カリン、進化する
柳田は遊園地の悪霊退治に向けて準備を進めている。
柳田:「勘兵衛、お前今日はこの後何か用事はあるか?」
勘兵衛:「いや、特に何も無いが、どうしてだ?」
柳田:「必要な物があるんだが、私は手が離せなくてな
代わりに買って来てもらえないかと思ってな」
勘兵衛:「どうせ暇だし構わんが何を買って来れば良いんだ?」
柳田:「空気清浄機用のフィルターを買ってきて欲しいんだ」
勘兵衛:「空気清浄機用のフィルター? 何だそれは」
柳田:「普通は空気中の雑菌や埃を取り除いて
部屋の空気を綺麗にする為の物なんだが」
勘兵衛:「普通は、ということは今回は普通ではない目的で使うということか?」
柳田:「ああ、もしかしたらそのフィルターに霊力を
定着させられるんじゃないかと思ってな」
勘兵衛:「霊力を定着? どういうことだ?」
柳田:「上手く行けば、外でお前たちの霊力が尽きそうになったとき
応急的に霊力を補充することが可能になるかもしれんということだ」
勘兵衛:「何? それは本当か?」
柳田:「ああ、今はタマシーチャージャーでなければ霊力を回復できないが
緊急時に霊力をチャージできるカートリッジのような物があれば
ここに戻って来るぐらいの活動時間は稼げるかもしれないだろ?」
勘兵衛:「なるほど、それは心強いな
で、そのフィルターとやらはどこで手に入るんだ?」
柳田:「家電量販店なら確実だと思うが」
勘兵衛:「家電量販店? それはどこにあるんだ?
この近辺は色々歩き回ったがそんな店あったかな?」
カリン:「ハイハーイ、だったら私も一緒に行って案内しまーす!」
勘兵衛:「おぉ、それは助かるな・・・・しかし
犬の恰好のままでは店に入れないんじゃないか?」
柳田:「確かにな・・・よしカリン、ちょっとこっちに来い」
そう言うと柳田はカリンを抱え上げる。
カリン:「え? 何? え?」
柳田はそのまま奥の工作室に入って行った。
10分後
カリン:「チョット、センセー何これ?」
カリンが不満げな言葉を吐きながら工作室から出てきた。
しかも2本足で歩いている。
勘兵衛:「おぉ、どうしたのだカリン、その姿は?」
突然2足歩行を始めたカリンに驚いた勘兵衛が思わず尋ねた。
カリン:「どうもこうも無いよ、私の方が聞きたいくらいだよ」
そんなカリンの不満などまるで気にする様子もなく
奥から得意気な表情で柳田が出てきた。
柳田:「凄いだろ、2足歩行用の手足に交換したんだよ
こんなこともあろうかと暇を見て作っておいたんだ」
カリン:「いや、違和感ありすぎでしょコレ」
勘兵衛:「確かにな、その姿で2本足で歩くと少し異様だな」
柳田:「でもこれなら犬に間違われることはないだろ?
どう見ても犬型の"ロボット"じゃないか」
カリン:「悪目立ちしちゃうでしょ!」
柳田:「そうかな? 確かに少し目立つかもしれないが
そこまで気になる程でも無いんじゃないか?」
勘兵衛:「では、お前が外を歩いているときに、いきなりこんな見た目の奴が
現れたらどうする?」
柳田:「・・・・そりゃ驚くな・・・振り返って何度も見てしまうかもしれん」
カリン:「ほらやっぱり!
不審物と思われて通報されたらどうするの!
もしかしたら拉致されるかもしれないし!」
全身で不満を訴えるカリンだが、別に大したことじゃないだろという表情の柳田。
柳田:「まぁ、でも勘兵衛と一緒なら大丈夫だろ」
勘兵衛;「え? 何でだ?」
柳田:「勘兵衛の持ち物だと思われるだろうからな
ロボット連れて出歩く変なオッサンくらいには
思われるかもしれんが」
カリン:「ちょっと私の扱い、酷くない?」
柳田:「そんなことはないぞ、ロボットとして見られるなら
もうリードは付けなくて良くなるんだからな」
カリン:「あ、そーか、意外にもそんなメリットが
でも、何だろう素直に喜べないこの感情・・・・」
勘兵衛:「まぁ、2本足で平然と歩く犬なんてロボットだとしても違和感しか無いな
いや、ちょっと待て、そんなお前を連れて歩いたら不審者と思われるのは
俺の方なのではないか?」
ここまで割と他人事だと思って軽く考えていたのに
自分にも影響が及ぶ可能性があることに気づくと急に狼狽え始める勘兵衛。
それに対し冷たい視線を送りつつカリンが言い放つ。
カリン:「あの、言っときますけど違和感が凄いのは私だけじゃないからね
勘兵衛だってかなり悪目立ちしてますからね!」
勘兵衛:「え! ホントに? 俺って悪目立ちしてるの?
どんな風に? すごく気になるんだが」
柳田:「・・・・もういいから、さっさと行ってこい」




