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白き光よ降り注げ!  作者: YGkananaka
第二章 ――ホワイトリベンジ――
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第十一話 インターホン


          ○


「しまった」

 これといって他意があった訳ではない。単純に伝えることを忘れていただけだ。

 ――――いや、日本刀を所持した女に追われれば……誰だって言いたいことも忘れるか。


 〝光道がもう『白光神援教』をやめてしまった〟ということを。


 それはつまり、宇津白さんがどれほど懇切丁寧に、光道へお願いしたところで……結局、施設に入ることは不可能ということを意味している訳だ。

 悪いが、宇津白さんには明日伝えることとしよう。

「龍太、二人きりで何を話してたの?」

「ああ……。『白光流』の歴史について、それと家宝の刀自慢、そんなもんかな……」

 もちろん、()()()()()()()()()()。宇津白さんの眼前で〝けして誰にも口外しない〟ことを固く誓ったのである。

 ちなみに現在、夕焼け空が辺り一面に広がる中、俺と光道は約束通り買い物に出かけていた。

「でも龍太、あの人の上に乗っかっていた。その内容では乗っかることにならない」

「だ、だから……説明しただろ。たまたま転んだら、ああいう不幸な事故につながってしまったんだ。宇津白さんだって、その通りだと言ってただろ?」

 全くもって、疑い深い光道である。

 その後も、どうしてか光道にちょくちょく追及される俺であった。

 どうして宇津白さんと俺の会話にそこまで興味を示すのか…………謎だ……。



 その日の夜。

 夕食を済まし、学校で出された数学の課題を終え……風呂に入って歯を磨き、もう後は寝るだけという状態。

 そんな中、自室のベッドでのんびり寝転がりながら、読書を満喫していた――まさにその時。

 〝ピンポーン〟と、我が家のインターホンが鳴り響く。

「うん?」

 誰だこんな時間に……光道か? 

 …………いや、アイツなら俺の家の鍵を所持してるし、わざわざインターホンなど鳴らすまでもなく、勝手に侵入してくるはずだ。

 怪訝に思いながら、自室のある二階から一階に降りていき……インターホンに応じる。

「はい」

「………………………………」

 ………………?

 俺は改めて、インターホン越しに声をかけてみるも……誰の返事も聞こえてこない。ただただ、ザザッ、ザザッ……と風が吹きすさぶような、わずかなノイズ音が流れているだけだ。

 これは…………帰ったのかな?

 俺が二階から一階に降りている間に、家は無人であると判断した……とか? もしそうなら、随分と短気な来客である。

 ピンポーン。

 だが、自室に戻ろうと身を翻した瞬間……またもや、インターホンが鳴った。

「…………はい」


「出てこい」


 ……………………はっ?

「あ、あの……どちら……様で?」

「…………」

 しかしそれ以降、来訪者による何らかの意思表示が現れることはなかった。

 これは…………もしや〝ヤバイ人〟かな……。

 どうすべきか。玄関口に出たら出たらで嫌な予感がするし……かといって、このまま家に閉じこもってることも出来ない。

 もし閉じこもるつもりであれば、最初から返事などせず〝居留守〟という形を取るべきであったのだ。

 だがすでに、俺という人間が家内に存在していることは、相手にバレてしまっている。

 ……それにしても、本当に誰だろうか? …………まるで心当たりがない。

「はっ!」

 も、もしかして……強盗……とか? それともヤクザ? いや、もしかするとベロベロに酔っぱらったサラリーマンが家を間違えた……という可能性も、ゼロではないだろう。

 とにかく……そっと外の様子を窺える地点に移動して――。

 ドンドンドンドン!

 ‼

 こ、怖い……。インターホンあるのに……扉叩いてくるなんて……。しかも、あんなに音が張るほど力強く。

「おーいっ! 開けろ! 宇津白だ!」

 う……宇津白?

 護身用に、台所からフライパンでも取ってこようか検討していた俺だったが……それはやめ、玄関に向った俺は、そのまま扉を開けてやった。

「遅せえんだよ開けるのっ!」

「……はあ、ごめん……」

 なんで、出合い頭に怒られているんだ俺。

 外に立っていたのは、宇津白進ただ一人であった。どうやら我が家への訪問は、彼単独での行動らしい。

「来い」

「へっ?」

「早くっ‼」

 えええぇ……。なになに……? というか嫌なんだけど……。

「なあ、何か話があるんなら……別にうちでいいぞ?」

 もう風呂にも入り終えたし、あんまり外出したくない。

「外じゃなきゃダメだ」

 それにしても、進の恰好はなんだかこう……やたらとキマッているな。今からモデルの仕事にでも行くのかとばかり、ばっちり服を着こなしている。

 少なくとも、俺には到底真似できそうにない、素晴らしいファッションセンスであると言えよう。

 そして、そんな進の背中には、何か細長く黒い……バットケース? みたいな入れ物が、斜め掛けに背負われていた。

「でも俺、もう風呂入っちまったし……」

「いいから早くしろよ!」

 俺は進に腕を掴まれると、そのまま催促するみたいにくぐいぐい外へと引っ張り出そうとしてきた。随分せっかちな男だ。

「あー、わかったわかった。せめて靴を履かせてくれ」

 もうコイツ、本当にわけわからんヤツだ。初対面なのにいきなり睨み付けてくるわ、暴言浴びせるわ、嫌がる俺を無理やり外へ連れだそうとするわ……。

 というわけで。しょうがなく、夜の道路を早足にずんずん突き進んでいく進を、俺は追っていく。

「それで…………どこに行くんだ?」


 

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