第94話 みんなの反応
お世話になっております。ヘイホーみりと申します。
この作品を選んでいただきありがとうございます。
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レフィーナは小型の通信機器を片手に、ある人物と連絡を取っていた。
「ダンロッド様、突然の連絡申し訳ありません。緊急の用事があり連絡させていただきました」
レフィーナは丁寧な話し方でそう言う。
相手はダンロッドのようだ。
「全然かまわないよ。それで、急ぎの連絡とは何だ?」
「はい、実は広域中核都市「ベーサイド」で活動していた『太陽の幼樹』ですが、急遽、魔法都市「フースイ」に活動拠点を移すこととなりました。その報告をと思いまして」
「ほう、それはまた急だな。広域中核都市「ベーサイド」に拠点を移してまだそれほどの年月は経っていないと思うが……何か理由があるのか?」
「実は『太陽の幼樹』のセト様が魔法の修行をするために魔法都市「フースイ」に行きたいと他のメンバーに相談したところ、セト様だけを行かすわけにはいかないとみんなもついて行くことになりました」
「なるほど、セトちゃ……セト君の修行のためか。上を目指すのはいいことだ。魔法都市「フースイ」の拠点については私が手配しておこう。タカラ君にもそう伝えておいてくれ」
「はい、かしこまりました」
どうやら今回もダンロッドが魔法都市「フースイ」での『太陽の幼樹』の拠点を用意してくれるようだ。
さすがは世界屈指の権力者の1人である。
ギルドの拠点1つ用意することなど造作もないのだ。
「あの、ダンロッド様……一つよろしいでしょうか?」
レフィーナが少し緊張した声でダンロッドにそう言う。
「どうした?」
「もし可能であれば引き続き私が『太陽の幼樹』のお世話係をさせていただきたいのですが……」
「ほう……お前のほうからお願いしてくるなんて珍しいな。いや、これが初めてか? 『太陽の幼樹』の世話係をしだしてからまだそれほど経っていないと思うが、情が移ったか?」
「いえ、そういうわけでは……」
「別に悪いことではない。私も責める気など微塵もないからな。ふむ、それに関しては全然かまわないぞ。どっちみちまたお前に頼もうと思っていたからな。そういうわけで『太陽の幼樹』を頼んだぞ」
「はい、ありがとうございます。お任せください」
レフィーナは平静を装いながらそう言い、通信機器が切れるのを待つ。
態度には出していないが、内心レフィーナも喜んでいるのではないだろうか。
その頃タカラは冒険者協会に足を運んでいた。
魔法都市「フースイ」へと拠点を移すことを冒険者協会「ベーサイド」支部支部長であるランドルに報告するためだ。
冒険者協会に着くと、タカラは受付にいる受付嬢のレミーのもとへ歩いて行く。
「レミーおばさん、こんにちは。ランドルさんに会いに来たんですけど、今会えますか?」
「あらタカラちゃん、いらっしゃい。ランドルちゃんね。もちろんいるわよ。ついて来て」
レミーはそう言ってタカラをランドルのもとへと連れて行く。
「ランドルちゃん、タカラちゃんが来てくれてるわよ」
レミーはランドルがいる部屋のドアを開けながらそう言う。
「おお、タカラじゃないか! どうしたんだ?」
タカラの姿を見たランドルが嬉しそうにそう言う。
まるで孫に会った時のおじいちゃんのようである。
「ランドルさん、こんにちは。突然で申し訳ないんですけど、実は僕たち『太陽の幼樹』はこの都市から拠点を移そうと思っているんです」
タカラがそう言うと、ランドルとレミーがとても悲しそうな顔をする。
「なっ、なぜだ!? まだこっちに来て間もないじゃないか! もしかしてまたどこかのギルドに嫌がらせでも受けたのか!? そういうことなら遠慮なく俺に言え。そんな奴ら俺が捕まえてきてとっちめてやる!」
ランドルが早とちりして、立ち上がりながらタカラにそう言う。
