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異世界ダンジョンで空母機動部隊は奮闘す  作者: 敵機直上急降下


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インド洋作戦

インド洋作戦


 軍令部は、攻撃開始は遅れたものの真珠湾奇襲成功の報を受け安堵し、予想外の米戦艦部隊壊滅の報に沸き立ち、今作戦の有効性を高く評価しつつも戦艦の時代の終わりを感じる者もいた。翌日の空母2隻撃沈の報を受け、完全なる勝利だと歓喜し、オアフ島への陸戦隊上陸の報を受け困惑した。

 誤報を疑い何度も確認を取り、間違いなく機動部隊は陸戦隊を編成し上陸させ、オアフ島攻略を行っていることが分かった頃には、機動部隊はオアフ島の大半を占領下に置いていた。


 異世界帰りだという報告は受けていた。機動部隊の乗員達が超人的な力を持ち、魔法を使える事も把握はしていた。

 しかし、まさかここまでやるとは誰も予想はしていなかったのである。


 独断専行ではあるが、臨機応変とも言え、このままオアフ島を占領できれば確かに大戦果ではあった。

 命令を大きく拡大解釈すれば、どうにか納得できなくもないが、占領の準備など一切出来ていないため、非常に困る状況でもあった。


 やがてオアフ島占領の報が届き、軍令部は大本営で陸軍参謀本部と協議していたのだが、今度はオアフ島外のハワイ諸島の占領と、ミッドウェー島やジョンストン島などの攻略を行っているとの報が入り、大本営は駐留軍の派遣を決定した。

 この事で、機動部隊が異世界に行っていた事が陸軍にも伝わり、現在の機動部隊の実力の程が陸海軍で共有されたのであった。


 国内では、米太平洋艦隊壊滅の一報で沸いていたのだが、続くハワイ諸島占領の報で提灯行列ができるお祭り騒ぎとなっていた。

 機動部隊は英雄視され、指揮官は軍神ではないかともてはやされていた。


 オアフ島を占領した機動部隊は、民間人の米本土への移動を許可していた。そのための船舶の入港も認めていた。

 ハワイ諸島占領後も同様の措置がとられ、駐留軍が到着するまで継続された。


 機動部隊は駐留軍に引継ぎを行い、本土に帰還した。



 真珠湾攻撃が行われた後、米西海岸沿岸で通商破壊を行っていた異世界帰りの潜水艦は、一部乗員で編成した陸戦隊を米西海岸に密かに上陸させ、軍事施設への魔法攻撃を行わせていた。

 それは主に夜襲であり、いくつかの軍事施設への被害を与えたが、さすがに寡兵であったため大きな戦果とはならなかった。しかし、西海岸の住民に与えた心理的衝撃は、予想以上に大きなものとなっていたようであった。



 軍令部は、あらためて機動部隊司令部の面々から報告を受け、その若返っている姿に異世界帰りという異常事態を実感した。

 特に機動部隊司令長官は、人が変わったように自信に満ち溢れており、とても専門外の航空を任された人物とは思えなかった。


 機動部隊司令部は、軍令部に米西海岸への攻撃を申し出たが、さすがに却下された。

 アメリカの戦意を挫き早期講和を果たすには、米本土に対する大規模な攻撃が有効であり、戦争準備が整っていない今が好機であると説いたが、南方作戦が優先であるとして認められなかったのであった。


 軍令部としても、異世界帰りの機動部隊による米西海岸攻撃は可能であると認識してはいた。しかし、本来の作戦目標である南方資源地帯確保を優先せざるを得ないのであった。

 南方作戦を行う上で、アメリカの介入を防ぐための真珠湾攻撃であったため、既にその目的は予定外のハワイ諸島占領で十分過ぎるほど果たされており、以後は後顧の憂い無く南方作戦に専念できる状況となっていた。


