秘密
みなさん、お久しぶりです。木下雪です。
ここから少し、木村君には話さないことを話そうと思います。
時はさかのぼって文化祭の翌週
放課後、帰っている途中に忘れ物に気づいたので教室にとりに戻ることにしました。
他の生徒は学校から出て家に向かっているのに私は学校に向かって歩いているので少し恥ずかしい気持ちになります。みんなとは違うことをしている逆のことをしているので目立ってしまっていそうで。
もうほとんど人の残っていない廊下を歩きながら教室に向かいました。
教室に近づくと中から声が聞こえてきたのでまだ誰か残っているのだと分かりました。
放課後に教室に残って話をしているのであまり私が聞かないほうがいい内容かもしれませんし教室に入った時に気まずいことにならないようにすぐに教室に入らずに中の会話を聞こうと思いました。
悪いことだと分かっているのですよ、でも一応確認しておかないと後悔するかもしれませんし。
気づいたら自分のための都合のいい言い訳を並べていました。
廊下でしゃがみながら教室の方に耳を傾けながら聞いている。
聞こえてくる声から察するに西村君たちのグループなのだと分かった。
ちょっと気まずい人たちが残っていると思いながら会話を聞いていると木村君もいるのだと気づきました。
まさか、またいじめを行っているのでしょうか。
懲りない人たちだとつくづく思います。一回でもその快楽を知ると簡単にはやめられないのでしょう。
いじめなら教室に入るべきだと思い立ち上がろうと思ったとき、私自身がすごく興味のある内容が聞こえてきてしまいました。
「雪のこと好きなん?」
自分が好きな人に聞きたい言葉ランキング1位でもあり聞けるわけのない言葉ランキング1位です。にも関わらず第三者は簡単に聞くことのできる魔法の言葉です。
この言葉を聞いて私の心拍数は過去最高に到達しました。もしも、鼓動の力で発電することができるのであれば私の心臓で全国の電力を賄うことができるほど速く動いていました。
私にとって一世一代の出来事が壁一枚向こうで行われています。
木村君の少しの返事の間が緊張感を全身に纏うには十分な時間でした。
緊張感を全身に纏いながら返事を聞きたいが聞くのが怖いといった感情も生まれてきて居ても立っても居られない状態です。
「好きだよ」
この返事が聞こえた時にさっきまで自分を覆っていたものが吹き飛んで喜びというきれいな感情に覆われて安堵感を纏いました。
マラソンの後のような疲労感を感じながらこのままここにいてばれるとまずいと思い私は身体をゆっくり動かして教室から離れて家に帰りました。
家に帰って忘れ物をとることを忘れたと気づきましたがもうそんなことはどうでもいいと思っていました。
お母さんに「雪何かいいことでもあったの?」と聞かれ私は「うん、少し」と返事をして表情に出ていたのかと思い真顔を頑張って作る。
「なになに、気になるんだけど」とお母さんがしつこく聞いてきたが私は「秘密」とだけ答えて自室に行った。
木村君のことを意識してしまい今まで通り話すことができなくなってしまい学校ではなかなか話すことができないまま土曜日になってしまった。
私は彼の感情を知ってしまっていてずるいのに何もできないのかと思い木村君に連絡をして電話をすることになりました。
電話越しに聞こえてくる彼の声を聞きながら幸せを感じていました。
彼の声は緊張しているのかカタコトですごく面白くてとても笑ってしまいました。
この友達と呼ぶべきような関係がすごくよくて、この関係が壊れるのが怖くて告白に踏み込むことができない男女が多く存在する中、私は彼の感情を知るというチートを得ることによって次に進みたいと強く思うことができている。
「木村君、今日何していたの?」と彼の何もかもを知ってしまい話題がない時に出す最終手段を出した。
彼から返ってきた答えは私が想像していた回答のどれにも当てはまらないものでした。
「石川さんと遊んでた」
この言葉を聞いて先ほど舞い上がっていた感情が引いていった。
この時の私はこの前お母さんの前で作った真顔よりも上手な真顔だったでしょう。
教室で聞いたことは嘘だったのでしょうか。
木村君の好きと言うのは恋愛感情ではなく友情的な意味だったのでしょうか。
そんなことを考えているので木村君の話が入ってきません。
あんなに楽しみだった電話なのに、なかなか楽しむことができません。
耐えることができなくて「勉強にもどる」と言って電話を切ってしまいました。
木村君は石川さんのことが本当の恋愛的に好きなのでしょうか。
私とはまだどこにも出かけたことないのに。
この疑問はなかなか晴れませんでした。
ここから先は木村君にも話します。
水面下ではまだまだいじめは続いているのだと知っていた。木村君が少し腕をまくった時に後ろから痣みたいのが見えて勝手に悪化してるんだと考えて、そろそろ本気で止めないと取り返しのつかないことになる。だから、止めなければいけない。でも、私一人ではどうにもできないことは過去の経験からわかっている。誰かに助けを求めることが必要だ。
私が一番頼りにしていて周りに口外しない口の堅い人物がいい。
そんな人物は生徒会にしかいないと思い相談することにした。
「そういうことで上田君と東君と杏菜ちゃんに協力してもらえないかな?」
「まあ、いいけどさ。いじめの証拠とかあるの?」上田君は冷静に聞いてきた。
「証拠はないかも、木村君の身体に痣らしきものがあるぐらいかな」
「それじゃあ、本当にいじめでできたものかわからないな」
確かにその痣を誰がどこでつけたのかはわからない。こけたりぶつけたりしたのかもしれないのだから。
「先生に相談した方が手っ取り早いんじゃない?」杏菜ちゃんは真っ当な意見を口にした。
「確かにそれがいいかもしれないけど証拠がなくて注意ぐらいで終わってしまいそう」上田君は顎に手を当てながら話した。
「蓮はどう思う?」上田君が東君に意見を求めた。
「正直、大変そうだしめんどくさい」東君はのびをしながら答えた。
「ここまで聞いて何もしないのはないだろう。協力しないなら連は生徒会から脱退だな」
「わかったよ。協力する」東君は仕方ないといった表情で答えた。
「だよな」上田君は東君の扱いがよくわかっている。笑いながら答えた。
生徒会メンバー全員が協力してくれるのが決まりほっとしていると生徒会室のドアが開いて山本君が入ってきた。
「話は聞かせてもらったぜ。俺も協力する」山本君は格好よく登場した。
「え、なんで拓海がいるの」上田君は驚いた様子で言った。
「光と一緒に帰ろうと思ってきたら話し声が聞こえてきて盗み聞きしてた」
「そんな堂々と悪いことをしてたって語るなよ」
「まあ、いいじゃないのー」山本君は上田君にすり寄っている。
「わかったから離れてくれ」上田君はそう願い叫んだ。
こうして木村君を助けるためのメンバーが結成された。




