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神託の天塔

西風の旅団最新話を見ました。

新薬開発は大変ですな。

アタルヴァ社………

「………『A』の改良、並びに『B』『C』『D』『E』の設定が完了しました。」

「残りの『F』などについては、フレーバーテキストで済ませます。」

「……そうか、26台は用意できなかったか。」

そう言いながら、アタルヴァ社社長は報告書を読む。

「……用意する必要を感じません。」

「そうか………。」

報告者のセリフにやや残念そうに社長はそう言うとメモ帳をしまい込む。

「名前、考えていたのですか?」

「だってそうだろ? せめて『A』についてはアタルヴァぐらいにしてほしかったのだが……。」

「開発者だってストレスが溜まっているんです。これぐらいの遊びは良いじゃないですか。」

「……わかった。彼女は色々と貢献してくれたしな。それぐらいの遊びは許そうじゃないか。

 かわりに……彼女にはもうちょっと色々と働いてもらおうか。」


「……社長命令?」

「そうだ。『A』の名前についてはそちらに一任するけど、調整とか新規の追加とかは任せたって。」

「了解です。」

そう言って原子は、カタカタとキーボードを打ち始める。

「でもさなんで『A』なんだ? お前の名前をとったのならヤブブキ ハラコで『Y』か『H』だろ?」

「ちょっとひねったんですよ。私の名前は原子ですからね。」

「だー。漢字ってわからねえー。」

そう言いながらその男は、原子に仕様書を渡す。

「村作成プログラムの発展系ですか……。」

「そうだ。現状村作成プログラムは自動クエスト発生装置として上手に機能しているが、この特産品システムにより、村の個性化を図ることができる。」

「他にも色々と建物の追加ですね……。ふーむ。私はオンラインゲームを作っているのか都市作成シミュレーションゲームを作っているのかわからなくなってきましたね。」

村作成プログラムとは、その名の通り村を自動的に作成、運営する為のシステムだ。

村に住む大工に『家を作る』、農家に『畑を作る』鍛冶屋に『農具を作る』裁縫師に『服を作る』などを実行させ続けて『××の素材が少なくなったので運んできてほしい』というクエストを発生させ続ける為のシステムだ。

