会いたかった
今日は補習7日目だ。今日も拓海が先に席についていたので挨拶をした。少しの間、拓海と話していると先生が来てプリントを配っていつも通りの補習が始まった。拓海がすぐに先生を呼んで僕は一人でプリントをにらむ。この1週間当たり前な光景も今日で終わると思うと少し寂しいなと思う。
この一週間問題を解いているだけあってすらすら解けるようになっていた。こんなに解けるようになったのに何か物足りない。学校では一人で過ごすことが当たり前であったのに、今は拓海がいるから状況はすごくよくなっているはずなのに。僕は何が不満なのだろうか。
僕は問題を解き終わった。数分後に拓海も解き終わった。時間は11時前だ。補習が終わった。地獄から解放されたはずなのに気持ちが晴れない。
僕は少し元気なかったが拓海と先生はすごく元気だった。拓海は「よっしゃー、終わったー」と大きな声をあげて先生はそれに対して「お疲れー、よく頑張ったな。そんな二人のためにお菓子もって来たから二人で食べてていいぞ。先生は職員室に戻って仕事するから。またカギは返しにきてくれ」
拓海は「先生ありがとう。愛してる」と言っていた。僕は「先生ありがとうございます」と言った。
先生は教室を出ていったので拓海と僕は席をつけてお菓子を食べながら話をしていた。なんだか、すごく青春だなと感じながらお菓子を口に放りこんでいた。拓海とは夏休み何するのかとか進路どうするのかとか話していた。
お菓子を食べてお腹が膨れてことと最近、補習で疲れていたのが相まって僕と拓海は眠ってしまった。
耳元でどこか聞いたことのある声が聞こえる。夢なのだろうか現実なのだろうかはっきりわからない。声が近くなってくる。意識が少しづつはっきりしてくる。顔を上げる。視界がぼやけているがだんだんはっきりしてくる。正面にはまだ寝ている拓海がいる。右側に人の気配がする。誰だろうか。顔を右に向けるとそれは木下さんだと気づいた。木下さんは優しい柔らかい声で「おはよう」と言ったので僕もとっさにかすれた声で「おはようございます」と言った。まだ僕は眠っていて夢を見ているのだろうか。時計を確認する3時を過ぎている。意外と寝ていたようだ。スマホで顔を見るとおでことほほが赤くなっている。腰が痛い、体がバキバキだ。腕を上に伸ばして体をほぐす。そして確信するこれは現実なのだと。
時は少し戻って、補習2日目の夜。
私は木村君の補習に付き合って勉強を 教えて家に帰りました。家に帰ったらほとんど一人です。両親は仕事であまり会いません。両親は夜遅くに帰ってきて朝早く出るので自分のことは家事は私がしなければいけません。学校から帰ると洗濯物を取り込んで掃除をして晩御飯を作らなければいけません。
この生活が私にとっての普通でした。他の家族がどのような生活の仕方をしているのかわかりませんが友達の話を聞いている感じ私の家庭とは少し違うようです。
普段は夜遅くに帰ってくるのに今日は18時に親が帰ってきました。いつぶりに家族全員がそろって食卓でご飯を食べたでしょうか。覚えていません。お父さんが私に進路のことを聞いてきました。
私は「京都大学に進学しようと考えてる」と答えました。
お父さんは「そうか。遊んでないでしっかり勉強するんだぞ。浪人なんて許さないからな」要件だけを短く単調に話す父はすごく怖いです。そこに愛情はあるのでしょうか。
私は「はい」とだけ答えて箸を進めた。自分の中に秘められた両親に対する不満を口にすることができずに淡々と両親の言うことを聞くいい子ちゃんになっていました。。
私が洗い物をしている間に両親はお風呂を済ませて寝室で寝ていました。私もお風呂を済ませて自室で勉強と生徒会の仕事をして寝ました。
3日目の夜。
家事を終わらせ、ご飯もお風呂も済ませ、両親は昨日早かったから今日は夜中だろうと思いリビングでスマホを見ながらだらだらしていると両親が帰ってきました。油断していました。
最近、勉強と生徒会で忙しくて疲れていたので息抜きと思いだらだらしているところを見られてしまいました。
そこから私は1時間ほど説教をされ、罰としてスマホは没収されてしまいました。生徒会の連絡など見れなくなるからやめてと言いましたが聞く耳をもってもらえませんでした。
親というのはどうして子供の立場になって考えてくれないのでしょうか。親という存在も昔は子供だったのに。私も母親になったとき子供の立場になることができくなるのでしょうか。今、自分が抱えている気持ちを忘れないで育児をしたいと思います。
