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白き光よ降り注げ!  作者: YGkananaka
第一章 ――ホワイトアタック――
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第九話 長と若い男



 それにしてもやたらと入り組んでいるな――まるで迷路みたいな建物だ。そのせいか目的地までの道のりが長く感じられる。

 そうして案内されたのは意外に広い……教室二つ分くらいの大きさ、そんな感じの二階にある部屋であった。

 また、他の部屋とは違って入口の扉は豪華にも二枚扉になっており、扉の上には『集会所』と、この建物では珍しくプレートに〝黒い〟印字で表記されていることから、おそらく他の部屋よりも重要度が幾分か高い部屋であることを窺わせる。

 ちなみに、もちろんというか……そのプレートを除けば、天井も壁も柱も皆一様に白一色で統一されていた。

 中には三十~四十人くらいの白服着た人達が綺麗な列を何列も形成して体育座りをしている。

 室内前方にぽっかり人がいない空間があって、そこは足場が一段高くなっており……ようは、学校でいう先生が授業をする場所みたいな、教壇的役割を果たすところなのだろう。

「好きな場所へ座って」

 ……と言われても、もう後方しか空いてないがな。

 〝空気を読む〟という都会で暮らしていくためには欠かすことの出来ない必須技術を次第と身に着けつつある俺は、ひとまず周囲に合わせるよう体育座りしておく。

「これ、何の集会?」

 すると俺の隣に体育座りした光道さんは、天井で白く輝く蛍光灯へやたら意味ありげな視線をやる。

「……霧白君……この世界には、光が溢れているよね」

「? ま、まあ……それは、な……」

 特に都会に至っては、夜でも明るく照らされている箇所が多々存在する。

「今からあなたが目撃するのは……光。――『白き光』にもっとも信頼された人物の一人。その方の『奇跡』」

 バアァァァァァッン‼

 ‼ 

 な、なんだなんだ!

 ドラの音? と思しき大音量が、何の前触れもなく突如室内に響き渡った。さらに、それを合図とするかのように、さんさんと日光を部屋へ取り込んでいた全ての窓のカーテンが瞬く間に閉じられていく。

 すっ、と最前列から一人の男がおもむろに立ち上がった。そのまま前方の開けた空間、一段高くなっている箇所の端の方へと早足に移動したかと思うと……その場で直立不動となる。

(おさ)の、とおぉぉじょぉぉぉ!」

 バアァァァァッン‼

 再びのドラの音。……というか、肝心のドラがないのに一体どこからこの音声は流れているんだろう……。

「皆さま、おはようございます……」

 扉が静かに開かれ、一人の男が姿を現す。てか「おはよう」って……もう午後なんだが。

 間違いなく他の人間とは違っていると断言できる。それは他の人から接される態度だけでなく、その服装からも明白だ。

 なんか……こう、表現しにくい……というか。とにかく、一目で威厳ある人物という印象を抱かせる……そんな服装だ。もちろん『白色』を前面に押し出したものを身に(まと)っている。

 王様? 皇帝? みたいな。でもスーツのようにぴったりとした、スリムなイメージも植え付けられる感じ。

 ――まあとにかく、一言でまとめるとしたら……白い服だ。

「「こんにちは! こんにちは! こんにちは! こんにちは! こんにちは!」」

 う、うわぁ! なんじゃ⁉

 いきなり「こんにちは」大コール合戦が始まった。声量がすごいせいか部屋全体が小刻みに振動している気分を味わう。

 というか……どうして、「おはよう」に「こんにちは」で返しているのか……。

 長の年齢は……二十後半~三十代前半くらい、か。まあ、衣装のせいで若干年齢が判別しにくいところもあるが……。けして大声を出しているわけではないのに、腹の底に響くような、そんな威厳すら感じる落ち着いた声色の持ち主。身長は高い。

 すっ、と長が右手を軽く掲げると、水を打ったように一瞬で場が静まる。

「つい先ほど……一人の男性が『美しき光の部屋』に入り、さらなる優れた人間となるための『試練』を行いました……こちらへ」

 ガラッ、と控えめに開かれた扉から二人の人間が入ってくる。その人達は前、後ろと分かれて一つの担架を運んできた。

 担架の上には横たわる一人の……()()()

 長の前の床へ担架をそっと下ろすと、すぐさま運び手の二人は室内から退出していく。

 沈痛な面持ちで長は固く目を閉じる。

「残念ながら、彼は……『白き光』に選ばれませんでした……」

 ――――。

 ドクンッ‼

 俺の心臓が、大きく鼓動を打つ。

 ま……まさ……か……。

 俺の内から余裕という余裕が完全に消失する。

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 自然とあえぐような荒い呼吸が口からこぼれ出す。俺は熱に浮かされたような瞳で、ただただその光景を呆然自失と見つめながら……無意識の内に制服の胸元部分をきつく、きつく握りしめていた。

 あ、あの人……さっき、廊下で……ぶつかって…………でも、あの時は元気で……。

 司会役を果たしている男が担架の上に横たわる一人の人間の首元へゆっくりと手を当てた。恐らく脈をはかっていると思われる。

 そうしてから、非常に重々しい所作で首から丁寧に手を放すと……体育座りしている大勢の人間へ振り向き……はっきり伝えた。

()()()()()()()!」


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