第91話 魔導剣士
お世話になっております。ヘイホーみりと申します。
この作品を選んでいただきありがとうございます。
誤字・脱字、おかしな点がありましたら教えていただけると嬉しいです。
セトとタクトはそれぞれレイピアと剣を構えて対峙する。
対峙しているだけでも今までにない緊張感である。
それだけ2人がかなりの実力者だということであろう。
2人が対峙していたのもつかの間、セトが最初に動き出す。
「“炎縄網”!」
セトがそう唱えると、炎のネットが出現し、タクトを捕縛しようとする。
タクトはそれを難なく避ける。
タクトがセトの魔法を避けた瞬間、目の前にセトが現れる。
セトは魔法を唱えた後トップスピードでタクトとの距離を詰めていたようだ。
魔法はおとりでこっちが本命だったようである。
(!? もう俺の目の前まで!? 速い!)
タクトはそう思いながらも、セトの剣撃を難なく防ぐ。
セトからの攻撃を数回防ぎ、タクトも反撃する。
しかし、セトもタクトの攻撃を完璧にさばき切り、再び攻撃を繰り出してくる。
そして、2人ともお互いに譲ることなく、一進一退の攻防が続く。
(剣術も思っていたよりやるな……というかこれは……)
タクトがそう思っていると、徐々にセトに押され始める。
セトの攻撃は一度として同じ軌道の攻撃がない。
セトの剣撃のコンビネーションが多彩なのだ。
その攻撃の多彩さは、カインとの修行の時に何度も指摘され、セトが今までずっと意識しながら努力してきた賜物であろう。
タクトはその攻撃の多彩さに面食らっている。
(このままではあまりよくないな。一度立て直すか)
タクトはそう思うと一度セトから距離を取ろうとする。
が、セトもそれを容易には許してくれない。
タクトが距離を取ろうとすると、すかさず距離を詰めてくる。
(くっ! スピードは完全に向こうのほうが上か。だが……お前の弱点、見つけたぞ)
どうやらタクトはこの短時間でセトの弱点を見つけたらしい。
「“そびえたつ壁”」
タクトはそう唱えると、セトとの間に無理やり壁を一枚出現させる。
「うっ!」
突然の壁の出現にセトは無理やり体をひねらせ方向転換しようとするが、避けきることができず、左肩を壁に強くぶつけてしまう。
そして、タクトはそのほんのわずかな隙を逃さない。
「“砂塵牢”!」
タクトがそう唱えると、セトの目の前にあった壁が一瞬で砂塵となり、渦を巻きながらセトを取り囲む。
(砂で……前が見えない!)
セトは必死に目を開けようとするが、砂が勢いよく目の中に入って来てうまく目を開けれないでいる。
「“風精霊の息吹”!」
セトは風属性魔法でなんとか砂塵を吹き飛ばそうとするが、目があまり見えていないせいか、砂塵から抜けるのにてこずっている。
「思った通り、お前は魔法がお粗末なようだな。俺との距離を必死に詰めようとしてくるのがその証拠だ。魔法と剣術、どちらもできてこそ魔導剣士。お前はまだ魔導剣士と呼ぶにふさわしくない」
タクトはそう言うと魔法を唱える。
「“魅惑の奏”」
すると、どこからともなく美しいメロディーが奏でられる。
タクトが大規模都市防衛戦で見せた聴覚特化の幻覚魔法である。
「ある一定以上の実力を備えている冒険者が視覚を失った場合、他のどの五感に頼るか知っているか? それは……聴覚だ」
タクトはそう言うと一直線にセトのほうへと向かっていく。
一方セトはというと、
(くっ! 前が見えない! それに体が……思うように動かないわ! 相手はどこにいるの!?)
セトは視力を封じられた上に体の自由まで失って混乱状態に陥っていた。
タクトの言っていた通り、視覚に頼れないので耳を限界まで研ぎ澄まして音でタクトの位置を把握しようとしていたのが完全に裏目に出てしまった。
タクトの幻術魔法に完璧にかかってしまったのだ。
そんなセトはタクトが近づいてきていることにも気づかず、思うように体を動かすこともできない。
「終わりだ! 美しき終焉!」
タクトはそう言うと、流れるような動作で渾身の一撃を振るう。
(私はこのまま負けてしまうの? せっかくタカラがこの舞台を用意してくれたのに……いや、まだあきらめちゃだめよ。世界一のギルドを目指すってタカラと約束したもの! たとえどんなに相手が強くてもこんなとこで負けるわけにはいかない! お願い! 少しでいいから私の体動いて!)
セトが心の中で強くそう願ったその時、突然セトの体を緑色のオーラが包み込む。
そしてセトは突然ぱちりと目を開ける。
その目からは生気がまるで感じられず、どこか遠くを見ているような目をしている。
そしてセトは渾身の一撃を振るってきたタクトに対して絶妙なカウンターを合わせる。
(なっ!? あの状態からカウンターを合わせてくるだと!? 俺の幻術魔法は確かに決まったはずだぞ!?)
タクトはセトの突然の反撃に驚きを隠せないでいる。
タクトの攻撃とセトのカウンターはほぼ同時である。
そして2人の攻撃が同時に当たるかと思われた次の瞬間、セトから緑色のオーラが消え、気を失ってその場に倒れてしまう。
セトがその場に倒れたことにより、タクトの剣は空を切り、セトのレイピアはタクトの頬をかすめる。
「ハァ、ハァ……」
タクトは肩で息をしながらその場に尻もちをつく。
タクトの頬からはツーっと血が流れている。
「セト!」
セトの異変に気付いたタカラはすぐにセトに駆け寄ってくる。
(最後、明らかにセトの様子がおかしかった。あの緑のオーラは一体何だったんだろう?)
タカラはそのように考えを巡らせながら回復魔法でセトを回復させる。
回復魔法によりセトの外傷は癒えたが、まだセトは目を開けない。
そんなセトをタクトがじっと見つめている。
読んでくださりありがとうございます!
初めての小説投稿ではありますが、小説化、漫画化目指して頑張ってます。
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