35.決心
カノンは両親を抱きしめた後、「父さん、母さん、教えてくれてありがとう」と言った。
「カノン、お前は本当の両親に会いたいと思っているんじゃないか?」
父親の言葉を聞いて、カノンはぎこちない笑みを浮かべて言った。
「今さら会っても仕方ないよ」
「……カノン」
カノンは両親から離れ「僕、部屋に戻るよ」と言った。そして、自分の部屋に戻ると、さっき両親から受け取ったペンダントをじっと見つめた。
「本当の……父さんと母さん……」
カノンはベッドに転がり、ため息をついた。
「どんな人だろう……図書館で読んだ本には、ライラ・クロークも元マジカ国王も、国を守った立派な人だって書いてあったけど……」
カノンは目をつむって、本の内容を思い出そうとした。しかし、カノンの読んだ本には断片的な情報が書いてあっただけで、ライラ・クロークの姿も元マジカ国王の姿も本の挿絵に書かれたシルエットしか思い出せなかった。
「確か、元マジカ国王は崖の上の古い屋敷で隠居しているってエリス先生が言ってたっけ……」
カノンは立ち上がり、窓から外を眺めた。ここを早朝に出れば、崖の上の屋敷にはお昼前には着くだろうとカノンは思った。
「……行ってみようかな?」
カノンはペンダントを握りしめ、つぶやいた。
そう決めるとカノンは両親のところへ行き、父に言った。
「父さん、明日は朝早くからアデルと出かける約束をしているんだ。伝えるのが遅くなってごめん」
「そうか。アデルに迷惑をかけないようにな」
「うん」
カノンは部屋に戻り、遠出するための荷物をまとめた。ペンダントは首から外さずに、服の中にしまう。
「カノン、そろそろ寝る時間ですよ」
「うん」
カノンは少し緊張したこころもちで、ベッドにもぐりこんだ。
「元マジカ国王が……本当の父さんなのかな……」
目をつむっても、ドキドキしてカノンはなかなか寝付けなかった。




