展剣術理論』を受講してきます。くれぐれも無理はしないでください」


「今日は久しぶりだし軽めのクエストしか受けないから大丈夫だよ」


心配性な2人に思わず苦笑してしまう。


「ご主人様はすぐ無理しますからね。心配ですぅ」


俺の腕に頭をぐりぐり押し付けながら上目遣いで俺を伺うライム。どうしたのかなと思って見ているが中々ぐりぐりをやめない。

あぁ、そういうことか。


「ライムも頑張ってな」


頭を優しく撫でるとえへへと笑顔を返してくれるライム。

そうしていると右手の袖が引っ張られる。振り返ると袖をくいくいしながら俯いているルナ。


「ルナも頑張れよ」


ルナの頭も撫でてあげると、少し頬を染めて嬉しそうな顔を見せてくれる。


向かい側の席には奇声を発しながら鬼の形相をするロイと離れた席で羨望の眼差しを送ってくる3人組がいるが無視しておこう。

それを見ているアルとレンヤさんは微妙な表情で苦笑いしている。


「1人の殿方を巡る恋の三角関係…。胸熱ですわ!!」


エミリアさんがよく分からないことを言ってるけどこちらも無視しておこう。


見渡せば皆もう食べ終わってるようだ。


「じゃぁ俺はそろそろギルドに行くよ」


その言葉で今日は解散となる。各々やることがあるみたいだしな。


「それじゃ、また明日!」


別れを告げてギルドへと歩を進める。







ここからは週一の更新でやっていきたいと思います。

次話からはそれぞれのキャラの過去編に入ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