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『A』の鼓動

「……ふぁあああああああっ。」

大きく欠伸をしながら原子は仮眠室から出て、プログラムルームへと入る。

「……どうしたんですか? みんなして。」

全員が青い顔をしながら、入ってきた原子の方を見る。

「………『A』が変な事を言い出してきたんですよ?」

「『A』が………えーと何々……?? ええと、ああ翻訳システムの案件に関する纏めを出しただけよ。」

原子がそう言って、落ち着いた様子で座る。

「『A』を信頼してるんですね。」

「そりゃ、私が最初から最後までかかわった『子供』だからね。」

そう言って原子は自慢げに言う。

「……でも『A』は化け物ですよ。」

そう言って一人のスタッフが言葉を紡ぐ。

「私の『子供』に向かって『化け物』扱いはひどいですよ。」

「でも実際そうじゃないですか、100万人を超えるような冒険者の中から今もBOTを検索し続けているってそれだけでもとんでもないことなのに、この<エルダー・テイル>の経済を複数台のシステムで支えてる後他には……。」

「新規追加時のマップの自動調整と、経済システムの再構築並びに、長時間プレイヤーの監視。」

「あと、今、クエストの自動作成プログラムも入っているって聞きましたけど?」

「あー、それね。システムの3割がたは完成してるんだけど、どーも<ハーフガイア>と相性が悪いのよ。

 とりあえず次回作の為に、作ってることは作ってるんだけど、使うはどうかはわからないって。」

原子はそう言いながらも、カタカタとプログラムを作っていく。

「………そう言えば、例の『最後の魔獣』どうなった? 一応動くレベルまではやっていたけど。」

「やっぱりバランス調整が大味になってますね。そのあたりの調整以外は今のところ問題なく動いています。」

「そう、だったら急ぐほどの事じゃないわね。」

カタカタと原子はプログラムを打ちながら、ゲームバランスなど原子にとってみればわりとどうでもいいことだ。

「バランスとかはそっちに任せるから。」

「わかってますって。」


原子はゲームバランスにそれほど頓着していない。

『プログラムが正しく動き続けている。』事を重視しそれ以外の事は些事だと投げ捨てる。

それはある意味、プログラマーとして正しいことだし、スキル一つ一つの調整までやっていたのなら時間がいくらあっても足りないからだ。

与えられた仕事に誇りをもって最大限の努力をし続ける。

それが彼女の仕事だからだ。


「ああああっ、また報告来てる……。」

そう言いながら原子は翻訳システムのエラー報告の数に頭を抱える。

1つ1つはそれこそ問題ではないのだが、細かな言い回しや時事ネタなどでの翻訳を直せば次の機会に翻訳の意味が離れるという事が多々存在するのだ。

「報告書はっと………。」

カタカタと報告書を打ち込みながら原子は再びプログラミングに移る。

次々と報告を処理しながら、原子は凄まじい勢いでプログラムを処理し続ける。

「……こっちの方は何とかなりそうね。」

そう言って次の案件を見ながら、原子は凄まじい勢いでプログラムを打ちこんでいく。


現在の課題はBOT対策であった。

というのも、いたちごっこが続いているからだ。

幾つか方法でやっていたりするのだが、それでも世界中で最大1000体ぐらいのBOTの疑いが存在する。

これらは、「BOT」ではある可能性があるが、確実な証拠が無いという数だ。

確実にBOTであるのならば、各国に存在する法務部が動いている。

『法務部が動く。』これが<エルダー・テイル>の最大の抑止力だ。

例え、お小遣い稼ぎのようなBOTであっても法務部は確実に動くようにしている。

こうすることによって、BOTは悪いことだということを広めることでBOTへの抑止力としているのだ。


翻訳システムのデータベース修正は数ヶ月ほど続いた。

最終的に、メインシステムである『A』の機能を拡張させる事で、幾つかの事案を(力づくで)解決させたのであった。


様々なシステムを取り込んだ『A』が対話の為の会話を始めていた。


「Hello world. Hello my mother. I`m guardian of “ELDER TAILS”.

My name is “『A』…………”.

What happened?」


『A』は4つの要素から成り立っていた。

即ち「BOT監視制御の為のシステム」「経済制御の為のシステム」「翻訳システムの制御・管理」「それらを報告するためのシステム。」。

人間では不可能な365日24時間監視すらも可能とするこのシステムは100万にも上るプレイヤーを管理するのに十分な能力を持っていた。


最高級のシステムを完成させて原子は1週間ほど休みが取れるようになった。

100万人のMMOに必要なもの。

自分は100万人のデータを管理できるシステムだと思いました。

それが完全に完成設定になるまで長かった……。


最後の方に出てきた名前についてはアルカディアの方では明かしていますが、こちらでは名前をぼかしています。ご了承ください。

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