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白き光よ降り注げ!  作者: YGkananaka
第二章 ――ホワイトリベンジ――
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第四十二話 白いファイル


          ○


「霧白君! 大丈夫か⁉」

「霧白!」

 東子と進は我に返ったらしく、慌てて俺の側へと駆け寄って来る。

 しかし……俺的にはむしろ、自分より二人の方が心配だ。

 額からは多くの汗をかき、身体の運びにも若干疲労が滲んでいる。現在、姉弟は長袖の服を着てるので目立ちにくいが……もしかすると、どこかに傷も負ってるかもしれない。

「ああ……俺は平気だ。だが……アイツらを行かせてよかったのか?」

 すると。東子は(まぶた)をわずかに細め……男達が消えていった廊下の先をじっと見つめる。

「……わからん。だが、先ほどの男が嘘をついているのか、一瞬判断に迷ってしまったのだ」

 すかさず、進も俺達の会話に加わってくる。

「そもそも今アイツが、嘘をつく理由がないな。悔しいけど『白中』は強かったよ。二人がかりでも劣勢だった。わざわざ嘘をついてまでアイツらが撤退する必要がない」

 だから……追跡しなかったわけか。

「よし! 霧白君が無事ならいい。だが……今度こそ本当に、君をこれ以上先へは行かせられないな」

「霧白、俺は自分じゃ結構修行を重ねてきたつもりだった。けれど…………お前も分かっただろ? 悔しいが、お前を守りながら戦闘する程には熟練してなかったらしい」

 東子と進は通じ合うようにそれぞれ互いの方を向き、一つ頷くと…………迷いなく『地下室』入り口へ駆け出してしまう。

「おっ……おいっ!」

 だが。俺の叫びは虚しく……無人の廊下へ反響し、吸い込まれるように霧散していった。

 な、何てタフなんだあの二人……。

 先程、あれだけ戦闘で圧倒されたというのに……依然、闘志が衰える気配がない。

 かつて俺が『白中』と戦った時なんて、あまりの力量差に震え上がったことを克明に記憶しているというのに。

 もしかすると……二人いるからだろうか? 二人で行動を共にしていることが、東子と進へ恐怖に勝る勇気を与え、奮い立たせる一助を成しているのかも……しれない。

「………………」

 考えるのは後回しだな。とにかく今は二人を追わなくては。

 まあ、宇津白姉弟には「ついてくるな!」と言われたわけだが……。

 勢い良く――一歩前へと足を踏み込ませる。

 なにせ俺は「入ってはいけない部屋」に入っちまう、聞き分けのない男でな。悪いけど、追いかけさせてもらうぞ! 

 果たして、俺の行く手には何が待ち受けてるのか? 一抹の不安を胸に、俺は『地下室』へ続く道に突入していく。


          ○


 電気はしっかり点灯していた。内部は狭く……一切物が置かれていない。

 そして眼前には……武骨というか、シンプルな灰色の階段が一つ、下層に向かって伸びていた。これで『地下室』とやらに向かえるのだろう。

 案外()()()()階段を降り、地下一階に到着すると……上の階層と打って変わり、比較的に広々した四角い部屋が俺を出迎える。

 『集会所』という名称を与えられている施設の部屋と同じくらいの面積。具体的には、学校の教室を二つばかし縦に合体したくらいの大きさ。 

 壁の彩色は〝白〟で統一されており、四面の壁にはこれまた白色をした俺の身長を十センチ程上回る高さの棚が〝隙間なくびっしり〟いくつも並べられていた。

 天井にある電灯は一応輝いているものの……イマイチ照度が振るわない。さっき長と出会った廊下の光に比すると……その灯りの暗さが余計際立つ。

 部屋中央には、学校の科学室に設置されていた長机をもう一回り大きくしたような机が一つあった。また、室内はひんやりとした空気で満たされている。

 そして……俺には二点ばかし、気になる箇所があり。

 一つは天井の四隅に設置されている…………ホース? だろうか。

 全長一メートルあるかないか。細長な筒状の物体が、やたら主張激しく天井の角から突き出している。

 さらに。その物体のすぐ隣には……鈍い鉛色の光沢を放つ、同じく筒状の物体が突き出していた。まるで足並み揃えるかのように長さも一致している。

 だが、こちらはメカメカしいとでも表現すべきか……そんな機械っぽいデザイン。

 もう一点の関心事は……机の上や床一面に所狭しと。かつ、無造作に散らばっている()()()()()()()()()の存在であった。

 とてもじゃないが。この部屋は〝ゴミ置き場〟の用途で設計されたと思えない。

 なので数多くのファイルが秩序なく散乱している光景は…………明らかに〝異様〟である。とにかく酷い散らかりようだ。

 その時。俺は周囲の棚が余さず開け放たれ……中に何も残されていなかったことへ、ようやく注意が向かった。

 恐らく、まるで投げ捨てられたとばかりに散らばるこれらのファイル群は……元々棚に収納されていたのだろう。

「…………」

 俺は何となく、机の端に置かれていたファイルへと寄っていき……表紙に書かれているタイトルを確認してみた。

 

 《地球上における超力の研究について (1)》

 

 …………何だこれ? ……超力(ちょうりょく)

 文字を見る限りでは……まあ読んで字の如く、何だかとてつもない力に関する研究……と読み取れるが。

 ひとまず中身を開いてみる。するとファイルの中にはたくさんの書類が挟まれていた。何とはなしに、ペラペラとファイルを捲っていき……ふと目に留まった箇所を黙読してみる。

 


 ――日本において通称『パワースポット』と呼称される箇所での観測は毎年、複数地点、複数回に渡り実行されているものの、未だ超力が観測されたことはない。(平地での観測)の項目においても記述されているが、やはり文明の進化が観測適正段階にまで到達していないことが原因と思われる。しかし、引き続き観測は実行される。

 続いて、調査に用いられる機材について――



 ????

 よくわからないが……とにかくうさん臭い感じがプンプンだ。特に〝パワースポット〟なんて単語がいかにも怪しい。非常にオカルト的だ。

 きっと信者の信仰心を高めることや、新たな信者の獲得を目的とした研究だったのだろう。




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