私は自室で泣きそうになりました。でも、我慢しました。最後に泣いたのはいつだったでしょうか。思い出しました。木村君が公園でいじめられているのを見た時です。あの時は、なぜか全く我慢できませんでした。まだ最近のことなのに懐かしく感じます。
人は自分の見たものをすべてと思い見ていない部分を考えないで発言します。私の親もそうです。私がどんなに勉強を頑張っても家事を頑張っても少しでもスマホを触ったりだらだらしていると叱ってきます。正しく評価されないことはとてもつらい事です。私は両親に評価してもらい、ほめてもらいたいのでしょうか。わかりません。しかし、一般的に子供は親に褒めてもらうことがとてもうれしいと思います。
4日目
急ですが生徒会メンバーを紹介しようと思います。生徒会長は私、木下雪。副生徒会長は3年1組上田光。書記は3年3組入江杏菜。会計は3年5組東蓮。この4人で生徒会として活動しています。上田光は人当たりが良く頭もよくて顔もいいのですごくモテている。入江杏菜はすごく落ち着いていて仕事もすごく丁寧かつはやい。東蓮はあまり人に興味なさそうにしているのにめちゃくちゃ優しい。
かなりいい生徒会メンバーがそろっていると私は自負しているが今日は上田君と東君が欠席なのでかなり仕事が多いのです。杏菜ちゃんと手分けして仕事をしているがなかなか終わらない。普段は2時間で終わる仕事が今日は4時間かかってしまいました。終わったのは午後1時、木村君が帰ってしまったか微妙なラインです。
「杏菜ちゃんお疲れ様。ありがとう、すごく助かったよ。明日は仕事そんなになさそうだし生徒会お休みにしようか。」
杏菜は「雪ちゃんもお疲れ様。そうだね。雪ちゃん最近疲れたまってるんじゃない?あまり無理しないでよー。」
「心配してくれてありがとう。全然大丈夫だよ、そうだ、あと伝えないといけないことがあって、私のスマホ親に没収されちゃったから連絡できないの。だから、なにかあれば家の電話番号に電話してくれる?」
杏菜は驚いた表情をしながら「そうなの!大変だね。わかった何かあったら電話するね。上田君と東君にも伝えとくね。」
「ありがとう。家の電話番号教えるね。****ー**ー****だよ」
杏菜は電話番号をメモをした。「ありがとう。一応私の携帯の電話番号教えとくね。***ー****ー****だよ」
「ありがとう。杏菜ちゃん。また、あさって」
「うん。また、あさってー」
私は杏菜に挨拶をして選択教室6に向かった。引き戸をスライドして開けようとしたが開きません。残念なことに教室はもうしまっていました。解き終わったのならすぐに帰るでしょう、来るかもわからない人を待つのはしんどいですもん。仕方がないので帰ることにしました。明日は会えると思います。
5日目
今日はなんだか体が重いように感じます。頭痛もします、暑い、夏なので暑いのは当然ですが夏の暑さとは違う暑さ、体の芯から熱い感じです。体温計で図ると38度6分と出ました。これは、風邪をひいてしまったようです。風邪だと思うと余計にしんどくなってきました。
私はベットで横になりながら何もない天井を見つめながら数分ぼーとしてました。
とはいえ、家事があるのでそれだけ片付けるなければと思い重い体を起こして家事をしました。
家事を少しして市販薬を飲んで横になりました。風邪は結構しんどいものですね。天井を見ていたら寝ていました。目が覚めたらもう夕方でした。体温を測ると37度3分になっていたので安心しました。
少し良くなりましたがまだ体が重いので明日、学校に行くことは難しそうなので杏菜ちゃんに連絡することにします。
「もしもし、杏菜ちゃん?」私はかすれた声と鼻声の混ざったよくわからない声で話しました。
「うん、雪ちゃん声どうしたの?」
「私、風邪ひいちゃった。だから明日生徒会にいけないと思う」
電話越しなのでどんな表情をしているのかわからないが杏菜のことなので心配してくれているのだろう。
「大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。熱も下がってきてるし薬も飲んだし」
「よかった。お大事に。あと上田君と東君も明日休みらしくて」
それはまさかだった。一人で仕事をさせるわけにはいかない。
「そうなの、それなら杏菜ちゃんも明日は休みにして、明後日全員で仕事をしようか」
「そうだね、ありがとう。早くよくなってね。ばいばい」
「ばいばい」そう言って私は電話をきった。
6日目は薬を飲んで、ゆっくりしていたら。終わりました。
