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クエストと経済と信頼と

『……都市信頼度? 確かに存在するけどそれがどうしたの?』

子原はそう言って、かやの言葉を肯定した。

『なんなのそれ?』

『プレイヤーの間でちょっとした噂になっている部分ね。プレイヤーごと、都市ごとに信頼度が設定されていて、信頼度が高くなると秘宝級装備を貰えるためのクエストが得られたりするって話。』

かやはそう言って補足を行う。

『……それがあると、何か問題なの?』

『まあ、特に問題はないんだけどね……ほら、なんかいるじゃん。ゲームで全部のデータを解析しないと気が済まない人とか……。』

『えっ、そんな人いるの?』

『あーいるいる。フレーム単位でコマンド入力する格闘ゲーマーとか、RPGを4時間ぐらいでクリアしちゃう人とか。』

『何それ怖い。』

ホルダーの言葉に、ドラゴンナックルが返す。

『……プレイヤータウン以外の都市の役割って、結構きまってるんですよ。

 クエスト発生装置か、クエストの案内書か、高額アイテムの取引所か……まあそんなところですね。』

『……なんか、住みにくそう……。』

『………まあ、キョウだって3ヵ月毎にモンスターが出てくる超危険地帯ですよ(シナリオ作ったの俺の父さんだけど。)』

『……住みたくないわねー……』

『誰よそんな設定考えたの。』

ボルダーとドラゴンナックルの突込みに隆也はパソコンの前で突っ伏す。

『………色々とあるのねー。』

『しかし、そんな町に住んでる人って根性ありますよね……。』

『「根性」じゃありませんよ。「設定」だけですから。』

かやはそうって、ボルターとドラゴンナックルの言葉をバッサリと切り捨てる。

『……まあ、キョウが<スザクモンの鬼祭り>で使えない日がありますから、ウェストランドの依頼所はイコマに集まっているわけですけど。』

『………なんか変ではないか? まるで全てがゲームの都合で動いているような……。』

アカツキがそう言ってツッコミを入れる。

『動いてるようではなく、動いているんです。

 プレイヤーが素直にクエストが参加できるように、移動距離をごまかしたり、設定をずらしたりとかしてるんですから。』

『……なによそれ、つまんない考えね。』

『つまらなくはないですよ。距離とか結構いろいろと考えられていますし、システムだってそれこそ10年以上の積み重ねがあるわけですし。』

『システムってそんなにすごいの?』

『まあ、色々と考えられて設定されていますよ。廃課金装備に関しては便利に使えないように、サーバの外への持ち出しが禁止されていたり、攻撃力だけすごくて他の特殊能力がないから結局、ドロップ秘宝級に使い勝手の面で使いにくいとか。』

『……そんなもんなの?』

『そんなもんなのです。』

<エルダー・テイル>において絶対必須と言われるアイテムはそれほど多くない。

レベル45で受けられるクエストの『魔法のバッグを手に入れろ』を除けば、他は職業別の必須スキルを覚えるぐらいだろう。

『………かや殿は物知りであるな。』

『いえいえ、隣にデータベースを持ってるだけですから。』

『……おいおい。』

タケルがそういってツッコミを入れる。


『しかし先ほどの村の依頼………一体何があるというのだろうか………。』

アカツキがそう言って話を戻す。

『この時期でしたら、エリア解放イベントだと思われますわ。』

『エリア解放イベント?』

『そう、ダンジョンの開放や新しい街の作成クエストの事ですね。 おおよそにおいて1エリアにつき1回しか行われない、クエストですね。』

かやは淡々と説明していく。

『世界中から冒険者たちが集まって、レイド4のモンスターを倒す大戦争ですよ。』


エリア解放イベントは、幾つもの意味を持っている。

即ち宣伝であり、競争であり、お祭りだということだ。

依頼としては非常に単純で、『人数無制限、装備無制限でレイド4ボスを倒せ』というものだ。

クエストとしては非常に単純明快ながらも、ボスが強い。異常に強い。

ラスボスは冒険者よりも20レベル上が最低ライン、それだけではなく複数のギミックで守られている事すら存在するのだ。

200人、300人単位が一直線に襲い掛かる為、それなりにバランスが取れるようになっているのだ。


『なら挑戦してみようかしら?』

『無茶言わないでください、このレベル域だったら数分で倒されるのがオチですよ。』

『多分、私は無理でしょうね。しばらくしたら本業に戻らないといけませんから。』

子原が苦笑いをしながら、皆に話しかける。

『本業ですか?』

『そうね、大事な大事なお仕事があるから。』

『そうですか……お仕事がんばってください。』

『うん、それと最後に一つだけ、貴方達の目の前の世界にあらん限りの祝福があらんことを!』

子原…原子はそう言って、5人を励ました。

彼らは目の前のパソコンを見ながら、見ず知らずの自分達を励ます彼女に苦笑いをした。

その画面に映っている物に気が付くこともなく。

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