再び
夏の暑さがまだまだ残っているが学校が始まった。約1か月もある夏休みも終わってみると一瞬だ。みんな始まってそうそう「夏休みに戻りたい」や「学校嫌だな」とか憂鬱そうに話している。僕もその憂鬱さを感じながら一人自分の席で寝ているふりをしていた。
始業式が終わるとクラス内の話題は文化祭どんな劇をするのかになった。文化祭実行委員の石田真央と西村壮太が中心になってクラスをまとめて話を進めていた。二人が司会として「何の劇をしたいのか案を出してほしいです」と言うとみんな次々に案を出していった。雨後の筍かよ。「シンデレラ、白雪姫、ロミオとジュリエット」など高校生の文化祭の劇と言えばと聞かれればすぐに思い浮かぶ作品が次々に出てきた。有名なアニメ作品や恋愛番組と言った最近の顔ぶれを出てきていた。こんなにたくさん案が出てくるとみなふざけたくなるものでそんなの劇にできないだろうといったものまで出してくるので黒板いっぱいに文字が並んでいる。笑点なんてできるわけないだろうと思いながら座布団運んでみたいなと思ってもいた。さすがにふざけすぎたので先生が「ちゃんと、できるものにしろよ。案はそんなもんにして数減らして多数決とって決めてしまいな。」あくまでも生徒主体なので先生はあまり多くを口出ししない。
結局、多数決の結果シンデレラになった。無難かつ安牌だ。もう、役を決める前からシンデレラと王子は決まったようなもんだ。シンデレラは木下さんで王子は西村壮太だろうな。僕が役を与えられるとしたら雑巾とかだろうな。
黒板に役が書かれて、役だけではクラス全員分役割が足りないので音響や照明、小物作成役といった感じに全員分の役割が書かれた。自分のやりたいところに名前を書いていく方針でみなやりたいところに名前を書いていった。王子のところには西村壮太の名前が書かれた。シンデレラのところはみな避けて名前を書かない。絶対やりたい人はいるのに誰も書かない、木下雪という存在がいるのだからシンデレラは彼女が一番ふさわしいという空気間だ。自分の気持ちを正直に話せず周りに合わせて生きているのは楽しいのだろうか。情けないものだ。あ、僕もその仲間か。
木下さんが黒板の方に向かったのでみな、シンデレラのところに名前を書くだろうと思っていただろう。しかし、彼女は小物作成のところに名前を書いた。これは、衝撃だ。クラスは静かなのに騒がしくなった。石田真央や坂本由香が木下さんに声をかけて「雪、シンデレラしないの?」と聞くと木下さんは「生徒会で忙しいからシンデレラ役を練習する時間ないかもしれないから。」決まりかけていた役が白紙に戻るような、盤上をひっくり返されたような雰囲気だ。
役はシンデレラが石田真央が、王子は西村壮太がすることになった。木下さんがしないなら石田さんといった雰囲気で決まった。僕はというと最初に西村壮太に小物作成のところに名前を書かれていた。僕もそれを望んでいたので感謝する。動く手間が省けた。人数が多くてあまり目立たない役割だから僕をその役にするのは当然だろう。
来週から一週間で文化祭の準備をして本番なのであまり時間がない。文化祭実行委員がみんなに指示をしてどんな流れで進めていくのか話し合いみんなが了承し今日は解散した。正直台本役が一番しんどいと思う。1週間足らずで劇の台本を仕上げるなんてハードスケジュールにもほどがある。おそらく準備をしながら訂正してく形になるだろう。




