ゆいこのトライアングルレッスンU2〜ゆいこのはっぴっぴウエディング!?〜
「明日は結婚式かぁ……」
わたしは夜の公園で、ブランコに揺られながら月を見上げた。
わたしは、ひろしとたくみ、二人と一緒にいるのが当たり前だった。
でも、いつかどちらかを選ぶ日が、そんな日が来てしまうのは分かっていた。
別にマリッジブルーになっているわけじゃない……。
ひろしとたくみは、高校生になると、より一層人気者になった。
モテモテの二人に、気が気じゃないわたし。
ひろしとたくみは、わたしのものなのに!
不安だけが募る。
そして、恐れていたことが起きた。
たくみは、他の女の子と付き合い始めたのだ。
そんなある日、わたしは偶然、二人の会話を聞いてしまった。
× × ×
「ひろし、お前彼女はできたか?」
「俺は、つくる気はない!」
「おいおい、そんなこと言ってていいのかよ? 他の奴にとられても知らねーぞ?」
「どう言う意味だ!」
「何怒ってんだよ?」
「別に怒ってなんか……」
「ゆいこは、お前に任せた」
「えっ……!?」
「ひろし、ゆいこのこと好きだろ?」
「な、なにを……!」
「バレバレなんだよ、まったく」
「それは……」
「ったく、お前らは、俺がこうでもしなきゃくっつかないだろ?」
× × ×
心臓がギュッとした。
結婚式、当日。
わたしはウエディングドレスを着て、バージンロードを進む。
カッコイイタキシード姿の、愛するひろしのもとへ。
牧師のたくみが問いかける。
「新郎ひろし、あなたはここにいるゆいこを、病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、妻として愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
「はい、誓います!」
「新婦ゆいこ、あなたはここにいるひろしを、病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、夫として愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
「はい……ち、誓います……」
「本当に?」
「へっ……!?」
「本当に、誓えるのか?」
えっ? 何、この状況……!
脳裏に、子供の頃の3人でいた記憶がフラッシュバックした。
並んで歩いた塾の帰り道。
笑顔のたくみ。
どんどん遠くへ行ってしまうたくみ。
「あれ? おかしいな? わたし、なんで泣いてるんだろ……」
「ゆいこ?」
ひろしが心配そうにわたしを見る。
あの日、心の奥に封印したこの気持ち。
たくみに彼女ができたあの日も、わたしは夜の公園でブランコに揺られていた。
「神様の前で、嘘なんかつけねぇーよ」
たくみがスッと腕をつかむ。
「ゆいこ、俺と一緒に行こう!」
「な、何言ってんの!?」
たくみは、わたしを連れて走り出した。
「えぇっ!? 牧師が花嫁を連れ去るとか、そんなパターンってあるのぉ!?」
わたしはたくみに手を引かれ、教会を飛び出した。
たくみは、いつも強引で、わたしは振り回されて、心が忙しくて、でもそれがどこか心地良くて……。
ホント、罪な男だ。
トライアングルレッスンウィーク!!
読んでくださった皆様、ありがとうございました!!
またいつか(*・ω・)ノ