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異世界ダンジョンで空母機動部隊は奮闘す  作者: 敵機直上急降下


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迷宮都市国家

迷宮都市国家


 艦隊は、当面の食料の心配はなくなった。しかし、元の世界に帰還するためには、120年待たなければならないという。

 打開策として、艦隊の乗員達が地下迷宮へ赴き、81階層以降で回復薬を服用し続けるという方法が情報収集により見出された。


 回復薬は、地下迷宮で得られる液体であり、地上で服用すると疲労回復の効果しかないが、地下迷宮で服用すれば階層に応じて効果が変動した。

 11階層未満であれば、かすり傷程度にしか効果がないが、深層では身体の欠損すら回復し、寿命も延びるという。病に対しても効果があり、深層で回復薬を服用し続けている間は病に掛からないともいう。


 この世界には魔法があり、回復薬と同様に地下迷宮の中ではその効果が高まり、地上では効果が低下した。

 魔法は、魔物を討伐する事で使えるようになる。魔物を討伐すると、討伐した者の位階が上がり、身体能力が向上し、魔力が使えるようになり、魔法を行使できるようになる。


 高位階の者は、効果は落ちているものの地上でも高威力の魔法が使え、それがこの世界の軍事力となっていた。

 しかし、そんな高位階の者達でも、海竜を討伐するのは困難であった。


 高位階の者達でも手こずる海竜を、短期間に多数討伐し持ち帰ってきた艦隊に迷宮都市国家は興味を持ち、その中でも海竜を直接討伐した戦艦に着目し、その戦艦の建造技術を求めてきた。

 海竜を容易に討伐できるようになれば、海洋交易が行えるようになり、迷宮都市国家のさらなる発展が見込めたからである。


 艦隊としては、ここが異世界である事から軍事機密など関係ないため、技術提供に異論はなく、むしろ自分達の立場を良くするために、積極的にあらゆる技術や知識を提供する事にした。


 この世界の発展度合いは、地下迷宮内の安全地帯に築かれた大都市では魔法技術により大いに発展していたが、地上では魔法の効果が低下するため、あまり都市は発展しておらず中世然とした暮らしを送っていた。

 そこへ艦隊は、科学を持ち込む事になるのである。


 そもそも戦艦を建造するには、様々な物が必要である。

 前提となる知識や技術、そして設備などが多岐にわたり必要となる。それらを全て揃えて初めて運用できるのである。


 日本では列強からの技術導入はあったものの、明治維新から僅か四十数年で金剛型戦艦が建造できるようになった事から、この世界でも相応に時間をかければ、金剛型戦艦を建造し運用できるのではないかと思われた。

 しかし、江戸時代の日本は識字率が高く、しかも和算という高等数学を理解している者が多く、冶金技術もそれなりにあった。それが、四十数年での金剛型戦艦建造にも繋がっており、同様の事を求めるのは難しいのではとも考えられた。


 艦隊司令部は、艦隊の乗員達を大きく二つの役割に分ける事にした。迷宮都市国家に技術提供を行う者達と、迷宮を探索し深層を目指す陸戦隊である。

 陸戦隊が迷宮探索を先行して行い、位階を上げ深層を目指し、技術提供を行う者達がその間に迷宮都市国家に技術や知識を伝え、折を見て陸戦隊に先導され位階を上げていく方針とした。


 艦隊の司令長官や司令官達も当然陸戦隊に加わる予定であり、当面は指揮官先頭を実践していく事になった。

 技術や知識を伝える者達は、乗員達の中から選抜され、数が絞られた。これで、艦隊の乗員達のほとんどが陸戦隊に編入される事になったのであった。


 迷宮都市国家の領土内には、炭田、鉄鉱山、油田も存在する事が判り、順調に発展できると予想された。

 識字率は高くなく、知識階層も限られていたが、迷宮で位階の上がった者達は、知力や器用さ等が上昇するらしく、知識・技術の習得や工作機械の製造も順調に進むのではと予想された。


 艦隊司令部は、迷宮都市国家と協議し段取りを整え、膨大な人数となる乗員全ての探索者登録を進めていった。

 そして、技術提供を行う者達を地上の都市に残し、迷宮探索を行う陸戦隊は艦隊の艦船警備に残す者達を除いて、地下迷宮第一階層へと段階的に向かっていった。


 いかに数百万の人口を誇る迷宮都市とはいえ、機動部隊の全ての乗員を一度に受け入れる事はできなかった。

 また、艦隊の艦船を完全に空にするわけにもいかず、交代で警備の者を残す事にした。


 迷宮都市国家は、地下迷宮の安全地帯になっている階層に大都市を築いており、安全地帯は1階層を始めとして10階層ごとに存在し、安全地帯の階層都市は、1階層、11階層、21階層、31階層、41階層、51階層に建設されていた。


 52階層以降は魔物もより強くなっているため、61階層には探索者しか居住していなかった。

 71階層には、高位階の探索者達が簡易の宿営地を設けているだけで、81階層は滅多に探索者も留まらなかった。


 82階層以降は非常に危険であり、91階層からは回復薬で若返ると分かっていても、命を落とす危険性がそれまで以上に高く、好んで挑む者は少なかった。

 裕福な者や権力者が若返りを望み、高位階探索者を高額で雇い挑んだとしても、かえって足手まといとなり、91階層到達の成功率は低くなっていた。


 陸戦隊が地下迷宮1階層に降り、その巨大な都市に、地下なのに空がある事に、まず驚愕するのであった。

 そして地下迷宮では「状態表示」と唱えれば、自身の位階と身体能力、使える魔法が目の前に表示される事にも驚かされるのであった。

お読みいただきありがとうございます。

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