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第89話 腹の探り合い

お世話になっております。ヘイホーみりと申します。

この作品を選んでいただきありがとうございます。

誤字・脱字、おかしな点がありましたら教えていただけると嬉しいです。



タカラはこの日、冒険者協会に来ていた。

時間があるときは毎日冒険者協会に顔を出し、情報収集や何かいいクエストがないかを見に来るのである。

これもギルドマスターの大事な仕事の一つなのだ。

タカラがクエストボードを眺めていると、


「よお、久しぶり! 『太陽の幼樹』かなり噂になってるみたいだな!」


と後ろから声をかけられる。

声をかけてきたのは、タカラが昔S級パーティー『神秘の陽樹』としてこの都市で活動していた時からの親友であるヒュンスである。


「ヒュンス! 久しぶりだね! 『太陽の幼樹』の噂、ヒュンスも知ってるんだ」


タカラは苦笑いしながらそう言う。


「あれだけみんなが話してたら嫌でも耳に入ってくるぜ?」


「そうだよね」


「まあ、いいじゃねーか! 悪い噂じゃないんだし、この都市一番は『虹音の協奏曲』と『太陽の幼樹』のどちらかなんて噂、俺からしたらうらやましい限りだぜ」


ヒュンスは恨めしそうにタカラの顔を見ながらそう言う。


「確かにそうだね……ヒュンスは今日は暇なの? よかったら飲みにでも行かない?」


タカラは久々にヒュンスと話したくなりそう誘う。


「わりーな。今日はこれからギルドに戻らなきゃいけねーんだ。また今度行こうぜ! お酒がうまい店探しとくからさ!」


「うん、わかった! また今度だね!」


タカラはそう言うとヒュンスとお別れする。

ちょうどヒュンスと入れ違いで冒険者協会の受付嬢であるレミーがタカラのもとにやってくる。


「タカラちゃん、来てたのね。タカラちゃん今時間ある? ランドルがタカラちゃんに会いたいって言ってるんだけど……」


「はい、全然大丈夫ですよ」


タカラがそう言うと、ランドルのもとへと案内される。


「おお、タカラ! よく来てくれた! まあ、座ってくれ」


ランドルにそう言われ、タカラはソファに座る。


「この前の大規模都市防衛戦よくやってくれたな! 『太陽の幼樹』がすごい噂になってるぞ!」


「ありがとうございます。どうやらそうみたいです」


「まあ、俺は最初から『太陽の幼樹』がすごいということはわかっていたがな。なんたってあのタカラのギルドだからな!」


ランドルは得意げな表情でそう言う。


「そう言えば第4部隊に所属していた冒険者のやつから、タカラが『漆黒の暴君』のネリを跪かせていたと聞いたんだが本当か?」


ランドルが思い出したようにそう尋ねる。


「まあ、本当といえば本当ですけど……別に僕がやらせたわけじゃありませんよ?」


タカラは慌てた様子でそう言う。


「そうか、本当だったのか。最初聞いたときは全く信じれなくて何人かの冒険者に聞き直したんだが、みんな口をそろえてそう言うもんでな。まさかあのネリがそんな行動をするとは……いったいなにがどうなったらそうなるんだ?」


