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白き光よ降り注げ!  作者: YGkananaka
第一章 ――ホワイトアタック――
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第四十一話 謎

        


「終わったぞ……光道」

「……うん」

 光道は何とも言えぬ表情を顔に(たた)えながら『長の部屋』の扉近くでぺたんと女の子座りしている。

「ねえ……龍太……。あの人達……死んだ、の?」

「……」

 何だ……すでにこれ以上ないくらい眼前が白いというのに……限界など存在しないとばかり、さらに視界が強烈な白で染め上げられていく……。

 俺は休ませるように両目をぎゅっと閉じて――開くという行動を数回繰り返す。

 ……一人どころじゃない。三人揃って赤色の要素が完全に排除されてしまった真っ黒い血液……血液、か? 墨汁のような……()()が体から流れ出ていた。鉄臭い匂いも全くない……無臭。

 そして、とてもさらさらとしており、俺の腕に付着した液体も軽く払う程度で簡単に肌から取り去ることに成功した……。

「……わからない。そもそも……()()()()()()()()()

 下手すると正気かどうか心配されるような発言だが、俺は嘘偽りのない今の率直な意見を伝えてみる。すると……光道はこれといって反論するようなことはせず、黙り込んだ。

「そんな冗談はやめろ」と切り捨てずに、ただ静かに押し黙っているのは……彼女としても何か思うところがあったからか……。

 ややしてから、意識を切り替えるように光道は口を開く。

「…………そう言えば、龍太ケガは……。胸に穴が……」

 そうだ。俺はただちに自分の胸元を確認する……と。

 ――――塞がっていた。

 治っているのだ。それも、もはや負傷した箇所がどこかもわからないくらい完璧に。

 光道もその事実に気づくと、とても驚いた様子でぺたぺた俺を触って確かめてくる。

「本当……」

 その時だ。

 ……っ‼ 

 思わず息が詰まる。

「光道……あれ、を……」

 あることを発見した俺は、白中が倒れている地点を指さす。

 光道は俺の指先を追って、ゆっくりと視線の先を移動させた。

「な……に?」

 黒い……人形……?。

 人型の黒いマネキンのようなものがそこにはあった。関節部は曲がるような仕組みにはなっておらず、また白中の身に着けていたものはそっくりそのまま残されており、中身だけ違う物へと変貌を遂げてしまった感じ。

 ただ――――胸の中心には、俺の一撃によって生み出された空洞が、しかと残されていた。

 こ、これは……?

 あまりに不可解な現象に俺の処理能力は間に合わず……気の利いた言葉の一つも思い浮かばない。俺と光道は奇跡的なタイミングで顔を向かい合わせると、しばらくの間お互いの眼を呆然と見つめた。

「「……………………」」

 そこから、光道と完璧にシンクロした動作で息を呑むと、もう一人の付き人、長、と順々に視線を巡らしていき……どれも、いつの間にか()()()()()()()()()になっていることを確認する。

 ――――。

 …………。

「………………帰ろう……龍太」

 ふと、自分に振りかけられた声によって、放心状態だった俺は我に返る。

 すぐ隣に光道がいてくれてよかった。もし俺が一人だったら、もしかすると何時間もここで無駄に立ち尽くしたままだったかもしれない。

 ……結局…………コイツらはなんだったのだ? 

 一つ氷解した疑問としては……やはりと言うべきなのか――人ではなかったということ。

 いや、それ以前に…………そもそも生き物……なのか? 

 人間のように喋り……動き……。だが、床に転がるのはものからは、明らかに生き物とは異なる存在であるとしか……受け止められない。

 …………何か、自分は途方もなくヤバイことを……目撃してしまったような気がする。背中に薄気味悪い寒気が走る……。

「…………」

 間近で観察したい思いがよぎったが…………やめた。

 もういい加減、余計なことに巻き込まれそうなことをするのは嫌だ。積りに積もった疲労もあることだし……とにかく今は早く帰って休みたい。

 ……それに…………光道がところどころボロボロになった俺の制服の袖を、ちょんと小さくつまむや、階段のある方へ急かすように引っ張ってくる。

「……そうするか」

 


 こうして俺は人生で初めて、文字通り『死闘』を繰り広げたわけだ。おそらくこんな奇妙奇天烈、摩訶不思議経験をした者は……地球上でも俺ぐらいだろう。

 ……だが…………まあ、誰にも話せないな……。

 作り話としか世間が思わないだろうことは、疑う余地もな――。


「…………は?」


 ‼

 今まであったあれこれを脳内で回想しながら、出口目指して光道と施設の階段を下っていた――――まさにその時。

 ドクン! と心臓が一度、強く鼓動を放つ。

 突如。


 ――――()()()()()()


 全ての物質は輪郭を失い。

 無限に続くは果てしない『白の世界』。

 どこを見てもどこを見ても……見ても見ても見ても見ても見ても見ても見ても見ても見ても見ても見ても見ても見ても白い……。

 ……白い白い白い……。

白い白い白い白い白い白い白い白い白い白い白い白い白い白い白い白い白い。


「しろい……白い白い白い白い白い白し白い白い白い白い白い白い白し白い白い白い白い白い白い白い白いああああああああああっぁぁ! 白イイイイイイイ世界がぁぁぁ!」

 

 しろいシロイシロイ――。


          


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