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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

輪廻から外して貰えるなら

この輪廻から外して貰えるのなら……

作者: 夏本香柚
掲載日:2017/08/04

短編の恋する少女を書いてみたくなりました。



また死ぬのね。子供を身籠ることもできずに。

二度とこの家に生まれたくはなかった。

私は何のためにここで生きるのだろう。


いつもいつも、思い出しては絶望する。

私はこの世で生きている限りこの身体になるのだ。

どの時代に生まれようとも。




もう、何度目なのかすらわからない。

「貴方の子を産みたかった……」

そう告げて逝くのも……



今度こそ、違う言葉が出ればいいけど。








次こそ、違う人生を歩むのよ。

今まで精一杯頑張ったじゃない。


貴方に出会ってまた思い出したけど、今度は大丈夫。

いつものように、貴方に恋をしたけれど。


貴方にはすでに好い人がいたのだから。









「どうして…… 私があなたと婚約をしなければならないの? あなたには恋人がいるじゃないっ」


「何故わかってくれないんだ。この婚約には家の総てがかかっているといってるじゃないか」


「あなたの家の事なんて、私に関係ないわ」


「君の家も、これで持ち直すはずだぞ」


「家の為の結婚なんてしたくないわ。だいたい恋人はどうするの。お腹には子供がいるって聞いているのよ」


「結婚と愛情は別でいいだろう?」


「なんて酷いことを…… まさか彼女にそう言ったんじゃないでしょうね」


「納得してくれたさ。子供の認知はするのだし……」


「私がそれに納得するとでも?」


「するしかないだろう? 君は一人で生きていけるはずがない」


「私は嫌です。あなたと結婚なんてできません」


「我儘をいうなよ。昔はもっと素直だったじゃないか」


「我儘と? 愛人のいる男と結婚したくないのが我儘ですか?」


「親の決めた結婚を断るのが我儘というんだっ」


そう言って、彼は私の頬をはたいた……


「ふぅん。言うことを聞かないならと暴力をふるうのね」


「なぁ。どうすればいい返事をするんだ? まさか、子供を堕ろせというんじゃないだろうな」


「はあ? 私と結婚せず、彼女とすればいかか?」


「もういいっ。どうせお前はでていけやしないんだからなっ」


ドアを叩きつけるように閉めてでていく彼。

ええ、歩くことがようやくの私が飛び出すのは無理ですものね……





どうして諦めてくれないの?

どうして幸せそうな生活を見せつけるの?


あなた達が勝手にくっつけば、みんな幸せになるじゃない。

彼女もその子も、きちんと認められるじゃない。



どうして…………





「あの人は帰ったかしら」


「お帰りになられました……」


「そう……」


ほっとする……

顔を見ない済むことに。言葉をかわさずにすむ事に……



胸に痛みが走る。潰されていくような痛みが断続的に……

うっくぅっ……ずくんずくんと鈍く不正確な鼓動……

ふっふぅぅ……




こんどの終わりは病気なのかしらね……






暫くして痛みも遠のいたので、部屋の中を歩き回る。

どうすれば、いいのかしら……

彼が彼女と結婚できれば、少なくとも二人は幸せになれるはず……


私と結婚しても、彼は彼女とは切れないだろうし……子供もいるのだから……彼女も日陰者と揶揄されるばかり……

そして、そんな絆を目の前にして……わたしはただ苦しむばかり……



そのうち、早く死なないかと待たれるようになるんだわ……そう遠くは無いだろうけど。




「着替えます。用意を……」


「庭でしょうか?」


「ええ、少し外の風にあたりたいわ……」


着替えを手伝ってもらうと、部屋から庭へ通じる戸を開けた、


「少し歩いてきます」


そう告げて庭に降り立つ。ひっかけただけの靴は踵のないサンダル……

風が……身の回りを舞って通りすぎていく。




小さなハーブの花が、風にゆれ、香っていく……


庭の中央に位置する池のまわりに光が舞っている……

きらきらと水面に反射するヒノヒカリ。








『そこから身を投げても死にはしないぞ』


声が……

辺りを見回すが、何処にも声の持ち主は見当たらない。


『見えはせぬよ』


どこからか声が、聞こえる……

まだ狂ってはいないと思うのだけれども……


『どうした、我が守護の娘ごよ』


はっ!


「あなたさまが、私をこの家に縛りつけるお方でございましょうか」


この声のせいで私は苦しむのか?


『縛りつけてなど、おらん』


「なら……私はどうしていつも同じなのです?」


『同じ……と……は?』


「どの時も記憶が絶えずあります……あの木、その石、この池にそそぐ水にさえ、見覚えがあるのは……」



『契約……だ…… 我こそ 縛り付けられておる』


「どうすれば、その契約とやらが無効になるのでしょう」


『我はそなたの血筋と血縁に封じられておる』


「血筋? 私は一度として子を孕んだ事もございませんが」


『言い直そう。この家の血筋だ』


「では!この家の血筋が破棄をすれば、あなたさまも私も解放されるのでございましょうな」


『いや、そなただ。その記憶を持つそなたが破棄を宣言すれば解放されるが。良いのか?守護がいなくなってしまうぞ。そなたの父御も母御も……弟君も、今までのようには行かぬぞ?良いのか?』


「では、お聞き致しますが、守護とは何で御座いましょう。他の方々はお持ちなのでしょうか?」


『いや、与えられるものは極少数だ。だからこそ、何としても欲しがっておるな……』


「では、これからはご自分で頑張って頂くとしましょう」


『本当に良いのだな?そなたの想い人も巻き込まれ……』


「良いのです。あの方は既に他の方に巡り合えておられるのだから」


『そうか…… では、そなたはこれからは異界に魂が送られる事になるが、それでも良いか?』


「ええ。この場所でなければいいのです。記憶も無ければ猶よいと」


『わかった。では我の手をとり祝詞をあげよ』


すると目の前には壮年の偉丈夫が……


大きく厳つい手に私は手を預け……教えられた祝詞を……


『「……………………!」』








池のほとりにて息絶えた娘が見つかったのは、それからすぐの事。



えっと、もしかすると短編の異世界転生につながるかも?


頑張ってみました。

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