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白き光よ降り注げ!  作者: YGkananaka
短編 写真を撮ろう
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第六話 直接

 


 ちなみに。二人を捕まえ縛り上げ、自宅へ運び込む……という一連の不審動作が、誰かに目撃されることはなかった。

 まあ、理由は簡単なことで……相手は勝手に俺へついて来る訳なので、俺はわざと我が家の前を通りがかって相手の動きを誘導し……そこで実行したのである。



「仕事だからやってたが……正直、どうして君を……()()()()()()()を監視するのか、常々疑問だった。まあおかげで、油断してしまったが……」

 ふ、普通の……男子……学生……。

 そっ、そう! 俺は普通……普通の男子学生だっ! 普通……普通……至って普通……。

「それじゃあ、そろそろ時間だから私も捕まえてくれ」

「いいですか。次やったら、今度こそ上司に電話させますからね」

「保証はできない。ともあれ、まずは三人で今後の身の振り方を相談してみないとな」

 全くもって不安感しか募らない返答である。

 まあ……とにかく。

 現状、やれることはやりきったんじゃないかな。

 三人の男から財布を抜き取り、中に入っていた身分証明書的なものは白紗季がバッチリ写真に収めた。

 さらにはついでとばかり、三人の顔写真も撮影しておいた。

 せいぜい、これらの行動がわずかばかしでも〝抑止力〟として働くことを期待しよう……。

 このあと、一応他の二人にも依頼主が誰か問いただしてみたが……やっぱり、何ら有益な情報を得ることは叶わなかった。

 というわけで。

 無駄な行為かもしれないが……まあそれでも、二度としないようしっかり忠告してから、三人を解放してやるのであった。

 

 さてさて、この先どうなることやら……。

 

 ………………。

 ………………。

 …………ちょっと、考えが呑気すぎるか? 

 どうも最近、衝撃的な事ばかり起こったせいか……この程度…………この程度?

 とにかく、どこか感覚がマヒしてしまった気がする俺であった。


          ○


 翌日の放課後。

 白紗季によれば、今のところ誰かが監視している気配はないらしい。

 ということは……〝諦めた〟と、判断していいだろうか?

 もちろんまだまだ油断は出来ないが……それでも、少しホッとした気分だ。

 そんな心持ちで家へ帰り、のんびり『白光ドリンク』を飲んでいた……そんな時のこと。

 ピンポーン。

 インターホンの音が自宅内へ軽やかに響き渡った。早速俺はインターホン越しに応対する。

「はい」

「私……ああ、昨日会った男だよ」

 〝昨日会った男〟といえば、三人ほど心当たりがあるが……この声は聞き覚えがある。

 これは俺と白紗季が一番最初に捕まえた男で間違いない。

 きっと何らかの報告があるのだろう。そう思いながら俺は玄関へ向かい……ドアを開けてやる。

「昨日ぶりだな」

「ええ、そうですね。…………一人だけ……ですか?」

「ああ、私だけだ。それでいきなりで悪いんだが……今時間はあるか? 君を連れていきたい場所があってな」

 ……。

 ………………うん?

 どうも話が見えてこないんだが……。

「別に私が何かしようって訳じゃない。これは『依頼主』の要望なんだ」

 ……依頼主の?

 男の解説によれば、やはりいつまでも隠しきれるようなものでもなく、結局上司に失態を……俺にバレてしまったことを見抜かれてしまったらしい。

 そして。上司を含めた四人は、最悪土下座すら覚悟しながら依頼主へ謝罪に向かったのだが……どうも依頼主が怒る様子はなく……ただ「霧白龍太を連れてくれば不問とする」という奇妙な条件を提示したらしい。

 ……で、今に至るとのことだ。

「頼む……いや、お願いします! もちろん、来てくれるならいくらか『報酬』を支払う準備もある。当然、行き帰りの送迎もする」

 ――っ‼

 突然、男が腰を九十度くらい深く曲げてきたではないか!

 お……大人に、頭を下げられてしまった…………。

 何だか高校生ながら……社会の世知辛さというか、現実の一端を垣間見てしまったような気分だ。

「わっ……わかりました……」

 俺はわずかに(ひる)みながらも、この申し出を了承することにした。

 依頼主に会えるというなら……会ってやろうじゃないか。

 というか、むしろこっちからお願いしたいぐらいだ。どうして俺なんかを監視したのか、しっかり依頼主へ問いただしてやる。


           ○


 準備万全とばかりに我が家の前へ止められていた車に乗った俺は、そのまま男の運転でどこかへ連れていかれる。 

 ちなみに、車は四人乗りだったが……俺と男以外は乗車しておらず、随分広々した印象を受ける。 

 それから三十分ほど経過したぐらいのところで、車は静かに、かつ丁寧に停車してみせた。

 降車した俺を迎えた景色は…………『住宅街』であった。

 ただし、住宅街は住宅街でも、俺の家がある場所とは打って変わり…………〝高級〟住宅街だ。

「それじゃあ、終わったらこの番号に電話してくれ。時間は気にしなくていい」

 男はそう言い残すや、そそくさと車を操りこの場を去っていく。俺は後ろ姿が見えなくなるまで、しばしの間立ち尽くしていた。




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