 機動部隊は南方作戦への支援を命じられ、再び戦場へ赴くのであった。



 機動部隊が持ち帰った艦船は、日本で建造した物と遜色ないことが分かり、そのまま戦力化されていく事になった。

 航空機も、二式艦上戦闘機、二式艦上攻撃機、二式艦上偵察機として正式採用され、工作機械や治具も有効活用されていくことになった。


 異世界から持ち帰った航空機やエンジンそして資料は、基となった機体を製造した三菱・中島・愛知にも渡され、次世代機開発の参考になっていった。

 エンジンは、金星を18気筒化した物であったため、そのままハ43エンジンの開発が大いに進む結果となった。



 南方作戦に参加した機動部隊は、落下傘なしの空挺降下を行い、他の部隊の度肝を抜いていた。

 機動部隊の空挺降下の印象があまりにも強すぎ、空挺部隊の愛称「空の神兵」といえば機動部隊の空挺降下と認識されるようになってしまった。


 機動部隊の無茶苦茶な空挺降下に対し、海軍は陸軍から猛抗議を受ける事になってしまったのである。

 華々しい戦果を挙げる海軍と違って、陸軍の戦果はあまり目立っていなかった。そのため、落下傘部隊の活躍を宣伝に活用しようとしていたのである。


 海軍は陸軍の抗議に対し、ビルマ方面の支援を行う事で話を付けた。具体的には、原因となった機動部隊をインド洋へ向かわせる事にしたのだった。

 陸軍は、中国国民政府への支援経路を遮断するためビルマへ進攻していた。機動部隊にはそれに伴う海上輸送を支援させ、また占領後の安全な海上輸送を確立するため、インド方面のイギリス軍を叩き、インド洋の制海権を握らせようとしたのである。


 一方オーストラリア方面へは、急ぎ戦力化した改翔鶴型空母が数隻派遣される事になっていた。

 練度は低かったが、飛行甲板が大きく離着艦はし易かったのである。



 1942年4月。機動部隊は、セイロン島及びインドのイギリス軍を攻撃した。

 飛行場や軍事施設、艦艇に攻撃を加えていった。


 機動部隊は、イギリス東洋艦隊の所在を捜し求めていたがなかなか捉まらず、インドとセイロン島への攻撃を続行していた。

 爆撃と魔法攻撃により、インドとセイロン島のイギリス軍は徐々に抵抗が弱くなっていった。


 そして遂に、イギリス東洋艦隊を発見したのであった。

 インド南方より北上してきており、おそらくはインド南方の環礁地帯に拠点があるものと推測された。


 機動部隊としては非常にありがたい状況であり、制海権を握る好機であった。イギリス東洋艦隊が潜伏したままでは、いつまでもたっても制海権を得る事はできないからである。

 イギリス東洋艦隊の方針が変わったのは、イギリス本国からのインド救援要請を断れなかったからだと考えられた。


 機動部隊はイギリス東洋艦隊を壊滅させ、拠点と思しきアッズ環礁を発見し占領した。


 機動部隊はアッズ環礁を拠点として、インド洋での通商破壊戦を開始する事とし、軍令部に駐留軍の派遣を要請した。

 機動部隊は3隊に分かれ通商破壊を行い、多数の船舶を鹵獲し日本へ送る事になった。


 軍令部は米豪遮断作戦に夢中であり、陸軍の支援であるインド洋作戦は認識しつつも野放し状態であった。

 とはいえ駐留軍の派遣要請などには応えつつ、イギリス東洋艦隊の撃滅は国民に大きく報じられ、機動部隊司令長官の人気は鰻登りとなっていた。


 機動部隊はアッズ環礁に続いてソコトラ島も占領し、インド洋の制海権を確保していった。

 さらに紅海沿岸のイギリス軍基地も攻撃し、イギリス軍を疲弊させていった。



 6月。日本海軍のインド洋での活躍により、ドイツはアフリカ軍団を増強し、エジプトでの攻勢を強めていた。

 この情報を入手した機動部隊は、紅海沿岸への攻撃を強化し抵抗を排除していき、スエズ運河確保のため空挺降下を行った。陸戦隊も上陸してスエズ運河を確保し、ドイツアフリカ軍団とイギリス軍を挟撃し粉砕。陸戦隊はドイツアフリカ軍団と握手を交わすのであった。


 スエズ運河を確保した事で、インド洋の制海権はほぼ確立されたといえた。

 日独の往来が再開することになり、機動部隊の任務に通商路の安定化も加わった。


 既にビルマ方面への海上輸送経路は確固たたるものとなっており、インド洋の制海権がほぼ確立された事で、国民政府への支援も減少していると予想され、陸軍への支援は十分に果たせたと思われた。

 新たに加わった任務である日独の通商路の安定化は、インド洋と地中海を指したものであるのだが、拡大解釈すれば大西洋も含まれた。


 機動部隊はマルタ島へ砲爆撃と魔法攻撃を加え、無力化した。

 後にイタリア軍が上陸し占領を試みたが難航し、ドイツ軍が加わってようやく占領した。



 8月。機動艦隊はジブラルタルを攻撃した。爆撃と徹底した魔法攻撃で砲台等を破壊していき、基地機能を喪失させていった。

 後日、スペインが枢軸への加盟を表明し、ジブラルタルへ侵攻した。


「インド洋と地中海の制海権は枢軸のものとなった。ドイツとの通商路安定化のため、大西洋へ向かう」


 機動部隊司令長官は力強く宣言し、機動部隊は大西洋へ進出するのであった。

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
軍令部は拡大解釈でドシドシ進撃する機動艦隊に遠い目をしつつ許可出すしかないよね
美大落ちさんが魔法にものすごく興味をひかれそう。
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