ランドルが興味ありげにそう尋ねる。

まさかあのネリが誰かに跪くなど想像もできないのであろう。


「いや、別に何もしてませんよ。いきなり向こうからやってきたんです」


タカラはそう言うがランドルはそんなはずはない、といった様子で疑っている。


「……まあいい。とにかく最近『漆黒の暴君』は悪さもしなくなったようだしな。よかったよ」


ランドルはそう言いながら椅子にもたれかかる。


こうしてランドルとの雑談も終わりタカラはギルドに戻ろうとする。

するとタカラは、目の前から珍しい男が歩いてくるのを確認する。

今話題のあの人だ。

どうやら向こうもタカラに気づいているようだ。

その男はタカラの目の前で止まると、


「タカラ殿とこんなところで会うとは。この前の大規模都市防衛戦、お疲れ様です」


その男はそう言うと丁寧に頭を下げる。


「僕もこんなところでお会いできるとは思いませんでした。大規模都市防衛戦、お疲れ様でした」


タカラもそう言って頭を下げる。


「よく考えてみればタカラ殿とこうやって2人でちゃんと話すのは初めてですな。改めて、『虹音の協奏曲』のギルドマスター、ドーラムと申します。以後よろしく」


『虹音の協奏曲』のギルドマスターであるドーラムはそう言いながらタカラに握手を求める。


「『太陽の幼樹』のギルドマスター、タカラです。よろしくお願いします」


タカラはそう言ってドーラムの手を握る。


「最近何やら私たちのギルドがかなり噂されているようで。そのせいで『虹音の協奏曲』のメンバーも『太陽の幼樹』のことをかなり意識していますよ」


ドーラムが早速そのように切り込む。


(へえ、まさか『虹音の協奏曲』のほうからその話題を持ち出してくるなんて。《月刊ニューヒーローズ》のギルドランキング上位に食い込むほどのギルドだからどっしり構えているのかと思ったけど、意外とそうでもないんだね。思ってた以上に『太陽の幼樹』のことを意識してるようだ)


タカラはドーラムの話を聞きながらそう思う。

ドーラムはタカラの反応を観察しながら話を続ける。


「特にタクトのやつが予想以上に『太陽の幼樹』のことを気にしてましてね。こんなことはめったにないので私も驚いているんですが。まあ、『太陽の幼樹』にはタクトと同じ魔導剣士もいるようですし、何か思うところがあるのでしょう。ちなみに私が一番気になっているのはタカラ殿ですけどね」


ドーラムは笑いながらタカラにそう言う。

笑ってはいるが目の奥は笑っておらず、ずっとタカラを観察しているようである。


(さすが、ギルドランキング上位のギルドマスターともなると駆け引きが上手だね。これは下手なことはしゃべれないね)


タカラはそう思いながら久々に会話に緊張感があるのを感じる。


(でも、まさか『虹音の協奏曲』のエースがセトのことを気にしているなんて。これはいいことを聞いたね。セトも戦ってみたいって言ってたし……いっそのこと誘ってみようか?)


どうやらタカラは、セトが誰にも聞かれないようにぼそっと言っていたことを聞いていたようだ。

そう思うとタカラは、


「まさかあのタクト君が『太陽の幼樹』のことを気にかけてくれているとは嬉しい限りです。実はうちのセトもタクト君に興味があるようなんです。なので、もしよければ2人で手合わせしてみるなんてどうですか?   『太陽の幼樹』としても今後『虹音の協奏曲』とは交流を深めていきたいですし」 


タカラがそう言うと、


「……少し申し上げにくいですが、タクトは『虹音の協奏曲』のエースですし、何よりこちら側には何のメリットもないでしょう? 何かこちらにもメリットがあればいいのですが……」


ドーラムはそう言って腕を組みながら考えるふりをする。そして、


「わかりました。ではタクトとセトさんを手合わせさせる代わりに私もタカラ殿と手合わせをするというのはどうでしょう?」


ドーラムはそう言う。

おそらくセトの実力だけでなく、タカラの実力も知っておきたいということなのであろう。

さすがギルドランキング上位に位置するギルドのギルドマスターだけあってなかなか交渉が上手である。


「わかりました。僕でよければいいですよ。ではそれでお願いします」


タカラはあっさりとドーラムの提案を受け入れる。

もちろんタカラもドーラムの思惑は見抜いている。

そのうえであっさり承諾したのだ。

タカラも何か考えていることがあるのだろう。


「おお、ありがとうございます! それでは3日後の昼過ぎに東門から数キロ離れた高原でどうです?」


「はい、それで大丈夫ですよ」


タカラは笑顔でそう言う。

こうしてみんなの知らないところでセトとタクト、タカラとドーラムという夢の対決が約束されたのである。


読んでくださりありがとうございます!

初めての小説投稿ではありますが、小説化、漫画化目指して頑張ってます。

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そして、コメントや感想などもお待ちしています!

よろしくお願いいたします。

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