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人気者の君と一人ぼっちの僕  作者: 浅井天


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これから

僕は木下さんの話を聞いて自分の知らないところでみんなが頑張ってくれていたのだと知った。自分のことに精一杯で周りの動きに全く気付くことができていなかった。

もしも、自分が木下さん側であった時信頼できる人を集めて解決に向けて行動することができただろうか。他人のために自分の時間を割くことができただろうか。

おそらく、自分ではできないだろうな。彼女の無条件のやさしさを僕が真似できるはずがないのである。


「そんなことがあったんだ。全く知らなかったよ。木下さん本当にありがとう」

「全然、私は特に何もしてないよ。ほとんど上田君が進めてくれたの」

「そうだったんだ。副会長にもあとでまたお礼しないと。それにしても木下さん本当にありがとう。どうお礼すればいいか」僕は一生かけても返すことができなさそうな感謝を抱えていた。

「じゃあ、一個だけ質問していい?」

「いいよ」思いもしない提案だがすぐに反応した。

「石川さんと付き合ってるの?」

「いや、付き合ってないよ」

「じゃあ、なんで遊びに行ったりしてたの?」

「あーそれは別のわけがあって、文化祭のお礼的な」僕は本筋は隠しながら正直に答えた。

「本当?」

「本当だよ」

「じゃあ、信じる。好きとかはないの?」

「恋愛的な意味の好きはないかな。友達って感じだね」

「へー」木下さんは目の前の僕のことを考えていないような、自分の頭の中に意識が集中しているような気の抜けた返事をした。

「聞きたいことってそれだけ?」

「うん」

「この質問に答えただけでお礼が終わるのはわりに合わないよ」

「そんなにお礼したいなら今すぐじゃなくていいからこれからの人生で少しずつ私に返していってよ」

木下さんは少し照れくさそうに答えた。

「わかった、そうする」僕は微笑んだ。

これからも木下さんと接していいのだと思いうれしかった。

僕の返事を聞いて木下さんは嫣然と微笑んだ。



その後、僕をいじめていた人たちと西村君はがどうなったかと言うと2か月間の停学になった。西村君はカメラに僕をいじめている証拠がなかったが自ら停学という処分をみんなと受けることを望んだようだった。高3のこの時期に2か月間の停学はかなり進路に響いてしまうので彼らにしたら困ったものだろう。しかし、退学にならなかっただけマシだろう。退学になってしまうと今までの高校生活がほとんどなかったようなものになってしまうのだから。彼らの行いに対して適切な処分であったのかはわからない。彼らを更生させるために少し甘い処分になったのだろうか。

学校の中で起きた暴行や傷害だったからいじめといったもので片付けられてしまうのはいい事なのだろうか。社会で同じ行動をすれば暴行罪や傷害罪といったもので罰則を受けて前科が付くというのに。学校という子供たちに様々な経験をさせるための空間であるから許されていいのだろうか。


この罪と罰の関係が=で成り立っていないと感じる。

僕は罪という行いに対して他者が与える罰という関係にプラス罪悪感という自分が自分に与える罰、罪の意識が重要なのだと考える。他者が与えることができる罰には限度があり選択肢がかなり限られてしまっている。他者がどれだけ罰を与えたとしても本人が罪だと認識していなければ罪は続いてしまう。だから、罪を罪と認識する罪悪感を本人が自分に与え続けることが一番重要なのである。



木下さんと話したあと、両親にも今回のことを話して病院に行って治療を受けた。親に「なんで、言ってくれなかったの」と言われたが親と言うのは子供にとってなんでもかんでも相談できる相手ではないのだ。

元副会長の上田君や元会計の東君や元書記の入江さんにもお礼をして仲良くなることができた。

それからの学校生活は今までとは全く異なっていて突然変異した学校生活についていけず風邪をひきそうなほどだった。

みんなからしたら普通で日常に過ぎないかもしれないがその生活は僕にとってあまりにも特別で幸せな日々だった。

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