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プロローグ
な、なんだよ……これ……。
こんなの……無茶苦茶だ!
戦慄を覚えずにいられない。
俺は確かに、自身の蹴りが綺麗に相手へ打ち込まれた手ごたえを感じていた。
しかし…………硬すぎるのだ。
まるで巨大な石造でも蹴りつけたかのような感覚。一ミリたりと動く気配がない。
ほ、本当に……本当に、コイツ……人間……なのかよ……。
「ふっ……ふふっ……ふっふっふっふ……」
突然、相手は……笑い出した。
生まれてこの方、これほどまで感情という感情が余すことなく削ぎと落とされてしまったような笑い声を耳にしたことがない。
そのあまりに異様で……不気味な様に思わず俺はたじろいでしまう。
果たして、俺はこんな前代未聞な相手から勝利をもぎ取ること可能なのか……。
ただ、眼前で静かに佇んでいるだけなはずの相手から壮絶なプレッシャーをひしひしと肌に感じずにいられない。
「久しぶりに面白いものを見せてもらったよ」
奇妙な笑い声同様、感情が読み取れない淡々とした低い声音で相手は一言、俺にそう告げる。
そして……空を切り裂くような音と共に、小賢しさの入る余地もない豪速なストレートの拳を躊躇ためらいなく俺目がけ……放ってきた!




