第8話 港町「オーシャン」
お世話になっております。
ヘイホーみりと申します。
この作品を選んでいただきありがとうございます。
誤字・脱字、おかしな点がありましたら教えていただけると嬉しいです。
この回は個人的に好きな回です。
みなさんにも気に入っていただけると嬉しいです。
高原での魔物退治から数日間、セトとムサシの二人は必死になってクエストを頑張っていた。
タカラから出された毎日のノルマを成し遂げるためだ。
ちなみに今日の課題はE級相当クエスト3つ、D級相当クエスト1つ。
ただし、魔物の討伐クエストに限る、というものであった。
慣れている冒険者ならまだしも、冒険者を初めて数日の人にこなせる量ではない。
しかし、逆を返せば、それだけ2人の成長が著しいということである。
「……タカラ、急に厳しくなったな。こんなの終わるわけない」
ムサシが愚痴を言う。
今日一日ずっとこの調子である。
「ムサシって口数少ないけど愚痴になるとたくさんしゃべるよね。まあ、私もそう思うけど……ってこの調子じゃノルマ終わらない! ムサシ、急ぐよ!」
セトが言い終わると同時に慌てて走り出す。
「……」
ムサシも黙ってセトについていく。
そして、日が暮れるころにようやく今日のノルマを達成する。
♢
ギルドに帰ってきた2人は椅子に倒れこむように座る。
「疲れたー!」
セトが疲労困憊の様子でそう言う。
ムサシは疲れすぎて黙りこくったままだ。
「二人ともお疲れ様です。あの量のクエストをこなしてくるとはさすがですね。このままいけばこのギルドは安泰ですね。さあ、ご飯ができてますよ。冷めないうちにどうぞ」
そう言いながら、ロキが2人をねぎらう。
(毎回ロキの言葉に救われるわ)
(ロキは神だ!)
セトとムサシはそう思いながら、ご飯をものすごい勢いで食べ始める。
するとそこへタカラが戻ってきた。
「おっ、二人ともお疲れ様。無事ノルマ達成したようだね。まさか達成できるとは思わなかったけど。すごい成長速度だね」
タカラはそう言い、ご飯を食べ始める。
セトとムサシは食べるのをやめ、えっ、できると思ってなかったの? というような顔でタカラを見つめている。
そんな二人をよそ目にタカラが、
「まだ先の予定だったけど、2人の頑張りに免じて明日港町までセトとムサシ専用の武器を買いに行こう」
そうタカラが言うと、2人は目を輝かせて喜ぶ。
これは決して自分の武器を買ってもらえるから喜んでいるのではない。
明日はノルマがないということに対して喜んでいるのだ。
そんな二人の気持ちには気づかず、タカラは2人の様子を見て、
(よっぽど自分の専用武器が嬉しいんだね)
と思いながら満足そうにうなづき、そんなタカラを見てロキはほほえましく思うのであった。
次の日、ロキ以外の3人は早起きをして港町「オーシャン」へと出発した。
港町「オーシャン」
この町は海に接しており、海を隔てた異国と貿易を頻繁に行っており、様々な物資がそろう町である。
当然その中には武器も含まれ、多くの武器が取り扱われている。
(港町であれば2人にあった武器も見つかるだろう)
タカラはそう思いながら、ゆっくりと馬車に揺られるのであった。
港町には日が沈む頃に到着した。
「もう店は閉まってしまう時間だし、今日は宿に直行しよう」
タカラはそう言って、セトとムサシを連れて宿へと向かう。
「今日はもう遅いから宿の食堂でご飯を食べよう」
タカラはそう言って、セトとムサシを連れて食堂へ行き、それぞれ食べたいものを頼む。
ムサシのご飯が一番に運ばれてきたので、ムサシは自分のご飯をもって空いているテーブルを探し、座ろうとすると、
「おいっ、お前! ここの席は俺が先に取っていたんだ。他のとこに行ってくれるか?」
と突然席をどくように言われる。
ムサシが声の主のほうを向くとそこには、ムサシと同じくらいの年齢の少年が立っていた。
腰には剣を携えている。
(こいつ、冒険者か?)
ムサシがそう思っていると、少年の後ろからがたいの大きな男が現れ、少年にげんこつをくらわす。
「おい、コジロー! お前何やってんだ! 明らかにお前のほうが後だっただろ! ほら、謝れ!」
大きな男はそう言って少年の頭をつかみ、無理やり謝らせる。
「坊主、すまんな。今日のところは見逃してやってくれ。次会う時までにはもうちょっと礼儀を教えておくから」
男はそう言って、少年と一緒に他のテーブルを探しに行く。
ちょうど入れ替わりぐらいで、タカラとセトもテーブルにやってきた。
「どうしたの? もめごと?」
セトは不安そうにムサシに尋ねる。
「……いや、なんでもない」
ムサシは何もなかったかのようにご飯を食べ始める。
「あの二人、冒険者だろうね。特に大きな男のほう、相当強い。少年も将来有望だね」
タカラは先ほどの二人の後姿を見ながらそう言う。
(……コジローか……次会う時なんてあるのか?)
ムサシはそう疑問に思ったが、まあないだろうと考えるのをやめる。
♢
「あの子、将来強くなるだろうな。今はまだお前のほうが強いが、うかうかしてたら足元すくわれるぞ」
先ほどのがたいの大きな男は言う。
「うるせーな。俺は今下を見てる余裕なんかねーんだよ。ギルドに戻ったら倒さないといけないやつがごろごろいるっていうのに」
コジローはめんどくさそうに言う。
(どうせもう会うことはねーよ)
コジローはそう思いながらご飯を食べるのであった。
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