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白き光よ降り注げ!  作者: YGkananaka
第二章 ――ホワイトリベンジ――
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第五話 無力



 教室に戻った俺は、昼食を取りながら、約束通り光道に事情を説明した。

 彼女が俺と同じく『白光流』の使い手であること。『白光流』を知っている者は少なく、その情報を得られる機会は乏しいこと。どうも『白光神援教』と『白光流』には縁があるらしく、加えて「『白光神援教』を倒す」なんていう、とてもじゃないが正気を疑うような話をしたこと。

 また、その他『白光流』の秘密について色々と握っているようで……それを俺が知りたくてたまらないこと。

 そして――――今日、家に誘われたこと。

「……龍太。今日も私と買い物行く約束」

「あっ」

 しまった忘れていた。

 ……いや、正確に忘れていたわけではなく……すごい久しぶりに光道以外の生徒と会話を交えたことにより…………その……焦ってしまったのだ。

 そして焦ってしまった俺は、一時的に光道との約束を頭の片隅へと無意識ながら追いやってしまっていたようなのだが……光道の立場からすると「だからなんだ!」という話であろうな……。俺に非がある。

「わ、悪い光道……」

「…………」

 光道はじ~っと、俺の瞳を静かに覗き込んでくる。声を荒げ非難するでもなく、かといって睨み付けるわけでもなく、ただただ無表情に……じ~っと……。

「すっ、すまん……。ああ…………もし光道がよければ明日に――」

「私も行くわ」

 …………。

「………………へっ?」

「私も行くわ」

 ……二度も言われてしまった。

 というか光道もか? うーん、どうなんだろう……

 一応、誘われたのは俺だけだし……でも、別に誰かを連れてきちゃダメとも言われてないしなあ……。いや、それは常識的に考えて〝連れてこないものだろう〟という暗黙の前提があったのだろうか?

「用事が済んだらその後買い物」

 ……そうだった。光道は変なところで頑固になるやつなのである。

「よ、よしっ! ……じゃあちょっと確認してくる」

 俺が悪いのだ。ここは奮起しなくては。

 昼休みも残り数分、ささっと終わらせてしまおう……。

 宇津白さんの教室が八組ということは、すでに判明していることだ。俺は、昼休みの残り時間を意識しながら廊下を早足に直進していき……迅速に目的の教室前にまで到着した。

 それにしても……学校に転校して以来、違うクラスを自主的に訪れるなんて経験、初めてだ……。なんだか感慨深いものが、胸に込み上げてくる。

 八組教室の扉の端から、そっと教室内を覗いてみた。

「…………」

 するとそこには、数人の生徒達とにぎやかに談笑している宇津白さんの姿が。彼女は頻繁に名前を呼ばれており、クラスの人気者的存在であることが遠目からでも容易に窺えた。

「……って、いけないいけない」

 ぶんぶんと首を横に振り、気を取り直す俺。

 それじゃあ早速、彼女のもとへと向かって……っと…………。

 向かって……向かって……向か、向か、向か――――。

 ‼

 なっ、なにっ……⁉

 教室に――――入れない!

 まるで不可視の壁でも存在しているかのように、どういう訳か八組教室内へとたったの一歩ですら、足を踏み出すことができないのだ。

 いや、不測の事態はそれだけにとどまらない。不可視の壁に加え、突如自分の胴体に強靭な縄が結び付けられ、背後から猛烈に引っ張られるような感覚が発生したのである。

 こ、これは…………これは……。


         ○


 というわけで。

 人見知りな俺は、目的の人物が俺の知らない人と話しているだけで……一ミリたりと近づくことが出来ませんでした。


 …………もう、悲しいよ……。


 いやいや、彼女に尋ねなくてはならぬことがあるじゃないか俺! 結局、自分の教室まで戻ってきてどうすんだ……。

 だ、だが……まだだ、まだチャンスは残されている。

 六限の授業が始まる前に、もう一度休み時間がある。それに、最悪その機を逃したとしても……放課後、帰宅する直前を抑えることに成功すればいいだけさ……。

 よし、間違いない。()()()()()()! これなら確実に話かけられる‼



 ――人間とは失敗を糧に成長する生き物であって、つまり人生というものは失敗の連続なのであり……むしろ失敗という経験を積み重ねなければ、思うように成長できなかったりする可能性が無きにしも非ずなのだ。

 うん。

 ……何を言っているのだろうか俺は。

 結論――――()()()()

 宇津白さんの人気は所属クラスだけにとどまらず……彼女は他クラスの生徒からも頻繁に声をかけられるような存在であったのだ。

 何となく、裏表なさそうな良い性格の人なのだろうくらいには考えていたが……まさかこれほどまで、単独で行動することがないとは……。

 帰りも友達数人と連れ立っていたし……。というか、俺を直接案内するのではなく、あえて住所を記した紙を差し出してきたのは、友達の生徒達と帰るためだったのではないか。

 まっ、まあ……こうなればやむをえないが、彼女の弟(恐らく正確には双子だと思われる)、進のもとへ……と、しぶしぶ捜索を開始した矢先――姉同様に、数人の友達に囲まれながら下校する進を発見してしまった。ちなみに、もちろんというか……話しかけるどころか近寄ることすら叶わない俺であった。

 この失敗から学んだこと。


 ――俺は……無力だ……。



 


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