7日目
風邪は完治しました。
生徒会室に行くと全員もうすでにきていて、話をしていました。この数日でたまりにたまった仕事を片付けながらそれぞれが最近あったことを話し合いながら手を動かし口を動かしで気づいたら12時になっていました。仕事はあと2割ほどといったところでしょうか。12時ということもあり、みんな、お腹がすいたので何か食べたいとなったのでみんなでファミレスに行くことにしました。それぞれが好きなものを食べて、進路の話や恋バナといった、高校生がする定番の会話をしていたら気づいたらもう2時前ではありませんか。
急いで生徒会室に戻って仕事を終わらせると3時前でした。無事に終わったので生徒会の仕事はしばらくなさそうなので次会うのはしばらく先になりそうです。みんなに挨拶をして私は選択教室6に向かいました。もう木村君は帰っているだろうと思いながら少しの望みにかけて向かいました。
閉まっているだろうと思いながら引き戸をスライドさせると驚いたことに開きました。やけに静かだと思ったら木村君ともう一人の男の子は寝ているではありませんか。二人とも幸せそう。
なんだか、ドキドキしてきました。久しぶりに会うからでしょうか。少しずつ木村君の方に近づきながらどのように声をかけようか考え、木村君の真横で立ち止まり最初は小さな声で名前を呼びましたがさすがにおきませんでした。
なので、少しづつ耳元に近づきながら声のボリュームを上げて名前を呼びました。私の息のすべてが木村君に当たりそうですごく恥ずかしい。誰も見ていないことが救いです。
すると、木村君は何か小さな声でいいながら顔を上げゆっくりと私の方を見た。眠そうな木村君の顔を見ながら私は「おはよう」と言ったら木村君は目をこすりながらかすれた寝起きの声で「おはようございます」と言ってくれました。おでこが寝ていたから赤くなっているなと思い微笑ましくなりました。「久しぶり」
僕は眠りから覚醒し今の状況に困惑している。まさかの木下さんに起こされているのだ。
木下さんは「久しぶり」と言った。
僕も「久しぶり。」と言った。いろいろ聞きたいことがあったが何から聞くべきかわからずに悩んでいると木下さんが話始めた。
「ごめんね。なかなか来れなくて、生徒会の仕事が忙しかったのと風邪ひいてて、連絡したかったんだけどスマホなくしちゃって」私はスマホ本当は親に没収されたのになくしたと嘘をついてしまいました。
嘘をついたせいで嘘が嘘らしくなってしまいました。
「風邪ひいてたんだ。知らなかった。大丈夫だった?」風邪をひいていたとは知らなかった。僕よりもやることがたくさんあって忙しいのだから疲れが出たのだろう。そんな彼女に勉強を教えてもらっていたと思うと少し申し訳なくなった。
「大丈夫だったよ。心配してくれてありがとう。木村君は補習大丈夫だった?」
「木下さんに教えてもらったおかげで乗り越えられたよ。ありがとう」
「良かった。今日で長い補習も終わりだもんね。お疲れさま。そろそろ帰る?」
「そうだね、帰ろうかな。その前にゴミを片付けて拓海を起こさないと」
僕は拓海を起こしてごみを片付けて席を整頓しきれいになったので教室のカギをしてカギを返して帰ることにした。木下さんと僕がカギを返しに行こうとしたら拓海が「カギ、俺一人で返してくるわ。綾斗と木下さんゴミとか片付けてくれたし」
僕は拓海に「わかった。ありがとう」と言って別れた。
後ろから「綾斗また暇だったら連絡しろよ。どっか遊びに行こうぜ」と大きな声で言ってきたので「わかったー」と返事をして歩き出した。
拓海は思った。綾斗、木下さんとあんなに楽しそうに話して、さらには起こしてもらってたのに本当に付き合ってないのかよ。
木下さんと僕は二人で下校しながら生徒会の話を聞いていた。
数日抱えていたモヤモヤのことなどすっかり忘れて今という瞬間を楽しんでいる。自分にこんなに会いたいと思う人がいるとは思いもしなかった。
「そういえば、木村君、美容室いつ行くの?」
「明日行こうかなと思ってます。眼科は明後日行こうかなと。補習終わったのでこれからは自分磨き頑張ります」
「そうなんだ。楽しみだね。応援してるよ。じゃあ、来週の月曜日私の家に報告しに来て、そこでまた今後について相談しよう」
木下さんの家にもう一度いけることになるとは想像しなかった。
「わかりました。9時ぐらいに家行きますね」
木下さんと別れる交差点が来たので別れを告げて、僕は一人で歩きだした。
新しい自分を目指して。




