第95話 久々の帰還
お世話になっております。ヘイホーみりと申します。
この作品を選んでいただきありがとうございます。
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魔法都市「フースイ」へと拠点を移すことが決まり、みんなは着々と準備を進めていた。
自分の部屋の荷物をまとめたり、みんなで協力して共用スペースの片付けなどを行っている。
みんなが黙々と引っ越しに向けての作業をしていると、突然ギルドの玄関のほうから大きな声が聞こえてくる。
「おーす! ただいまー!」
急いでタカラが玄関に向かうと、そこにはフライハイトが立っていた。
「フライハイト! 久しぶりだね! 帰って来たんだ!」
久しぶりのフライハイトとの再会にタカラは嬉しそうに言う。
「おう! ちょっとこの都市で用事があってな。ついでに帰って来たぜ!」
フライハイトはにっと笑いながらそう言う。
タカラとフライハイトが玄関で話していると、奥からパルルとポルルが走ってくる。
「タカラ! この人も『太陽の幼樹』のメンバーなの?」
パルルがフライハイトを見つめながらそう尋ねる。
「そうか、パルルとポルルはフライハイトに会ったことはなかったもんね。そうだよ。この人も『太陽の幼樹』のメンバーだ!」
「へー、そうなんだ! よろしくね、おじさん!」
「よろしくね!」
パルルとポルルが元気よくフライハイトに挨拶する。
「おじ……さん……よ、よろしくな……」
どうやらおじさんと言われたのが意外とショックだったらしい。
そんなことはお構いなしにパルルとポルルは走ってどこかに行ってしまう。
「……しょうがないよ。元気だしなって」
タカラは笑いをこらえながらフライハイトを元気づけようとする。
「お前笑ってんじゃねーか! ったくよー」
そうしていると、次はアイネが白虎のタイガを抱いてこちらに近づいてくる。
「先ほどのお話聞いてました。私は最近『太陽の幼樹』のメンバーになったアイネです。こっちは家族のタイガ。よろしくお願いします」
「おっ、おう……よろしくな……」
フライハイトのあいさつが終わると、アイネはお辞儀をして、タイガを抱きかかえたままどこかへ行ってしまう。
「……おい、今のは俺の見間違いか? とんでもない魔物がいた気がしたんだが……まさかな」
フライハイトは気を紛らわすかのように笑いながらタカラのほうを見る。
タカラも気まずそうに笑っている。
「おい、まじか! やっぱりあれは白虎だったのか!? 大丈夫なのかよ!」
フライハイトは大声で叫びながら驚きを隠せないでいる。
「僕も最初はそう思ってたんだけど、もう慣れちゃって。一緒に過ごしてるけど何の問題もないよ?」
「慣れちゃってって……慣れるもんなのか?……俺がいない間にすごいことになってんな」
フライハイトは驚きを通り越して、呆れてしまっている。
「まあ、あんまり深く考えないほうがいいよ。せっかく帰って来たんだし、ゆっくりしていってよ」
タカラはそう言ってフライハイトと食堂に向かっていく。
フライハイトが久しぶりに帰ってきたので、休憩がてら今夜のご飯の食材をギルドのメンバーで買い出しに行くことになった。
ちなみにメンバーは、タカラ、フライハイト、パルル、ポルル、アイネ、タイガ、テルル、ガンテ、マキである。
あまりこういう機会がないので、意外とみんなテンションが上がっている。
フライハイトはずっとタイガをちらちら見ながら気になっている様子ではあったが……。
普段であれば買い出しなどはレフィーナが全てやってくれているのだが、たまにはこういうのもいいだろうということでみんなで買い出しに行くことになったのだ。
レフィーナがメモを渡してくれたので、買うものは決まっている。
「こういうの、なんだかワクワクしますね!」
「そうだね。最近はギルド対抗戦や大規模都市防衛戦なんかで忙しかったからね」
テルルの言葉にタカラがそう返す。
テルルだけでなく他のメンバーもなんだか楽しそうである。
