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人気者の君と一人ぼっちの僕  作者: 浅井天


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話し合い

5人で木村君を助けるための作戦を考えていた。

先生に相談する前に証拠が欲しいということだったのでどうやって証拠を獲得するかという話になった。

山本君は「いじめてるやつらに自白させるとか?」と言った。

それに対して上田君はすぐに「それは厳しいだろう」と答えた。

山本君は「なんで?」と自分の意見がすぐに否定されたことによって生まれた疑問を聞いた。

「だって、いじめてるやつがそんな簡単に認めて自白するとは思えないし、あと何人いるのかもわからないだろ。その全員に自白させるなんてめちゃくちゃ時間かかるし、その間に木村君へのいじめがエスカレートするかもしれないだろう」

上田君の意見を聞いて山本君は納得したような様子で「そうかー」とつぶやいた。

他のメンバーも上田君の意見には賛成なようでうなずきながら無言の肯定があった。

あっけなく目の前で案を却下されてしまった状況を目にしてみんな案を出すことをためらい悩んでいる様子で無言の時間が続いた。


その沈黙を破ったのは意外なことに東君だった。

「カメラ仕掛けるとかは?」とそこまで大きな声ではなかったが沈黙だった空気の中ではよく聞こえた。

「カメラか」上田君は悪くない案に対して頭の中で反芻しているようだ。

みんなが賛成も反対もしないでいるので私は声を出した。

「カメラいいんじゃない。カメラなら映像として残るし証拠としては完璧だと思う」


「確かにカメラなら時間帯とか気にしなくてもいいしいいかもね」杏菜ちゃんも賛同してきた。

山本君も「いいね」と言って賛同してみんなが賛同してくれていることで東君は安心している様子だ。

上田君も「カメラを仕掛けるのはいいかもな」と言って賛同した。

よって、なかなか決まらない状況が一転してチーム全員がまとまった。

自分で言うのはどうかと思うがまさに鶴の一声だろう。


「カメラを仕掛けるのはいいけどどこに仕掛けるのか決めないとな」上田君は悩みがなくなったチームに新たな悩みを投下した。

場所はいろいろあって学校もすごく広いのですべてをカバーできるほどカメラを仕掛けられるには生徒会の予算は心もとないものです。せいぜい3つぐらいが限界でしょう。

さらに、トイレや更衣室といった場所に仕掛けることもできないので選択肢がかなり難しいものです。

「教室とかは?」山本君は答えた。

「だめだな。教室は体育の時に着替えで使うし」上田君は冷静に答えた。

「そうかー。光はどこがいいとかないの?」

山本君はなかなか案を出さない上田君に投げかけた。

「そうだなー。痣ができるほどのことをしていると仮定するのならそこまで激しいことを人が来る可能性があるところでするとは思えないな」上田君は自分の考えをみんなに話した。

「なるほどな。光が考えてるのは人気のないところだと」

「そうだな」


上田君の人気のないところと聞いて学校外の可能性まで出てきたので場所を考えるのはきりがないのだと薄々気づき始めた。学校内で人気のないところだと校舎と少し離れたところにある建物かもう使われていない教室がいくつかあったように思う。

