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【連載】調律師カノン  作者: 茜カナコ


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37/43

37.面会

「大きな屋敷ですね」

「はあ」

 カノンは屋敷の中をきょろきょろと見まわした。

古びているけれど、手入れが行き届いているのか、汚れた感じはしない。

窓は多くもなく少なくもなく、ちょうどいい感じだ。


 カノンは応接室に案内された。

「こちらでお待ちください」

「はい」

 応接室には若い女性の肖像画と、前国王デリックの肖像画が並べて飾られている。


「この女性……」

 カノンは肖像画の女性がライラ・クロークによく似ていると気づいた。

 カノンが肖像画をまじまじと見ていると、ドアが開き初老の男性が部屋に入ってきた。

「お待たせしました。デリック・アストリーです。カノン……君ですね?」

「はい、カノン・ハリスです。本日は急にお尋ねして申し訳ありません」


 デリックはカノンの胸元で光るペンダントを見て、苦いものを口にしたような顔になった。

「君は……ハリス家で育てられたんだね」

「はい」

「とりあえず、座ってくれないか? 話を聞こう」

 デリックはカノンに、部屋の中ほどに置かれているソファの片方に座るよう促した。

「紅茶を頼む」

 デリックは召使に言った。

「はい」

 召使は部屋から出て行った。


 デリックはカノンの向かい側のソファに腰かけると口を開いた。

「それで、君は何が知りたいんだい?」

 デリックの目が優しく細められる。しかしカノンには、その目の奥に凍えるような冷たい光が見えた気がした。

 

「ハリス夫妻は……僕の本当の両親ではありません」

「ふむ」

「……あなたが、僕の本当の父さん……なんですよね?」

 緊張で握りしめたカノンの手は指先が白くなっていた。


「何故そう思う?」

 デリックは静かな声でカノンに問いかけた。

「手紙を読みました。それに、父さんと母さん……ハリス夫妻から話を聞きました」

「そうか」


 召使が紅茶を持って部屋に入ってきた。

 デリックとカノンの前に、熱い紅茶の入ったティーカップが置かれる。

「冷めないうちに飲むと良い」


 デリックは紅茶を一口すすり、ため息をついた。


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