第82話 絶体絶命
お世話になっております。ヘイホーみりと申します。
この作品を選んでいただきありがとうございます。
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第4部隊はセトやムサシ、ブランの働きもあり、戦闘を有利に進めていた。
にもかかわらず、魔物の数が一向に減る気配がない。
単純に魔物の数が多すぎるのだ。
冒険者たちはずっと戦いっぱなしである。
「いったい何体いるのよ。きりがないわね」
「……明らかに異常だな」
セトとムサシはそう言いながらもどんどん魔物を倒していく。
しかし、他の冒険者はそういうわけにもいかず、次第に負傷者が増えていく。
回復のためにその場を離脱していく冒険者も増えてきた。
そうなると、他の冒険者の負担がさらに増え、さらに負傷者や離脱者が増えていく。
負のループである。
それでもセトとムサシは最前線で戦っている。
しかし、その代償として、セトとムサシに魔物が集中してしまう。
(くっ……これ以上増えたらさすがにさばききれないぞ!?)
ムサシはそう思いながら魔物の攻撃を何とかさばき、反撃に転じている。
並の冒険者であればもうとっくに魔物にやられているであろう。
この数の魔物の攻撃をさばききりながら、さらに反撃までしているムサシが異常なのだ。
そこに関してはセトも一緒である。
それでもやはり、これ以上魔物が増えればセトとムサシは負傷してしまうだろう。
何事にも限度というものがあるのだ。
セトとムサシが奮闘している一方で、コバルトも素晴らしい戦いぶりを見せていた。
(セトとムサシはもうあんなところまで……僕も早く追いつかないと)
コバルトはそう思いながら必死に剣を振る。
セトとムサシはものすごい勢いで魔物を倒していくので、だいぶ先のほうへと行ってしまったようだ。
コバルトとは少し離れてしまっている。
しかし、それはセトとムサシが強すぎるからである。
コバルトも他の冒険者と比べるとよく戦っているほうである。
他の冒険者はほとんど負傷して回復のためいったん離脱しており、コバルトの周りにはほとんど冒険者はいない。
コバルトはすでにB級冒険者相当の実力は余裕であるのではないだろうか。
必死のセトとムサシを追っていたコバルトであったが、突然上空から一匹の魔物がコバルトめがけて飛んでくる。
コバルトは上空まで気を配れておらず、反応が遅れてしまう。
「くっ……」
何とか間一髪でよけたものの、コバルトは負傷してしまい、左手から血を流している。
コバルトを襲った魔物は大きな鳥の姿の魔物であり、翼が刃物のように鋭くなっている。
(ブレイドイーグル!? こんなときにA級の魔物に出くわすなんて……ついてないな。右手が無事だったのが不幸中の幸いか……)
コバルトはそう思いながら右手で剣を構える。
しかし、最悪の状況には変わりない。
B級冒険者相当の実力でははっきり言ってA級の魔物を倒すことは難しい。
(この場から逃げるのが一番いいだろうけど、ブレイドイーグルも簡単には見逃してくれないだろう。誰かが来てくれると信じてなんとか時間を稼ぐしかない)
コバルトはそう思うと覚悟を決める。
「行くぞ!」
コバルトは自分で自分に喝を入れながらブレイドイーグルに立ち向かっていく。
コバルトは何とかしてブレイドイーグルの懐に入ろうとするが、ブレイドイーグルも簡単にはそれを許してくれない。
すぐさま上空へと逃げてしまう。
そして、コバルトの隙を伺いながら、飛んだままかぎ爪で攻撃しては距離をとるの繰り返しである。
ヒットアンドアウェイ戦法だ。
魔物にもかかわらず、それなりに知能もあるようである。
さすがはA級の魔物である。
(このままではやられてしまうのも時間の問題だ……何とかしないと)
コバルトがそう思いながら焦っていると、ブレイドイーグルが上空へと舞い上がり、翼を羽ばたかせる。
そして、無数の刃の雨をコバルトめがけて放つ。
(あの数はまずい! 防ぎきれない!)
