12.夕食
カノンたちが食堂に入ると、他の生徒たちはすでに席についていた。
「遅いぞ、カノン」
「さあ、皆さん、食事が配られますよ。席についてください」
カノンとアデルは空いていた席に着く。
みんなが席に着くと、パンとスープとチキンのソテーが、それぞれの目の前に置かれた。
「それでは、食事にしましょう」
「いただきます」
食事は簡素だが、味付けはよかった。
「美味しいね」
カノンがアデルに言った。
「うん」
アデルは頷いた。
その時、後ろのほうから小さい声が聞こえた。
「こんなの、食事じゃないぜ。うちの家畜のほうがまだましなもの食ってるんじゃないか?」
声がしたほうをそっと見ると、Aクラスのジーン・ハートが取り巻きに愚痴をこぼしているのが見えた。
「さて、皆さん。先生を一人紹介します。国の仕事で学校を留守にしていたユーリ・エリス先生です。エリス先生は、わが国を代表する調律魔法使いです」
カノンは驚いて顔を上げた。
赤い目をして、茶色い髪を背中まで伸ばした女性が先生たちの座る列で手を振っている。
「私はユーリ・エリスです。調律魔法は授業では講義だけで実践する予定はありませんが、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
生徒たちの興奮した声が返ってきた。
カノンはエリス先生の赤い瞳を見つめた。
「……調律魔法の先生……」
カノンは初めて自分以外に調律魔法を使える人間に出会って、緊張していた。