「気持ちは嬉しいんですけど、そうじゃないんです。実はセトが僕に魔法を極めたいとお願いしてきまして、それでみんなで魔法都市「フースイ」に行くことになったんです」
タカラはそう説明する。
「そっ、そうだったのか。そう言うことなら仕方がないな」
ランドルは早とちりしたことを恥ずかしく思いながらも、そう言いながら腰を下ろす。
「だが、最近『太陽の幼樹』も町中の人気者になって来ていたから、町のみんなは残念がるだろうな。もちろん俺も悲しいが……」
「そうね。突然すぎてまだ受け入れられていないけど、寂しくなるわね」
ランドルとレミーはそう言いながらしょんぼりとしている。
そんな2人を見てタカラも悲しい気分になる。
「もちろん、ずっと向こうにいるわけではないですし、またこっちにも帰ってきますよ。まだこっちでやり残していることもあるので」
タカラはそう言いながら頑張って笑顔を見せる。
おそらくタカラはこの寂しい雰囲気のまま2人と別れるのが嫌だったのであろう。
だからタカラは無理にでも笑顔を見せたのだ。
「そうか……ではまた『太陽の幼樹』が戻ってくるのを楽しみに待っていることにしよう」
「そうですね。タカラちゃん、向こうでも頑張るんだよ!」
タカラのその気持ちを察したのか、ランドルとレミーも笑顔でそう言う。
「はい、ありがとうございます! 行ってきます!」
2人の笑顔に、タカラはそう言って応えながら冒険者協会を後にする。
(なんだか2人に会ったら急に寂しさがこみ上げてきちゃったな。でも、僕たちもこのままここで立ち止まっているわけにもいかない。しっかり前に進まなくちゃ!)
タカラはそう思いながら気合を入れなおし、ギルドへと戻るのであった。
『太陽の幼樹』が突然この都市を去るという話は瞬く間に町中に広がった。
そして、突然すい星のごとくこの都市に現れ、ここ最近ずっと話題の中心にいたギルドが急にこの都市を去るという話は多くの人の注目を浴びた。
「『太陽の幼樹』が突然この都市からいなくなるってどういうことだよ!?」
「ついに『虹音の協奏曲』に並ぶ存在が誕生したと思ったのに……」
「結局『虹音の協奏曲』とどちらが強いのかは謎のままか」
「『太陽の幼樹』、行かないでくれよー!」
このように都市の人たちも大騒ぎである。
大多数の人が、『太陽の幼樹』がこの都市を離れてしまうことを残念に思っているようだ。
そして、この話題に注目しているのは、この都市の住民だけではない。
(『太陽の幼樹』がこの都市を去るだと!? これまたいったいどうして……)
そのように思いながら、驚きを隠せないでいるのは『虹音の協奏曲』のギルドマスターであるドーラムだ。
ドーラムも『太陽の幼樹』がこの都市を去るという話を聞きつけ、残念に思っていた。
(せっかく『虹音の協奏曲』のライバルと呼べる存在が出てきたと思っていたのに。それにタクトも『太陽の幼樹』のことを気にしていたからな。この話を聞いたらひどく残念がるだろう……)
ドーラムは1人そのように思う。
また『漆黒の暴君』ではネリが悲しみに暮れていた。
(これからタカラさんに忠誠を誓っていこうと思っていた矢先、突然の別れが来てしまうなんて……)
ネリはそう思いながらひどく落ち込んでいる。
(だが、タカラさんとの約束は決して破ることはない。またいつかもう一度タカラさんに会えると信じて、これからも『漆黒の暴君』として頑張っていこう)
ネリはそう思いながら気持ちを切り替える。
さすがは4大ギルドの一角を担う『漆黒の暴君』のギルドマスターである。
頭の切り替えも早い。
このように、『太陽の幼樹』が突然この都市を去るという話題はあっという間にこの都市中を駆け巡るのであった。
読んでくださりありがとうございます!
初めての小説投稿ではありますが、小説化、漫画化目指して頑張ってます。
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