コバルトは瞬時にそう悟る。
しかし、無数の刃はもうすぐそこまで迫ってきており、コバルトにはどうすることもできない。
コバルトが諦めかけて目をつむったその時、
ーーガキキキキン!
金属と金属がぶつかり合ったような音が響く。
コバルトが目を開けると、そこにはガンテが立っていた。
ガンテが盾でブレイドイーグルの攻撃を防いでくれたのだ。
「コバルト、危なかったな。ギリギリだったぞ」
「ガンテ!」
コバルトの表情がパッと明るくなる。
もう駄目だと思った矢先、頼りになる仲間が助けに来てくれた。
そんな状況にコバルトは胸を熱くする。
「ありがとう! 助かったよ」
「ああ。でも落ち着いている暇はないぞ。俺が来たからといってあいつに対する有効打がないことは変わりない」
ガンテはブレイドイーグルから目を離すことなくそう言う。
確かに、地上での戦いであればガンテのスキル:<カウンター>が使える場面もあったかもしれないが、ブレイドイーグルは空中にいる。
さすがのガンテであっても、空中の敵にカウンターを決めるのは難しいだろう。
(打つ手はないけど、このままA級の魔物を放っておくわけにもいかない)
ガンテとコバルトはそう思ういながら再び武器を構える。とその時、
「何やら苦戦してるみたいだねえ」
そう言って一人の大きな体の女性がガンテとコバルトに近づいてくる。
「お前は……『漆黒の暴君』のオルディン!」
ガンテはその女性を見て驚いたようにそう言う。
『漆黒の暴君』とのギルド対抗戦でガンテと戦ったオルディンがやってきたのだ。
「お前、何しに来たんだ?」
「何しにって、助太刀に決まってるだろう? お前たちも打つ手がなさそうだしねえ」
オルディンはそう言って、両手を構える。
オルディンの両手にはグローブとメリケンサックがはめられている。
「助太刀って言ったって、お前の戦闘スタイルではいてもいなくてもそんなに変わらないぞ?」
オルディンの様子を見たガンテがそう言う。
オルディンは4大ギルドの一角である『漆黒の暴君』のギルド対抗戦のメンバーに選ばれるほどの実力者であり、実際ガンテもオルディンにかなり苦しめられた。
オルディンはそれほどの実力者である。
しかし、オルディンのスキル:<波動拳>は相手に攻撃を当てなければ意味はない。
それに、オルディンは素手で戦うので、リーチが短く、空中にいるブレイドイーグルに攻撃を当てることは不可能に近い。
なので、今回はガンテの意見に賛成せざるを得ない。
「お前たちはあれからさらに強くなったみたいだけど、それは私たちも一緒だってことよ。『太陽の幼樹』とのギルド対抗戦以降、私たちのギルマスは人が変わっちまってね。それで私たちも心を入れ替えて修行に打ち込んでたってわけさ」
オルディンはガンテにそう説明する。
するとオルディンは体制を低くしながら右手を引いて、右手に力をこめる。
「まあ、しっかり見ときな。行くわよ! 波動砲!」
オルディンはそう言って、空中にいるブレイドイーグルに突きを放つ。
すると、オルディンの拳から衝撃波が発生し、ブレイドイーグルに向かって飛んでいく。
そして、見事ブレイドイーグルに命中する。
「キエェェー!」
ブレイドイーグルは体勢を崩し、そのまま地面に落ちてくる。
「すごい!」
「そんな使い方があったなんてな」
コバルトとガンテも驚いたようにそう言う。
「私たちもただただ時間を無駄にしていたわけじゃないのさ」
オルディンは得意げにそう言う。
「あいつが空中に行ったときは私に任せな! これでさっきよりはましだろう?」
「ああ、助かるぜ!」
「ありがとうございます!」
ガンテとコバルトは笑顔でそう言う。
こうして3人は、なんとかブレイドイーグルを地上戦に引きずり込むことに成功するのである。
読んでくださりありがとうございます!
初めての小説投稿ではありますが、小説化、漫画化目指して頑張ってます。
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