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白き光よ降り注げ!  作者: YGkananaka
第二章 ――ホワイトリベンジ――
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第三十一話 珍しいこと

 


 よ、よか……った? よかった? 今なにを……ホッとしたんだ俺は……。

 ああ……そんなことより、早く話を続けなくては……。

「わかった東子、ひとまずその話はいいとする。だが……もう一つ大事なことを伝える」

 ピクッ! と、またもや突然光道の肩が小さく揺れた。今度はあくびでも我慢したのか?

「光道は……すでに『白光神援教』の信者じゃない。最近抜けた」

 …………………………………………。

「「………………はいっ?」」

 またもや姉弟の反応が完璧に一致した。

「そ、そんなわけねえだろっ! そもそも生まれてこの方、一人でも『白光神援教』を辞めたなんて話聞いたことが――」

「本当よ宇津白君」

「な……い…………ぞ……」

 姉弟は呆然としたように、緩慢な動作でお互いに顔を向かい合わせる。ショックの影響は相当に巨大だったらしく……二人の瞳が大きく見開かれていた。


「「ええええええええええええええええぇぇっ‼」」


 今までも。なんとな~く、そうかもしれないなぁ……と考えていたことがある。

 もしかするとこの二人……ルックスやスタイル、運動神経は最高なのに……頭はちょっと〝アホ〟なんじゃ……。

 二人して腕をあわあわ闇雲に宙で振りながら、〝どうしたらいいかわからない〟という風に戸惑いまくっている。

 !

 そんな中、光道が俺にそっと(ささや)いてきた。

「ねえ龍太。もしかして……二人にちょっと()()()()()と思ってる?」

 …………。

 光道はじーっと。呆れるでもなく怒るでもなく……ただただ感情の乏しい瞳で俺を見つめてくる。

 まるで心の底まで見透かされるような、彼女の美しい漆黒の瞳を見つめ返し……はあ、とため息が自然に漏れた。

「悪い光道……実は思ってる。なんていうか……このまま放ってけば、二人だけで施設へ突撃しそうな気がしてたまらないんだ。俺はあの二人に……()()()()()()()()

 ……本当は絶対協力などしたくない。あの施設には二度と踏み込みたくないのだから。

 けれど……万が一にでも。数日後、我が家の前に〝二つの白い箱〟でも置いてあったりしてみろ。

 現状、二人に力を貸してやれる唯一の存在だろう俺としては……一生涯、大きな後悔に苛まれることは明白である。

 ならば…………嫌だけど。冗談でもなんでもなく本気で嫌だけど。せめてあの二人が危険になった時、全力で施設外に逃がすくらいは手伝おう。

 はあ……。もしかしなくても。俺という男は人の事をとやかく言えないくらい、想像を絶するレベルの〝アホ〟なんだろうな……。積極的に我が身を危険にさらそうとしている。

 ――っ!

 だがここで。俺は今更ながらあることに思い当たった。

 よく考えてみれば、長とその付き人はもういないのだ。確かに信者達はおっかないが……俺にとって、殺される程の危険性はないんじゃないか? これなら、二人を助けることに心置きなく専念できる。

 そして適当に施設をうろつき……本当に長と付き人が存在しないことを二人に理解してもらえばよいのだ。そんでもって、無事二人が施設を後にすれば……俺の役目は終わり。

 うむ。危険を冒す決意をした後でなんだが……案外、不可能じゃない気がしてきたぞ。

「わかったわ」

 …………わ、わかった?

「ねえ二人とも、ちょっといいかしら」

 これは相当珍しい光景だ。なんとあの光道が、率先して会話をしようとするなんて。

 姉弟は彼女の一言をきっかけに、一応の落ち着きを取り戻せたらしい。あわあわしていた腕の動きを止めるや、二人とも光道に体を向け話を聞く姿勢を取ってみせる。

「私の()()を紹介してあげる」

 …………………………。


「「「友達?」」」


 この場で驚かぬ者は…………誰もいなかった。

 光道はスマートフォンを操作し誰かに連絡を取ってみせる。すると〝しばらくしたら科学室に来れる〟という約束が取り付けられたらしく……その間、俺達は昼ご飯食べながら待つこととなった。

「友達は『白光神援教』信者。好きなことを聞けばいい」

「おおっ。それはありがたいぞ光道さん!」

「いやあ……流石ですね光道さん……全く隙がない!」

 よかったな光道。宇津白姉弟がめちゃくちゃ喜んでいるぞ。

「りゅうひゃ……ごくん。宇津白さんと学校で始めて会った日のこと覚えてる?」

「うーん。まあまあ……なら」

「購買から教室に戻る時、トイレ行くから先に教室戻ってと言ったでしょ。実はあの時、本当はトイレじゃなくて友達に呼び出されていたの」

 そういえばそんな出来事……あったような……なかったような……。いや、あったか。

「なあ……それって――」

 しかし。俺の言葉は盛大な声によって強引に遮られてしまう。

「ああっ‼ おい霧白! お前、光道さんと同じ弁当食ってるのはどういうことだ!」

「なにぃっ! ま、ままままさか霧白君! 光道さんにお弁当作ってもらったわけじゃあるまいなぁっ! なぜ早く言わないのだ私も作って来たのにぃ!」

 う、うるせぇ……!

 というかこの二人…………間違いなく双子だろう。反応がそっくりだ!

「きょ、今日はたまたま光道が弁当を作ってくれたんだよ」

「龍太は私の料理が大好き」

 うわあああああああ! 何かややこしくなりそうなこと言うな光道‼



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