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白き光よ降り注げ!  作者: YGkananaka
第一章 ――ホワイトアタック――
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第一話 出発

「『白光流(はっこうりゅう)』は()()()()! これを忘れるな、(りゅう)()!」

「はい! 『先生』!」

 さざ波の音がすぐにでも聞こえてきそうな、海に近い立地にたたずむ古びた味のある道場。

 各所に汚れやキズが目立つも、よく磨き抜かれた床の上に、直立する二人の男。

「では唱えるのだ」

 白いヒゲを蓄えた老人が、威厳ある声音で命じる。すかさず俺は応じた。


()()()()()()! 無敵! 無敵! 無敵ぃ!」


「けして忘れるな龍太。白光流は一対一だけではない、()()()も想定している究極の武術だということを。常にそのことを誇りに思って生きていくのだ!」

「わかりました!」

「よぉ~し、行って来い!」

 張りのある声と共に、パンっ、老人に力強く背中を叩かれた男――(きり)(しろ)(りゅう)()は、駆け足で道場を飛び出すや、陽光照り付ける道を突き進むのであった。


 

 道場を後にした俺は、荷物を小さく収納したバック片手に久しぶりの電車に乗り込む。

「あれは……確か小学三年……いや、四年の時か」

 尋常じゃないくらいにがら空きの電車内の目についた手近な椅子に座る。それから窓枠に頬杖付くと、外の穏やかな海の風景にぼんやり視線を落とす。

「ということは、七、八年ぶりというわけだ……」

 俺はバッグから水筒を取り出し、中に保存してある〝真っ白な飲み物〟を一口あおる。

 『転校』だ。

 俺は今回転校するに伴って引っ越しをすることになり、これまで育ってきた土地を離れるべく現在電車に揺られている……というわけ。

 過疎化の一途をたどるこの村から引っ越すのは正直言ってさみしい気持ちが強い。

 けして人口が少ないからといって、思い出も比例して少ないわけではないからだ。

 だが先生は言った「旅は、新たな経験を得られる大きなきっかけになる」、と。

 先生、見ていてください。

 俺は多くの人間と出会い、語り……色々な経験をして、今の自分よりさらに進化してみせます‼




 うーん。

「……ん、んん……おっ! あぶないあぶない」

 どうやらいつの間にか電車内で寝てしまったみたいだ。ふと目を覚ましたのが、ちょうど目的の駅だったのは中々に運が良かった。これは、幸先(さいさき)いいのかもしれない。

「さて、次の電車は……」

 ポケットから目的地までのメモ用紙を取り出すと、歩行しながら次の行く先を確認する。

 ここで一度駅を出て、しばらく歩き、別の駅に向かう……と。なるほどな。

 出発した駅とは打って変わり人口密度が随分増えた駅構内に戸惑い、辺りをきょろきょろと見回しながら進んでいったその時。

 

 バッタァァン!

 

「うわっあ!」

 突然、眼前に小さな二枚の扉が雷のように現れたのだ。

 いきなりの出来事に、俺は後方へ飛び退く。

「な、なんだこれは……」

 慌てて周囲に視線を走らせるが……周りの人間の中に俺のような驚きを示すものの姿はない。

 ……いやそれどころか、俺の時とは違い拒まれることなく通過していくではないか。こんなもの出発した駅には存在しなかった。

 お、落ち着け俺。観察……観察するんだ!

 …………あれは?

 すると、通り抜けていく人間たちにある特徴――法則性が存在することに気づく。

 カードらしきものを皆、手に握っているのだ。

 ぐぬぬ……こうなったら、近くの歩行者に質問するしかないか……。「その手に持っているものはなんですか?」と。

「ぁ、ぁ、あっ……」

 ‼

 あまりの驚愕に割れんばかりに瞳を開く。思わず喉を手で押さえる。

 こ、声が……出ない……!


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