「校舎から離れたところに使ってない建物と教室あったよね」私はさっき自分が思い出したことをみんなに話した。

全員が「あーあったね」と思い出したように言った。

「でも、教室はもの置きみたいな扱いになってるから入れたものじゃないだろう。あるとしたら離れの建物だろう」と上田君は言った。


そういうことで私たちはカメラを2台購入して離れの建物に仕掛けた。

しかし、何日待ってもカメラに木村君もいじめている人たちも映ることはなかった。

2週間以上たっても映らないので作戦は振り出しに戻ることになった。


「映らなかったね。なんでだろう」私は素直な疑問を問いかけた。

上田君は冷静に「場所が違ったんだろうな。カメラを仕掛ける場所を変えるしかないな」と言った。

「一応使われてない教室の方見に行ってみる?」

「そうだな。行ってみるか」


全員で今は使われていない教室の方を見に行ってみることになった。

教室の中に入ってみようと思っていったが廊下まで段ボールの山が築かれており入ることは不可能ということになって生徒会室に戻った。

「だめだったね」

「そうだな」

再び沈黙が訪れた。


「木下さんは綾斗をいじめてる人の見当は大体ついてるの?」山本君が私に聞いてきた。

「うん、大体ね。ほとんどが私と同じクラスだと思う」

「じゃあ、クラスの人でどこでいじめてるか知ってる人がいるんじゃない?」

「確かにいるかもだけど、聞いて私たちが証拠を探してるってばれたらまずいんじゃない?」

「確かにそうかー場所を知ってて俺たちのことをばらさない都合のいい人なんていないよね」

私はクラスメイト全員の顔と名前を思い出しながら誰かいないか考えました。

「あ、1人いるかも」私は1人だけ思い当たる人がいました。



私はその心あたりのある人に1人で話しかけようとしています。

「西村君、一つ聞きたいことがあるのいい?」

1人で席に座っている西村君に話しかけました。

彼は私の顔を見るなり席を立って教室から出ていきました。なにも言わずに私の横をすり抜けたので私は追いかけました。

「西村君どこ行くの?」

彼は何も言わないで男子トイレに入ってしまったのでその日は諦めました。

翌日もその翌日も声をかけても何も言わないで私から逃げられてしまいました。

1週間経ったころやっと話してくれました。

「なに?」今まで聞いたことのない低い声で相手を威嚇するような声でした。

「あの、教室では言いづらい事だから放課後生徒会室に来てもらってもいい?」

「だるいし無理」

その日はこの会話だけでした。

そこからまた1週間生徒会室に来てもらうように説得してやっと来てくれることになりました。


「生徒会室行ったら、もう話しかけてくるなよ」

「うん、わかった。約束する」

そうして西村君を生徒会室に連れていくことに成功し他のメンバーもそろっていたので例の話をしました。


「俺がその話に協力するメリットなくね」

西村君は話を聞くと答えた。その発言を聞いた山本君が怒って喧嘩に発展しそうだったが上田君が止めた。

「それに本当にまだ木村をいじめてるかわからないだろ」

「それが、服の下に痣があったの」私は西村君に説明した。

「は、雪。もう、木村と服の下を見るぐらいの仲になってたのか」西村君は驚いたように大きな声で言った。

「え、違うよ。教室で木村君が服を捲った時に少し見えただけだから」私は焦って答えた。

最悪だ。顔が熱い恥ずかしい。

その発言を聞いて妄想してしまっている自分が嫌になる。

落ち着いて真顔を作り直す。

「変なこと言わないでよ」


「ふーん、まあ木村はいいやつだと思うし。最近はあいつに負けたなら納得できるって思ってきたし」西村君はさっきの冷たい雰囲気とは違うしんみりとした雰囲気で話した。

「負けたというのは?」上田君が気になったのか警察官のように西村君に質問した。

「もう時間が経ったことだからいいけど雪に告白して振られてるんだよ」

「なるほど、それで」周りは衝撃的なことを聞いたので驚いているのに上田君だけは落ち着いて先の話を催促している。

「そのショックで落ち込んでる時に雪と木村が一緒に帰ってたって聞いて。なんかムカついてきてさ、いつもいじめて下に見てたやつに自分は負けたのかって思って。それで、八つ当たりして強く当たってもあいつ折れなくて強くてしまいにはあいつに俺は似非王子とか言われてさ。みんな俺のことそんな風に思ってるのかなって思って、急にクラスメイトと話すのが怖くなって孤立して、あいつはずっとこの環境で生きてきたんだって思って強さを知った。本当は俺からあいつに謝らないといけなかったのに俺より先にあいつに最近謝られてさこれで完全に負けたなって確信したんだよ。雪と付き合うのは俺じゃなくてあいつなんだって」


私の知らない情報がたくさんあってそんなことになっていたんだと驚く半面ご都合主義的発言にあきれていた。

「なるほど、君はどこまでも自分勝手な人なんですね。自分から1人になったのに木村君と同じ環境とか言って知った気になって、同じ人間という土俵に上がる資格なんてないですよ」上田君は丁寧な言葉と口調なのにすごく心にくる怒り方をする。

上田君の言葉を聞いて威圧感丸出しだった山本君もおとなしくなった。

「はあー副会長さんが俺の何を知ってるって言うんだよ」

西村君はさっきの反省の色が溢れていたのが消え去り昔のプライドの塊になった。

「君のその人間性が負けてるんですよ。イケメンでヒロインと付き合ったり結婚したりするのが王子ではないんですよ。思いやりと品性が大事なんです。今のあなたにはその両方が欠落している。そんな人の協力はいりません。お時間をいただいてありがとうございました。おかえりください」

生徒会室にいる全員があっけにとられたような表情をしている。

上田君の発言に対して西村君はなにも言い返さず生徒会室を出ようとした。

その背中を見て上田君は「もし、反省して今までの自分を見直して真剣に協力したいと思うことができるようになったらまた来てください」と言った。

西村君は何も言わず、生徒会室から出た。


西村君が生徒会室から出て緊張がほどけた。

みんな久しぶりに息をするかのように息を吐いた。

これが修羅場と言うのだろうか。

「あのまま、返してよかったん?」山本君が上田君に聞いた。

「うん、いいんだ。絶対に戻ってくるから」

「何だよ、そのなんでも見通してますよ感のある強キャラ感は」山本君は水を得た魚のようにツッコんだ。

「いいだろ、少しぐらいは。僕はこうありたいんだよ」

「光だけに?」

「うるせえ」2人は仲良くじゃれ合っている。

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