表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

平凡な日々の終焉

「平凡な日々の終焉」 



∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞



「「「「「お疲れさま!!!!!」」」」」

五人のギルドメンバーの声が響く。

 今日という日は、特別な日だった。サービス開始から10年、ありふれたゲームの中のひとつが終わろうとしていた。



「10年か・・・短かったような長かったような・・・」

「そういやぁ、墓・ナリィ・ペン太は最古参だったっけ?」

「ああ。だが最後ぐらいグレイヴスと呼んどくれ・・・」

「もう定着しちゃったしな~ぷぷっ」



 そのゲームの名はVRMMORPGファンタジーアそのままでいいんじゃ?とよく言われる名前であり、よくある西洋中世風の描写の剣と魔法が売りのゲームだった。

 ネットゲームとしては特に斬新な要素はないものの、遊びスキルや生活魔法取得がランダムなレア称号という独自性。

 フィールドも広く多種多様であり歩くのに一時間を超えるのは当たり前。

 課金はもっぱら移動系と装飾といった戦闘にかかわらないものであったことが極端な強さの突出を防ぎ。

 豊富な素材で思うが儘キャラの容姿を作れる自由度の高さと現実にそったあるコトで人気がでた。



「結局大剣の全属性武器は、手に入らなかった」

「ドンマイ。」

「あと一つだったっけ~っていうか槍と斧集めたんだっけ・・」

「コレクターだなぁ、ナリィさん。普通合うのか一番強い種族武器だけでよくない?」

「光るのカッコイイだろう?」

「コレクターだ。」

「廃人。」

「実践でも使おうとするしな、ナリィの場合。」

「でもあの展示店はいい出来だったなぁ。」



 このゲームは種族を決めその範疇から、キャラが作れる。

作れる種族は、ヒューマン・エルフ・ドワーフ・ホビット・リザードマン・亜人種である。亜人種は、耳、尻尾、等ヒューマンに何かついたものがそうまとめられている。



「まぁ、ナリィさん廃人で間違いないなぁ・・魔法職じゃないし。」

「よくここまで来た。」

「間違いなくM。」

「俺でも魔法特化無しは地獄。」

  


 種族はそれぞれに補正が付き、ヒューマンが平均、エルフは魔法+敏捷+体力-、ドワーフが体力+攻撃+速度-魔法-、ホビットが魔法+速度+体力-防御-、リザードマンが攻撃+防御+速度-魔法-、亜人種はランダムとなっていた。そして、ドワーフは鍛冶師、ホビットは細工師等が基本の能力と設定されていた。



「五回も転生してる時点で、お前らも十分廃人だろうが!!」

「でもなぁ~、魔法職だし。」

「範囲だし。」

「近接泥臭すぎ」

「スキルがない時点で近接は地獄が見えてたしな・・・」



 そうこのVRMMORPGの魔法系はフレイムヘル、ライトといった戦闘・生活スキルがあるが、近接職に戦闘スキルがなく自分が考え動かし戦闘する現実同様という一般人に優しくないゲームだった。

 ゆえに近接職は圧倒的に少なく、縛りプレイヤー・Mの人たち・現実に生きろ といったように呼ばれ絶滅危惧種扱いである。

 その中でもナリィは、firstキャラであり五回も転生するといった廃人の中の廃人であった。



「どう考えても囲まれて終わりだもんなぁ・・・」

「ゲームでも現実同様打ちのめさせられるという。」

「運営は近接嫌い」

「だな」

「だ、だが現実でも力が付くぞ!!」

「「「使う機会ない。。。」」」

「ナリィお前も事務職だろ・・・」

「・・・・・」



 転生は強くてニューゲーム状態になる上に称号というものがよりもらいやすくなる。

一般的に魔法職で無双すると〔範囲強化〕〔魔法特化〕等の称号が付く。



「能力上がっても、魔法職に距離とられると無理だしね~」

「ナリィは暗殺特化すべき」

「だなぁ~範囲で視界封じて紛れ込めれば最強!」



 その中でもナリィは、〔近接熟練〕〔抗魔法〕〔気配遮断〕〔愚者〕〔薬漬け〕といった称号を持っている。

〔近接熟練〕は、その名のとおり近接熟練者が手に入るという称号であり、あらゆる近接武器が扱える(ドワーフなのに双剣使用可)

〔抗魔法〕は、かなり魔法を喰らうともらえる。効果は、魔法抵抗大。(魔法を使う職は基本障壁魔法を使うため殆ど誰も持ってない)

 この二つは頑張れば手に入るものである。しかし残りの二つは取得方法が不明だ。

〔気配遮断〕は、肉眼でしか発見されない。サーチ(探索)魔法で発見されない。ナリィいわく取得は、ギルド戦等で空気のように行動し続けた結果取ったと思ってる。

〔愚者〕は魔法最小・攻撃大、ライト(光)を唱えると通常周りが明るくなるほどだが、

ナリィの場合ロウソク仕様。これが出たからこそナリィはもはや後に引けなくなった。

そして最後の〔薬漬け〕



「その名の通り薬に頼りまくるという・・」

「憐れ」

「調合士とかになるのかなっと思ってた・・・ぷぷぷっ」

「まぁ最後の方だと一級品で赤字確定だしな」

「ひどすぎる~~~」



 効果は、状態異常耐性と使用薬品薬物効果大という名前がアレだがいい称号だった。


「まぁ~なんであれ『ペグナイト』バンザ~イ!!」

「「「「バンザ~イ!!!!」」」」



 ギルド 【ペグナイト】 メンバーは、

亜人(女型ペンギン)のペン太郎・ヒューマン(男)のグレイヴス・ドワーフ(男)のナリィ・エルフ(女)のイチゴ牛乳・ホビット(男)のトロットロの構成だ。

 安直だがメンバーの頭文字を取って付けただけのギルドだが、

 ファンタジーアの中でも上位に入りかつ異なる種族の構成されてた。

そして、今日がギルドの最後の打ち上げ会だった。楽しい時間は夜遅くまで続き、時間が経過し・・・



「んじゃ、またいつかどこかで会おうぜ!」

「元気でなー」

「またね~」

「バイバイ」

「みんな、ありがとうな~楽しかったぞ!!」





そして、VRMMORPGファンタジーアはサービスを終了した。




∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞



その日から五日後・・・ナリィだった自分は深々と緑が茂る上を見、

その場から周り一帯の木々の群れを見たあと



「どこ、ここ?」



洞窟から出てきた女エルフは、うっそうと茂る森の中で、ひとりそう呟いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