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人気者の君と一人ぼっちの僕  作者: 浅井天


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16/28

準備

1週間が経ち文化祭の準備期間が本格的に開始し、慌ただしさもありつつみなそれぞれの作業に取り掛かろうとしている。慌ただしくなるほど、みな文化祭を楽しもうといいものにしようと頑張ろうとしているからなのだろう。僕は楽しもうという気は全くなくただ、授業がないからラッキーとった具合にしか思ってない。作業を始める前にクラスメイト全員が教室に集まって劇の台本が配られた。現状の完成版らしい、みんな配られた台本に目を通している。1週間で完成させるとはさすがだな、と感心しながら僕ならなかなか完成せずに上司に謝罪をたくさんしてそれでも完成せずお蔵入りにさせられるだろう。台本を読んでいるので静かだった教室も読み終わると騒がしくなっていき台本作成者に対して拍手と称賛の声が上がっていた。こういうところはいいとこなのになと思いながら台本をパラパラめくっていた。


教室では机といすを後ろの方によせ、役者の人たちが教室の前の方で台本読んで練習をし、小物作成者は空き教室で小物を作り始めていた。僕はというと空き教室に来たはいいもののリーダーシップも主体性のかけらもない人間なので指示待ち人間として空き教室の端で座っていた。小物作成係は15人いてみな仲の良いもので固まって話をしながら作業をしている。木下さんはというと生徒会の用事でいないので話しかけてくれる人はおろか目を合わせてくれる人もいない。一人で何もせずにいる時間は時間がなかなか過ぎないのですごく苦痛だ。せっかく、木下さんにコミュニケーションの練習をしてもらったのに何も生かせていないではないか。何が、自分を変えるだ。何も変わっていないではないか。自分に甘かったな、そうやって心の中で自分を罵倒しながら現状をかみしめながら時間が過ぎるのを待つだけであった。


昼休みの時間になりみんなそれぞれの弁当箱を広げて友達でかたまりご飯を食べている。僕は一人で端っこで食べている。みなご飯を食べ終わると材料が足りないから買い出しに行こうとなって10人が買い出しに出かけた。残っているのは僕を入れて4人だけになった。内訳は女子3人と男子1人だ。僕は悩んだこの状況で話しかけなければ練習の成果を出すことは不可能なのではないだろうか、いや、しかし、相手は女子だ。最初にしては少しハードルが高いのではないか1人で3人を相手にすることは困難を極めるではないか。今、動かなきゃいつ動く。僕は自分に言い聞かせ3人に話しかけた。

「あのー僕も何か手伝いましょうか、何かできることあります?」ぼそぼそと小さな声で話しかけた。いや、下手すぎるだろ、練習の成果は何だったんだ。言い訳をさせてほしい練習でできても本番でできないことなんて山ほどあるだろう、それがこれだ。

3人はびっくりした表情をして3人で顔を合わせてアイコンタクトをして1人が「じゃあ、この段ボール線に合わせて切ってもらえる?」そう言って段ボールとはさみを渡してきた。はさみの先がこっち向いてて怖いんですけどー、柄の部分で渡してほしいのだがと思いながら受け取り、「ありがとう」と言って自分の定位置に戻った。段ボールを切っていると買い出し組が戻ってきて、また騒がしくなったと思ったらみんな集まって何やらこそこそと話し出した。僕は地獄耳ではないのでよく聞こえないがみんなこっちをちらちらとみてきているのである程度は察した。「えー、どんまい。きもいね。」やら微かに聞こえた。

僕の勇気は失敗だったようだ。これからどうしたものかと思いながらいつもよりも心の奥が痛み涙が溢れそうになるがぐっとこらえて段ボールを切っていた。何かをして気を紛らわすことが今一番の治療だった。

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