これにより、クエストの消滅が起こりにくく、様々な場所に物を運ぶクエストが断続的に発生する事になるのだ。

まあ、このあたりは『そう言うシステムが存在する』と言う事を覚えていれば良いだろう。

「……ま、こういう細かなシステムが<エルダー・テイル>を支えているの。」

「それは聞き捨てならないな。……<エルダー・テイル>の目玉は大型レイドクエスト………

 そうだ、世界を破壊するほどのイベントこそがオンラインゲームの魅力!」

「それがいつか世界を壊さない事を祈っておきますよ。」

原子は誰にも聞かれずにそう言った。


『おい、連絡見たかよ……全世界規模レイドイベント『神託の天塔』……その間のサーバ間移動禁止だってさ』

『ああ、見たぜ。これで安心してプレイができるな。』

『ああ、今まで外国の業者が暴れていたからな。』

サーバ間移動禁止は、やや特例であったが、これはアタルヴァ社の幾つかの思惑が積み重なったものだ。

まずは、経済システムを一新するのだが、その時の違和感を消去する為、

次に、外国からのアクセスでやってくる業者を一時的に時刻内に閉じ込める為、

そして、サーバ自体の経済バランスを見る為だ。


その実、サーバ間移動がかなり自由な事もあって、サーバごとの経済について調査が今までしにくかったのだ。

落ち着いて調査を行うために、一時的なサーバ移動禁止を行う事にしたのだ。


『はるか天空にそびえる高き塔……それは神々が冒険者に与える試練の塔。

 冒険者達よ! 塔を登り、神々の試練を乗り越えろ!!』


『……神々の試練とは仰々しいですにゃ。』

『ま、レイドとはそんなもんじゃわい。』


『ちょっと待て……挑戦する為には、下層に出るモンスターが10%の確率で落とす『天界の鍵』が1人1個必要だと言う事らしいぞ。』

『うひゃーそりゃ大変だな………待て今、1人1個と言ったか?』

『正確には、1つのエリアを挑戦するのに1個、再挑戦にも1個必要です。』

『つまり、うかつに挑戦すれば、鍵を失うだけと言うわけか。』

『しかも『エリアごと』だから幾つの鍵が必要になるのかさっぱりわからないぞ。』

『……どれだけ鍵を集めるのを効率化できるのが問題ですね……。』


『鍵を集める班と、塔を昇る班を分けて作りましょう。』

そう言って、ギルドホールの中で、一人の男がそう宣言した。

『鍵を集める班の報酬は高めに用意しておいてください。』

『良いのですか? 昇る班からは、不満が出ませんか?』

『出ないでしょう。挑戦権を買っている……私はそう考えてます。』

落ち着いた物腰と、理知的な言葉でその男……クラスティはギルドホールの中で呟いた。


『……世界規模の大規模戦闘の塔……一体どのギルドが一番最初にたどりつく事やら……。』

『遠征不可能は厳しいですよねー。』

そう言いながら、修理用の素材を集めまくるメンバー達。

その裏で、素材回収時に集計されていることを知っているプレイヤーが数が少なかった。


サーバ間移動が禁止され、天界の塔が現れて1週間が経過した。

『おい、最近金属系素材アイテムが値上がりしてないか?』

『修理用で、優先的に大規模ギルドがかき集めてるんだよ。今なら金を稼ぐチャンスだぜ。』

『となると……サドガシマか……ほかどこか金属系のアイテムは何処で落ちたっけ?』

『……ちょっと待て、今wikiで調べるから。』

中級冒険者達はそう言って、素材集めにせいを出していた。


『………まずいですね。』

たかやはNPCの運営するオークション会場で値段を見ながらそう呟いた。

『どうしたんじゃ?』

ヘッジホッグがその言葉を聞いて質問を行う。

『金属以外の素材アイテムの値下がりが始まっています。』

『!!!それは大変じゃな。』

『……値上がりならまだ対応できるんだけどな……。』

『……この程度じゃ運営は動かんじゃろ……どうするつもりじゃ?』

ヘッジホッグがにやにやと笑いながらたかやに質問する。

『買い占めるにしても量が多いですし………。いや先行投資と考えれば元はとれるかな?』


さらに1週間後………。

『あれ?値下がりが止まった?』

『ふむ……誰かが素材アイテムを買いまくっているようじゃのう………。』

『………NPCが、素材アイテムを集めているようですね……。』

『上手くシステムが出来とるの~。』

『あんな塔がいきなりたっても平然と仕事を続けているあたり、やっぱり只のNPCなんでしょうね。』

『……父の書斎で、NPCの設定を見てしまったらそうもなりますって……。』

NPCの細かなステータス画面、イベントタグ、レベルと職業で自動的に設定される能力値。

そして小さすぎるフレーバーテキスト。

それだけではない。一回とある冒険者がポカをして、プレイヤータウンにレイド級モンスターがやってきたことがあるのだ。

『あの時は苦労しましたよ……攻撃スキルを使おうとすると衛兵がやってきて、攻撃してくるんですから……。』

『それはそれは。』

『あいつら、モンスターを無視して俺達を攻撃してくるんですよ。それでモンスターにふっとばされても、そっちを無視してこちらを攻撃してきましたからね………。』

『……それはひどい。』

『GMコールを使って、退去させてもらったんですけど、それまでに何回モンスターに殺されたか……。』

『それからですね。都市防御用の結界と言う設定ができたのは………。』

たかやはやや懐かしい感じで、そう言った。

『それじゃったら、モンスターが町に入ってきたら、衛兵が倒せばいいのじゃろ?』

『それをしちゃうと、わざと街中にモンスターを呼ぶ人が出てきちゃうから駄目です。』

たかやはそう言って突っ込みを入れた。

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