無事に買い物も終わり、ギルドに戻ると、セトたちがタカラ達のことを待っていた。
「あっ、帰ってきた! もう、私たちも連れて行ってよね! 私たちだってみんなと一緒に行きたかったんだから!」
タカラ達が帰ってくるなり、セトはタカラに詰め寄る。
買い出しに行くという話になったとき、ちょうどセトはその場にいなかったのだ。
「ごめんごめん。また今度みんなで行こう」
「約束だからね!」
タカラは何とかセトに納得してもらう。
その日の夕食は、久しぶりにフライハイトが帰ってきたこともあり、豪勢な食事となった。
フライハイトがいない間のギルドの様子やフライハイトの土産話で大いに盛り上がった。
(みんなでこうして食事を食べながらいろんな話で盛り上がる……このギルドを作ってよかった。僕は本当に幸せ者だ)
みんなの笑顔を見ながら、タカラはそう感じる。
今までいろんな困難をみんなで乗り越えてきたので、余計にそう思うのであろう。
タカラだけでなく、他のメンバーもそのように思っているはずだ。
♢
その日の夜、タカラはフライハイトに誘われて、2人で飲むこととなった。
物静かなバーで、客はタカラとフライハイトの2人だけである。
「珍しいね。フライハイトのほうから誘ってくるなんて」
タカラがお酒を口に含みながらそう言う。
「ああ……実はタカラに聞きたいことがあってな……『八咫烏』っていうギルドを知っているか?」
「!?……もちろんだよ。世界最悪の悪徳ギルドと言われているからね。この世界の人ならだれでも知っている名前だよ」
突然フライハイトの口から世界最悪の大悪党の名前が出てきてタカラは驚きながらもそう答える。
タカラがS級パーティとして活動していた時も、何度も聞いたことのある名前である。
「ああ、そうだ。世界最悪の悪徳ギルド。主要連中の素性は一切明かさず、ギルドの拠点、構成人数も不明。やることも人殺しや強盗なんて生ぬるいものじゃなく、世界中の権力者を脅し、従わせ、世界を裏から牛耳ろうとする。逆らうものは皆殺しだ」
「……」
フライハイトが話すのを、タカラは黙って聞いている。
「だが、ついこの前、俺の耳にある情報が入った。『八咫烏』の幹部の1人が広域中核都市「ベーサイド」にいるという情報がな。タカラ、このことについて何か情報を持ってないか?」
フライハイトは真っすぐタカラの目を見ながらそう言う。
フライハイトの話し方や表情から、かなり必死なのが伝わる。
「ごめん、フライハイト……今のところ『八咫烏』に関する情報はないね……」
タカラがそう言うと、フライハイトは残念そうな表情を見せる。
「そうか……いや、いいんだ。実は『太陽の幼樹』に戻る前にこの都市を隅から隅まで調べたんだが、それらしい痕跡はなかった。そもそもデマの情報を持たされたのかもな」
フライハイトは小さな声でそう言う。
フライハイトは何気なく言っているが、そもそもこの大きな都市を隅から隅まで調べるなど、常人では到底できることではない。
圧倒的なステータスを誇るフライハイトだからできるのだ。
「もし何か『八咫烏』に関する情報が手に入ったらすぐに伝えるよ」
「ああ、頼む」
フライハイトはそう言いながら俯いてしまう。
「フライハイト……無理に答えなくていいんだけど、君が世界を旅している理由ってもしかして……」
「……ああ、そうだ……『八咫烏』をこの手でぶっ潰すためだ」
そう答えるフライハイトの声には隠しきれないほどの怒り、憎しみが込められている。
しばらく沈黙が続き、フライハイトは静かに話し始める。
「俺の親父は『八咫烏』のボスに殺された……そしてあいつらは俺から何もかも持っていきやがった……俺のもとに残ったのはこの剣だけだ……」
フライハイトはそう言いながら自分が持っていた剣を握りしめる。
読んでくださりありがとうございます!
初めての小説投稿ではありますが、小説化、漫画化目指して頑張ってます。
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