表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ゆいこのトライアングルレッスン

ゆいこのトライアングルレッスンU2〜ゆいこのはっぴっぴウエディング!?〜

作者: 佐藤そら

「明日は結婚式かぁ……」


 わたしは夜の公園で、ブランコに揺られながら月を見上げた。


 わたしは、ひろしとたくみ、二人と一緒にいるのが当たり前だった。

 でも、いつかどちらかを選ぶ日が、そんな日が来てしまうのは分かっていた。


 別にマリッジブルーになっているわけじゃない……。



 ひろしとたくみは、高校生になると、より一層人気者になった。

 モテモテの二人に、気が気じゃないわたし。

 ひろしとたくみは、わたしのものなのに!

 不安だけが募る。


 そして、恐れていたことが起きた。

 たくみは、他の女の子と付き合い始めたのだ。


 そんなある日、わたしは偶然、二人の会話を聞いてしまった。


 × × ×


「ひろし、お前彼女はできたか?」


「俺は、つくる気はない!」


「おいおい、そんなこと言ってていいのかよ? 他の奴にとられても知らねーぞ?」


「どう言う意味だ!」


「何怒ってんだよ?」


「別に怒ってなんか……」


「ゆいこは、お前に任せた」


「えっ……!?」


「ひろし、ゆいこのこと好きだろ?」


「な、なにを……!」


「バレバレなんだよ、まったく」


「それは……」


「ったく、お前らは、俺がこうでもしなきゃくっつかないだろ?」


 × × ×


 心臓がギュッとした。



 結婚式、当日。

 わたしはウエディングドレスを着て、バージンロードを進む。

 カッコイイタキシード姿の、愛するひろしのもとへ。


 牧師のたくみが問いかける。


「新郎ひろし、あなたはここにいるゆいこを、病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、妻として愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」


「はい、誓います!」


「新婦ゆいこ、あなたはここにいるひろしを、病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、夫として愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」


「はい……ち、誓います……」


「本当に?」


「へっ……!?」


「本当に、誓えるのか?」


 えっ? 何、この状況……!

 脳裏に、子供の頃の3人でいた記憶がフラッシュバックした。


 並んで歩いた塾の帰り道。

 笑顔のたくみ。

 どんどん遠くへ行ってしまうたくみ。


「あれ? おかしいな? わたし、なんで泣いてるんだろ……」


「ゆいこ?」


 ひろしが心配そうにわたしを見る。


 あの日、心の奥に封印したこの気持ち。

 たくみに彼女ができたあの日も、わたしは夜の公園でブランコに揺られていた。


「神様の前で、嘘なんかつけねぇーよ」


 たくみがスッと腕をつかむ。


「ゆいこ、俺と一緒に行こう!」


「な、何言ってんの!?」


 たくみは、わたしを連れて走り出した。


「えぇっ!? 牧師が花嫁を連れ去るとか、そんなパターンってあるのぉ!?」


 わたしはたくみに手を引かれ、教会を飛び出した。

 たくみは、いつも強引で、わたしは振り回されて、心が忙しくて、でもそれがどこか心地良くて……。


 ホント、罪な男だ。

トライアングルレッスンウィーク!!

読んでくださった皆様、ありがとうございました!!


またいつか(*・ω・)ノ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
たくみってば、ひろしにけしかけといて、奪っていくという、本当に罪な男です。 でも神様の前で涙を流すゆいこが真実の気持ちだから、振り回されてもついていくしかないですね。 置いていかれるひろしがかわいそう…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