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1.カノンの目覚め

調律師とは、万物の波動を整える能力を持った人のことである。

その数は少ない

波動とは、すべての生命が持つエネルギーの揺らぎのことあり、調律師は波動を整えることで、その生命体のあるべき姿に戻すことができる


***


 6歳になったカノンは、母親に言った。

「お母さん、お花あげる」

「まあ、カノン。これは冬に咲く花ではないでしょう? この寒い中、どこに行っていたの?」

「いつもの森だよ。僕がお花に咲いてくださいってお願いしたんだ。」

 カノンは黄金色の目を輝かせて、楽しそうに話し続けた。

「目を閉じて耳をすませたら、お花のリズムがわかるんだよ。お母さん、知ってた?」


 カノンの母親は戸惑いながら返事をした。

「そんな魔法みたいなこと、あなたにできるはずないでしょう? 元気なのはいいけど、嘘はいけませんよ」

 カノンは口をとがらせて呟いた。

「本当だもん。僕がお花のリズムを変えたから、咲いてくれたんだもん」

 それを聞いたカノンの父親は、カノンの頭をなでながら言った。

「そんなことができるのは伝説の調律師くらいなものだ。カノン、夢でも見たんじゃないか?」


 カノンは父親にぐしゃぐしゃにされた、日に透けると赤い髪をなでながら、影の差した金色の目でじっと母親にあげた花を見つめていた。

「本当だもん……」


 それ以来、カノンはリズムの話はしなくなった。


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