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人気者の君と一人ぼっちの僕  作者: 浅井天


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10年後の話


インターホンの音が部屋に響いて私は玄関に向かう。玄関の扉を開けて彼女たちを迎える。

「久しぶりー、杏菜ちゃん、茜ちゃん、陽菜ちゃん」すっかり大人になって高校生のころにはなかった綺麗さが身についている。元から身についていたが隠れていたのか人生を過ごす中で後天的に身についたものなのかはわからないが魅力の詰まった人だ。

「久しぶりー、雪ちゃん」三人がそろって同じ言葉を言う。

「あがってもいいの?」杏菜ちゃんが聞いてくる。

「いいよ、いいよ。あがって」

「お邪魔します」

三人が順番に入ってきて靴をそろえて家にあがってくる。

私は三人をリビングにあるテーブルに案内してクッキーとお茶を提供して杏菜ちゃんの隣に座った。


「相変わらず、きれいな部屋だね」杏菜ちゃんが私に聞いてくる。

「ありがとう、掃除するの楽しくて」大人になっても高校生のころとしてることは特に変化してないなと思った。

「それより、茜ちゃんご結婚おめでとう」

杏菜ちゃんと陽菜ちゃんも続いて茜ちゃんに言った。

「みんなありがとうー、私も雪ちゃんと杏菜ちゃんみたいなお母さんと奥さんになれるように頑張ります」

私と杏菜ちゃんは手と首を横に振る。

「いやいや、私なんて全然参考にならないよ」

「私も全然」杏菜ちゃんが答える。

「2人ともすごいよ。私なんてわからないことばっかりで見習うことばっかりだよ」茜ちゃんはそんなことを言っているがとても幸せそうな表情をしている。

「雪ちゃん、結婚生活でアドバイスとかある?」

「そうねー、2人でよく話し合うとかかな。どんな奥さんが正解でどんな旦那さんが正解とかはなくて、2人がいいと思った形を大切にすることじゃないかな」私は謙遜とかではなくて本心で答えた。

「なるほどね、雪ちゃんは綾斗君との約束みたいなのあるの?」

私は少し悩んで考えた。

「かくしごとをしないとかかな」

「いいね」三人ともうなずいていた。


「私も早く結婚してそっち側の会話したいんですけど」ずっと話に入ってこれなかった陽菜ちゃんが話した。彼女はまだ結婚をしていない。少し理想が高すぎるのかもしれない。

「大丈夫だよ、陽菜もすぐできるって」茜ちゃんが慰める。

「それ何千回と聞いたよ」

「陽菜の理想が高すぎるのが良くないんだよ。国家予算並みの年収の人なんていないよ」

私と杏菜ちゃんは笑ってしまった。

「たぶん、いるもん」

「いないよ、現にまだ出会ったことないじゃん、今は彼氏もいないし」

「そんなこと言わないでよ」少し元気がなくなった。

「年収、国家予算ではないけど、いい人はいるよ」私が陽菜ちゃんに提案した。

「え、誰々、かっこいい?」元気を取り戻して興味津々だ。

「顔はいい方ではあると思う、高校の同級生で生徒会会計だった東君はどう?」

「東君か、たしか上田君と話してるとこ見たことあるかも、上田君紹介してよー」

「上田君はだめだよ、今は海外に移住してるし向こうで結婚もしたらしいよ」

「えー残念、東君で我慢します」

その言葉を聞いて茜ちゃんが陽菜ちゃんの頭をチョップした。

「陽菜、失礼すぎ」

「ごめんなさい」彼女は頭を下げた。


「一応、紹介しとくね」

「ありがとう、雪ちゃん」


「そういえば、綾斗君と汐ちゃんは?」杏菜ちゃんが聞いてきた。

「公園で遊んでくるって言ってたけど、いつ帰ってくるのかわからない」

「そうなんだ、綾斗君はいいお父さんしてるね」

「どうかなー」私は曖昧に答えた。


そのあとを色々な話をして気づいたらかなり時間が経っていたので杏菜ちゃんと茜ちゃんは「急いで帰らないと」と言ったので解散の雰囲気になってみんな帰っていった。にぎやかで学生時代のような青春を思い出して楽しかった。だからこそ、みんながいなくなって静かな部屋に1人でいるのはすごく寂しい。片付けをしつつ陽が落ちつつあるので少しずつ暗くなっていく部屋を見ながらひとりで使うには持て余す大きさだと思った。


「ただいまー」慌ただしく靴を脱いでリビングに走ってくる歩幅の小さく、大きな足音が近づいてきた。

静かで寂しく薄暗い部屋も一瞬でにぎやかで楽しく明るい部屋になった。

「ママ、ご飯なに?」

「ハンバーグだよ。それより、汐、外から返ったらまず手を洗って」

「はーい」

遅れて部屋に入ってきた、子供よりも服に土をつけてきた綾斗。

「ただいま」

「おかえり、先にお風呂はいったら?」

「そうする」

子供の前だから付き合ってた頃に比べたら愛の言葉も二人だけの時間は減ってしまったが愛は深まり続けていると感じる。


「ねぇねぇ、ママはどうしてパパと結婚したの?」

「それは、パパの幸せそうな顔を一番近くで見たいからかな」

「汐もママとパパの笑顔大好き」

汐は子供らしいあどけない満面の笑顔で私に答えた。



夜も更けて汐はもう寝てしまった。私が3歳のころはどんな感じだったのかわからないけどこんなに可愛かったのだろうか。寝ている汐を見てさっき汐に聞かれたことを思い出した。

「綾斗はなんで私と結婚しようと思ったの?」

温かいお茶を飲みながら読書をしている綾斗に聞いた。

「え、急にどうしたの?」綾斗は不思議そうに疑問を疑問で返してきた。

「なんとなく、気になったから」

「ふーん、人生が終わる瞬間まで雪と恋愛したいと思ったからかな」彼は真剣な表情で答えた。

「どういうこと?結婚したら恋愛って終わりじゃないの?」

私は彼の言葉から生まれた疑問をそのままぶつけた。

「恋愛は結婚が終わりではないでしょ、結婚が恋愛の終わりなのであれば不倫なんて存在しないはずなのよ」

「たしかに言われてみればそうかも」私は少し納得してしまった。

「雪は汐に聞かれてなんて答えたの?」

「え、どうして汐に聞かれたってわかったの?」

私は驚いた顔をしていたと思う。

「隠すの下手なのよ、バレバレ」10代のころとなにも表情変わっていないなと思った。

「綾斗の幸せそうな顔を一番近くで見たいから」

私は最後の方は恥ずかしくなってはっきり言いきれなかった。

後ろの前でははっきり言えたのに結婚して何年も経つのにまだ照れてる自分が恥ずかしい。

「うれしいな、照れて最後の方あんまり聞こえなかったのもよかったね」

「ちょっと、茶化さないでよ」

「ごめんごめん、でもほら、結婚しても恋愛してるでしょ」

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