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白き光よ降り注げ!  作者: YGkananaka
短編 写真を撮ろう
110/118

第八話 不完全



「どこから話したものか……」

 あっ! よ……よかった……話しを切り出してくれた……。

「やっぱりまずは……私はね……白紗季の()()なんだよ」

 ……。

「……ああ! そうだったんですか」

 なるほど。おじいちゃんはおじいちゃんでも、()()()()おじいちゃんだったのか。

 そうかそうか。

 そうか…………そうか……。

 そ……う…………えっ?


「ええええええええええええええええぇぇぇ⁉」


 ええっ⁉

 なっ、何で……?

  

 何で生きてるのっ⁉


 純粋に〝謎〟である。

 だって……だって……。

 〝死んだ〟――と、そう聞かされたんだぞ俺は!

 ま、まさか……幽霊……じゃないよな……。それとも、蘇ったとでもいうのか⁉

 ……。

 蘇った可能性は……ゼロと断言できないかもしれない。

 少なくとも俺の口から「蘇るなんてあり得ない!」とは、言えないな……。

 まっ、まあとにかく。伊藤さんの話を聞いてみなければ。

「すみません……取り乱しました。ですが……その……白紗季さんからは、祖父も祖母も交通事故で亡くなったと聞かされていて……」

「ああ……そうか……。まあ、当然だ。()(ゆき)はそう言うだろうね」

 ……さゆき? 

 さゆき……さゆき……どこかで耳にした名前だ。

 ええと………そうだ、確か。

「沙雪さんというのは……白紗季の母親……ですよね?」

「んんっ? ああ、そうだよ」

 やはりそうか。

 光道沙雪(こうどうさゆき)――白紗季の母親の名前だ。我ながら、よく覚えていたものである。

「恥ずかしい話なんだけどね…………沙雪とは縁を切っていたんだよ」

 縁を切った? ケンカでもしたのだろうか。

「それはまた……一体どうして?」

「あれは……もう、二十年以上前のことになるか。沙雪のやつ突然「私、結婚する」なんて言い出してな。まだ娘が二十歳になったばかりの頃だ」

 二十歳で結婚……。

 最近結婚する人達の平均年齢が上がっているらしい日本じゃ、わりかし〝早い〟結婚として認識されるだろうか?

「私としては、自分はそれほど頑固な人間じゃないと思ってるんだがねぇ。いや、けど相手の人間さえよければ、結婚を認めてもいいと思ってたんだけどなあ。……あれはダメだよやっぱり」

 相手――というと、つまり白紗季の父親のことか。

「何が問題だったんです?」

「それがねぇ……学校の先生だったんだよ。沙雪の高校の。世間の目もあるし、今はよくても将来は大変になるって何度も何度も言ったのに…………。全然、言う事を聞かない」

 へえー。白紗季の父親は学校の先生だったのか。

 それにしても。生徒と教師で結婚するなんてこと、実際にあるんだな……。

 正直、俺としては別にそれ程気にするような事でもないと思う。本人達が納得しているなら、自由にすればいいんじゃないかと。

 まあ、それはあくまで今の立場だからこその意見であって……もし、俺が白紗季のじいちゃんと同じ立場だったなら……どう考えただろうかね。

 まっ、俺の考えなど今はどうでもいいことだ。しっかり話を聞こう。

「で、私がね。「相手はもしかすると本気じゃないかもしれんないよ」って言ったら……沙雪が「家を出ていく」なんて叫んで。売り言葉に買い言葉じゃないけど、ついこっちもカッとなっちゃって「じゃあ縁を切ってやるっ‼」と……」

 結構すごいことやってるんだな、白紗季の母さん。とてもじゃないが、俺にはけしてマネ出来そうにない。

「それで沙雪、本当に家を飛び出して……それっきり。一切連絡ないし、逆にこっちからもしない。まあ、だから……沙雪が私の事を口にしたくない気持ちもわかる。自分の子には、私を死んだことにしたんだろうなあ」

 伊藤さんの話を聞いた俺は……なんだろう。違和感……というか、疑問を抱かずにいられなかった。

 それは、けして伊藤さんの説明内容が難しかったという訳じゃない。

 親子喧嘩の末、白紗季の母さんが家を出ていき、しかも勝手に結婚してしまった……そういう、まるで小説のような出来事があったことはしっかり把握した。

 じゃあ一体、お前は何が言いたいんだよという話だが……ずばり『白光神援教』だ。

 あのヤバイ団体に、よく気づかれなかったものである。確実に白紗季の家族関係は調べ尽くしているとばかりに思っていた。

 そして気づかれていたら……恐らく、殺されていた可能性が高い。

 ……しかし。

 だからこそ……本当にどうして?

 警察やマスコミだって操れる団体だ。きっと役所にだって組織の人間を平然と紛れ込ませ……戸籍なりを確認して家族関係など容易く把握してみせるはず。

 つまり。普通に考えれば白紗季のじいちゃん――〝伊藤さん〟という存在が、あの組織に発見されてない理由がまるで思い当たらないのである。

 となると、だ。

 結論としては〝ミスった〟ということになる。

 団体が大きくなればなるほど、その分ミスが増えていったとしても不思議はないだろう。確認ミス。チェック漏れ。うっかり、ドジ……みたいな。

 例えどれだけヤバイい組織であっても……結局は人間の集まり。

 必ずしも全てにおいて完璧ということなどなく、〝不完全〟な部分だってもちろん存在している……ということか。

 どうも見る物全てが人間離れしすぎていたせいか……〝失敗などしない〟と、勝手に思い込んでいた。

 なんか、妙な場所で『白光神援教』から()()()を感じ取ってしまう俺であった……。





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