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終焉の魔獣 その3

〔規定のパーティー数が揃いました。直ちにラスボス戦を始めます〕

何度目の挑戦だろう。かや達は何度目かのテストサーバのラスボスに挑戦をしていた。

集まったメンバーは全員が無言だ。

それはそれだけの回数失敗した事を結実に物語っていた。

『……おかしいわよ。これだけの数挑戦して、誰も1回も成功しないなんて…。』

『攻撃パターンが読めないんだよ。解析班が頭抱えていたぜ。

 まるで100以上行動パターンが存在するって。』

『そんな馬鹿な。』

それだけの行動パターンを用意するのは容易ではない。

『……それだけの行動パターンを持つモンスターは……。』

かやはそう言って、言葉を止める。

『……≪傭兵特訓訓練≫!!』

『…えっ一体何を言ってるんだ?』

『それだけの、行動パターンを持つモンスターはいない!

 だけど、数百人の傭兵の中から、パーティーを組ませつつ、最高級の行動パターンを日単位で蓄積・改良をしていくクエスト……あれをうまく利用すれば……。』

『100パターンぐらい、すぐに作られるって訳か!』

『ああ、おそらくあのモンスターには≪傭兵特訓訓練≫で蓄積された、AI行動パターンの作成プログラムが組み込まれていると思う。

 1回戦うごとに、行動パターンを再構成・変化させていって、成長していくシステムなんだ!!』

『……なんだって? 確かに≪傭兵特訓訓練≫にはそういったシステムがあるって聞いたことがあるが……じゃあ、奴は俺達の行動を学習しながら戦いっているって訳か?』

『……そんなのあり?』

『……わからない。だけど、あれだけの行動パターンや能力の使いこなしを見る限り、そうとしか思えないんだ。』

『……じゃあ倒せないってわけ?』

『………いや、倒せる!!』

そう言って一人の男が声を上げる。

『行動パターンが少しずつ変わっていくんだったら、こちらも少しずつ……いや、あいつに判らねえぐれえすばやく変えていきゃいいんだ!

 種さえわかりゃ、怖くねえ! 行くぞ!!』


(確かに言われてみれば、こちらの嫌がる行動パターンをしやがる………。)

(嫌がる行動パターンを確かに何度もしてきて、苦渋を飲んだんだよなぁ……。)

(確率のせいにしていたが、単純パターンの繰り返しをやっている最中に嫌なパターンを連発されて全滅というのがあったが、まさか学習してくるシステムとは…。)

