第9話 それぞれの専用武器
お世話になっております。
ヘイホーみりと申します。
この作品を選んでいただきありがとうございます。
誤字・脱字、おかしな点がありましたら教えていただけると嬉しいです。
次の日、3人は海沿いのメインストリートを歩いていた。
朝早いにもかかわらず、多くの店が営業している。
セトもムサシも港町は初めてのようで、キョロキョロとあたりを見渡している。
「すごい! 見たことないものがたくさんある! さすが港町だね!」
「……確かに」
セトもムサシも興味津々なようだ。
「こらこら、寄り道もいいけどまずは自分たちの武器を買わないと。いいものはすぐに売り切れちゃうよ?」
タカラはそう言いながらも、はしゃぐ2人を見ながら笑っている。
(数日間とはいえ、かなり厳しめのノルマを与えてたからね。楽しそうで何よりだ)
タカラはそう思いながら、連れてきたかいがあったと感じる。
「じゃあ探しに行こっか。とりあえず僕のおすすめの店に行ってみる? この町で一番大きな武器屋だし、きっと二人ともいいものが見つかると思うよ」
タカラはそう言い、2人を連れてある武器屋へと向かった。
町一番ということもあり、さすが立派な建物である。
タカラ達が店に入ると、入り口付近にいた人物が話しかけてくる。
「おっ、こりゃあ珍しい客だ。久しぶりだな、タカラ。もう数年ぶりになるか。今日はどうしたんだ?」
話しかけてきた人物はタカラとは知り合いのようだ。
「お久しぶりです、ダンさん。元気そうで何よりです。今日はギルドメンバーの武器を買いに来たんですよ」
タカラはそう言い、2人のほうを見る。
「ギルドメンバー? お前もしかしてギルドを立ち上げたのか?……ほう、2人ともなかなかいい面構えじゃねーか。タカラ、いいメンバーを見つけたな」
ダンは2人を見てそう言う。
「はい、2人とも期待の新人ですよ。まあ、まだまだこれからですけどね」
タカラはそう言う。
「まあ、好きなだけ見ていきな」
ダンはそう言い、ニヤッと笑う。
「ありがとうございます。じゃあまずはセトの武器から探そうか。セトはパワーが低いから軽めの武器がいいと思うんだけどどう?」
「私もそれがいいと思う」
セトはそう答える。
「ダンさん、軽めの剣探してるんだけど、どこにありますか?」
タカラがそう聞くと、
「こっちだ。ついてきな」
ダンはそう言いながら案内してくれる。
案内された場所にはたくさんの武器が並べられてある。
セトと一緒に見て回っていると、ある武器の前でセトが立ち止まった。
そしてそこから動かなくなり、じっとその武器を見つめている。
(なんだろう、すごい引き寄せられるというか……なんかこの剣に呼ばれているみたいというか……)
セトはそう思いながらも、うまく説明できない様子である。
「セト、その武器が気になるの?」
タカラがそう尋ねると、
「うん、うまくは説明できないけど……」
セトが少し困ったように答える。
(レイピアか。確かに軽いし、セトにはぴったりかもしれない)
タカラがそう思っていると、
「ほう、お目が高いな。その武器はかなり昔に輸入したものなんだが、売り手曰く風神が宿っているといわれているそうだ。ただ、本当かどうかはわからないがな」
ダンは笑いながらそう言う。
タカラがセトのほうを見ると、
「私、この武器がいい!」
とセトは勢いよく答えた。
するとダンが
「この武器は高いぞ。3000万モルだ」
「!?……私やっぱり」
あまりの高額に驚き、セトが何か言いかけようとしたそのとき、
「買います」
タカラはそう即答する。
「セトが遠慮するのも無理はないよ。それほど高額だしね。でも僕らは世界一のギルドを目指すんだ。なら武器も一流のものが必要だよ。もしセトが本気で僕たちと世界一のギルドを目指してくれるなら遠慮しないでこの武器を受け取ってほしい」
タカラがそう言うと、下をうつむくセト。
(タカラは本当に私たちに期待してくれているんだ。ならタカラの気持ちに応えたい。みんなで一緒に世界一のギルドを目指したい!)
セトはそう思うと、顔を上げて真っすぐとタカラのほうを見る。
「わかった。タカラ、ありがとう。私頑張るから!」
セトがそう言うと、タカラはニコッと笑う。
そして、ダンにお金を払い、レイピアをセトに手渡す。
「よしっ次はムサシの番だ……ってあれ、ムサシは?」
タカラはそう言い、あたりを見回すと、ムサシは少し離れたところでショーケースを眺めていた。
タカラがムサシに近づき、ショーケースの中を見ると、二本の刀が飾られていた。
刀身はまるで芸術のような美しさであり、注意深く見てみると、一本は赤色の、もう一本は紫色の怪しい光を放っている。
(これは……海を隔てた異国の地で使われているという刀というやつか。ムサシはこれに興味を持ったのかな?)
タカラはそう思い、ムサシに聞いてみる。
「ムサシ、どうしたの?」
「……いや、この武器がちょっと気になって……その……かっこいいなって……」
ムサシは恥ずかしそうに答える。
どうやらかっこよさで自分の武器を決めるのが恥ずかしいと感じたようだ。
「恥ずかしがらなくてもいいよ。自分で使う武器なんだから、見た目を気に入るかどうかも大事だ。全然恥ずかしがることじゃないよ」
タカラがそう言うと、ムサシはほっとしたような顔をする。
しかしそのとき、
「その武器はやめとけ」
突然ダンが一言そう言い放つ。ダンは続けて、
「その刀はつがいの刀といってな、名を天羅と空羅という。どちらか片方だけではその刀の力を全く発揮できないんだ。刀を二本同時に使う奴なんて見たことないから最初はバラバラで売っていたんだが、使えないから全然売れやしねー。悪いことは言わないからそいつはやめときな」
ダンはそう言って、首を横に振る。
しかし、それを聞いてムサシはよりその二本の刀を気に入ったようだ。
「……俺、これがいい」
ムサシはそう言ってタカラのほうを見る。
「確かに、話を聞けば聞くほどムサシにはぴったりな刀だね。これにしよう」
タカラはそう言い、ダンに値段を聞く。
「まあ2人がいいならいいんだが……後で後悔しても知らねーぞ? ただ、なかなか売れてはこなかったがものはいいからな、値段は高いぞ。1800万モルだ」
ダンは仕方ないといった感じでそう言う。
タカラは迷わずお金を渡す。
そして、2本の刀をムサシに渡した。
「しかし、今日は刀がよく売れるな。しかもどちらも今まで全く売れてこなかったんだが。今日はついてるな」
ダンはぽつりとそう言う。
ダンの独り言を聞いていたタカラが横のショーケースを見ると、横のショーケースも空である。
おそらくここにも刀が置いてあったのだろうが、今は空っぽだ。
(なるほど。ここにも刀があったのか……しかし……予想ではあるがかなり長い刀だね。確かに売れ残るわけだ。こんな長い刀使えるのか?)
タカラはそう思ったが、物好きもいるんだなと思い、考えるのをやめる。
「二人とも、いい武器が見つかってよかったね。これで修業も頑張れそうだ!」
タカラは2人を見ながらそう言う。
「ダンさんもありがとうございました。また来させてもらいます」
タカラはダンに向き直りそう言う。
「ああ、いつでも待ってるよ」
ダンはそう言い、3人を見送るのであった。
読んでくださりありがとうございます!
初めての小説投稿ではありますが、小説化、漫画化目指して頑張ってます。
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