なんで
数人の先生が教室に入ってきてハイエナたちを怒鳴りながら捕まえようとする。でも、さすがハイエナだなかなか捕まらない抵抗をしている。ハイエナたちはパニックになっていることはみればわかるが本能的に捕まるとまずいことを理解しているのだろう。
ハイエナの一人が「俺らがなにしたって言うんだよ」と大きな声をあげると先生は「木村をいじめてただろう」と言い返す。
「証拠がどこにあるんだよ」といかにも犯人が言うようなセリフを吐き散らかしながら暴れるハイエナたちを僕は呆然と見ていた。
呆然としている僕に声をかけてくる人がいたのでそちらを見るとその声の正体は拓海だと分かった。拓海の隣には副会長と知らない人もいた。
言葉の出ない僕を拓海は教室の外に引っ張っていた。
教室を出るときに西村君にすれ違った。「悪かったな」とだけ声をかけられた。
僕が教室を出た時に教室の方から西村君の声が聞こえた。
「お前らもうやめろよ。みんなで罰を受けよう」
その言葉のあと教室は静かになった。さっきまで激しく燃え盛っていた炎が消火されたようだった。
次々と先生に捕まえられた男子生徒たちが教室から出てくるのを見ていた。何事も収束するのは一瞬であっけないものだと感じていた。
そんな光景を見ていると先生の一人が「後日、木村の話も聞くから。今日はゆっくり休みな」と言った。
これで本当に終わったのだと確信を持つと同時に正気に戻ることができた。
正気に戻ると疑問が頭の中であふれてきた。
「拓海なんでいるの?」僕は横にいる拓海に向かって聞いた。
「はあーせっかく助けに来たのにひどいな。俺は不要だってか」怒っているような言葉だがいつも通り明るく接しようと気を遣ってくれたのだろうと僕は思う。
「いや、そういうわけじゃなくて。普通になんでかなって」
「綾斗を助けたかっただけだし」頭をかきながら少し照れくさそうに話している。
「ありがとう。副会長とその隣の子は?」僕は次の疑問を聞いた。
「あー僕たちは雪に頼まれただけだよ」副会長がそういうと隣の子はうなずいた。
「え、木下さん?」
「そうだよ、詳しいことは雪に聞いたらわかると思うよ」副会長はそう言うと続けて独り言のように「雪は今、生徒会室で勉強してると思うなー」と呟いた。
制服の中は痣があって痛む体を全力で動かして生徒会室に向かって走っていた。
メロスのように走り出していたが3人に感謝を言ってないと思って振り返って「拓海と副会長と男の子、本当にありがとう」と叫んだ。
「もう、僕もう副会長じゃないんだけどな」光はそういいながら楽しそうに笑顔になっている。
「男の子って呼ばれるよりいいじゃないか」と蓮は言いながら光をつついていた。
とりあえず、解決できてよかったな。長い道のりだった。
「え、拓海泣いてんの」
「あ、本当だ」
「はあー泣いてないは」俺は2人に背を向けながら制服の袖で目元をこすった。
僕は生徒会室に着くと呼吸を整える暇もなくドアを開けた。
そこには夕日に照らされながら机に向かっている木下さんがいた。
木下さんは顔を上げて僕の方を見ると「木村君廊下は走っちゃだめだよ」と言った。
「あ、ごめん」僕は乱れた息と少し負荷のかかっている足を意識して自分が廊下を走ったのだと思い出した。
「隣座る?」木下さんは椅子の方に目をやりながら聞いてきた。
「うん」僕は隣に座った。
「いろいろ聞きたげな顔だね。少し話しようか」