状態異常の確率が高くなるわけではない、純粋な行動パターン変化による多彩な攻撃。

『俺達はPVPやってるんじゃねえんだぞ!』

『相手の操作ミスがねえ! これはPVPじゃねえぞ!!』

攻撃パターンが多いのだが、モーションがわかりやすく、回避・対処自体はそれほど難しくない。

しかしながら桁外れにいやらしい行動パターンは彼らを苦しめる。


はずだった。


『……逆に読みやすいわね。』

『はあ???』

ドラゴンナックルはそう言いながら、ホイホイとダメージを与えていく。

『確率だのなんだの無視して効率的な戦い方を模索しながら戦っているわけだから、いきなり変な技は放たないから、かなり動きが読めやすいわね。』

『いやそのりくつはおかしい。』

ドラゴンナックルはそう言いながらもかなり効率的にダメージを与え続ける。

『なんか、同じ攻撃を食らいたくないから、必ず成功すれば成功した手段で、失敗したら次の手をって考えてるから動きが読みやすいのよ。』



裏で『何か』が動いていた。

大量の『共感子』。それの出所を追って彼らは、探し求めた。

そして一つの世界のような物を見つけた。

亜世界。彼らはそう位置づけていた。

その世界に入るように努力を開始した。

しかし二つの箱に阻まれその上何か見えない条件で阻まれ、彼らはその世界に入れなかった。

彼らは何度も何度も侵入を試みようとした。

しかし堅牢すぎるシステムは一切の動きを見せなかった。


『HPが25%を切ったぞ!』

『……おおっ!』

その言葉と共にドラゴンナックルたちは騒ぎ出す。

ガリガリと音が鳴り響く。

『いきなり何よ。』

『翻訳システムのバグか?』

『いや、見ろあのドラゴンの姿が急に変化していくぞ!!』

単純なポリゴンの塊が変化していき、立派な黒いドラゴンへと変改してく。

口には巨大な牙が生え、翼は玉虫色に輝き、皮膚が鱗でおおわれる。

『オーバーボディーかよ!!』

『リトル・カオス・クリーチャー……こいつがラスボスか!!』

『のこりHPは25%……相手の能力が公開されているぞ!!』

そう言ってかや達は画面の情報を見る。

フレーバーテキストにはボスの戦闘データだけが書かれている。

おそらくこいつは、汎用的に使えるボスとして設計されたのだろうなとかやは判断した。

『<真実のトルース・アイ>ヘイト揮発能力の軽減、これのせいで、やたらと回復役が狙われたみたいだな。』

『腕の炎の腕、翼の移動力増加、尻尾のHP回復能力……この辺りは平凡だな。』

『美しい……。』

『………来るぞ!!』

攻撃力が増える様子はない。しかしながら全員が一気に緊張感に包まれる。

『翼の形が変わった!』

『魔力吸収から、吹き飛ばし能力だと!』

『こりゃそう簡単に対処はできないわけだ!』

全員が興奮をしている。

『……ドラゴンナックルさん、MPが切れかかっています! 下がって!!』

『こちらがしばらく抑える!』

『…このまま押し込める。』

つたない連携攻撃だが、それでも着実に相手のHPを削っている。

『腕の能力が変わった! HP吸収能力だ!』

『気にするな! 一気に押し込こむぞ!』

パーティーメンバー全員が攻撃に参加する。

『≪アサシネイト≫!!』『≪オーブ・オブ・ラーヴァ≫!!』『≪オリオン・ディレイ・ブロー≫!!』

『≪デッドリー・ダンス≫!!』『≪デスサイズ≫!!』

たちまちのうちにリトル・カオス・クリーチャーのHPの減少が始まる。

『倒れろ、倒れろ………。』

『たおれやがれええええええええええええええええっ!』

『あと2000!!』

23名がスキルのクールタイムで動けない状況で腕が輝く。

『最後の一撃だ!!≪ホーリー・ライト≫!!』

かやの呪文が放たれる。チャージ時間に応じてダメージが増加する魔法であり、かやはそれに残っていた全MPを消費して発動した。

-100・-99……

『この調子なら!!』

ダメージが入っていく。

-95・-90・-70・-50・-35・-30・-20………。

『なっ……。』

翼の色と形が少しずつ変化していく。

『翼の能力を移動能力増加から神聖ダメージ減少に変化させたのか?』

変わっていくスキルを見ながら、一同が驚愕する。

-1・-1・-1・-1………。

残り109。そこでかやのMPが切れた。

『しまった!!』

『かやさんのMPが切れた!』

『ってこっちきたー!』

リトル・カオス・クリーチャーは自分に大ダメージを与えたアサシンに向かって爪を振りおろそうとした。

『させるか!! ≪キャッスル・オブ・ストーン≫!!』

守護戦士が割って入る。ダメージは0になり、HPの吸収能力は発動しない。

『これで……とどめだああああああっ!』

最後の一撃が放たれて、リトル・カオス・クリーチャーのHPが0になる。

『よっしゃああああああああああっ!!』

全員が騒ぎ出す。

『待て待て第2形態解かないよな。全部のスキルを使える特殊モンスターがいれば俺達は全滅だぞ。』

〔テストサーバはクリアされました。只今より報酬アイテムの配布を行います。〕

メッセージが流れ、全員が喜びの声を上げる。

『うぉっしゃあああああああああああっ!』

『やったぜっ!』

全員がそう言って、喜びを分ちあう。

目の前に積まれた金貨と報酬の数々を見て一同がひしめき合う。


『ええと、アイテムのリストありますけど、欲しい物のリストを上げてください。』

かやはそう言いながらも全員の要望をまとめていく。

幸い、秘宝級アイテムは《秘宝の混沌鏡》で配られたため、それほど激しい混乱は起こらなかった。

幻想級アイテムは、ラスボスを倒した守護戦士に渡されることになった。

『……おや、かやさんは使わないんですか。』

『<知識神の眼鏡>が出たんで、メインにつけさせとこうかなって思って。

 ちょっと鑑定とか頼まれることがあるんですよ。』

『なるほど、そう言う事なら仕方ないですね。』

そう言いながら、かなり疲れたのか一同は次々と立ち去っていく。

『それじゃあ、私達も……おやすみなさーい。』

We are traveler. Ask my call.

『ん??』

何か言葉が聞こえた気がしたのだが、疲れたうえでの空耳だろうと思い、かやは気にせず立ち去る。


彼らは驚愕していた。

共感子の塊の世界で自分達の言葉が中に入っていったことを。

彼らは時間をかけてその世界の隙間を探した。

しかし二つの箱と無数の何かに阻まれ、その世界に侵入することができなかった。

その行為が何を巻き起こすのかを知らずに。

あと2回ぐらいでひとまずアタルヴァ社の野望は終わりです。


とりあえず次回作は、たかやの料理奮闘記とRanderPower(仮)につなげていこうと思います。

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