第71話 魔導士の天敵
お世話になっております。ヘイホーみりと申します。
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続いてギルド対抗戦2回戦。
『太陽の幼樹』の2番手はブランである。
「じゃあ、行ってくるねー!」
ブランはいつものように飛び出していく。
『太陽の幼樹』の他のメンバーもいつものようにブランを送り出す。
ブランが闘技場に姿を現すと、観客席から多くの声援が飛んでくる。
「ブランちゃーん、がんばってー!」
「『漆黒の暴君』なんかやっつけちゃってー!」
どうやらここ最近ずっとギルド対抗戦に出ていたおかげで、ブランにすごい魔導士という認識が定着したのであろう。
すごい人気ぶりである。
声援の比率的には女性のほうが多めである。
おそらく、可愛らしい見た目と天才的な魔法センスのギャップにやられるのではないだろうか。
「向こうはブランってやつですね。『太陽の幼樹』を代表する魔導士です」
『漆黒の暴君』の1人が『漆黒の暴君』のギルドマスターであるネリにそう説明する。
「相手が魔導士なら俺の出番だろ。なあ、頭?」
ブランが魔導士と聞き、一人の男が名乗りを上げる。
見た目は細マッチョのイケメンだ。
名乗りを上げた男を見て、ネリはにやりと笑う。
「ああ、そうだな。お前以上の適任者はいないな。頼んだぜ、ジェナート」
ネリはそう言ってジェナートを送り出す。
ジェナートが闘技場に姿を現すと観客席がざわめく。
「おい、あれジェナートじゃねーか?」
「“魔導士狩り”のジェナートだ!」
「これは『太陽の幼樹』のブランであってもやばいんじゃないか?」
どうやら『漆黒の暴君』のジェナートはこの都市では知られている名前らしい。
“魔導士狩り”という気になるワードもちらほら聞こえてくる。
「それでは、試合始め!」
審判の合図によって2回戦が開始される。
「行くよー!」
ブランはそう言いながら開始と同時に魔法を放つ。
「“神速の雷槍”」
数十本もの雷の槍がジェナートめがけて飛んでいく。
しかし、ジェナートは特に動く様子もなく、その場に突っ立ったままである。
雷の槍はそのままジェナートに直撃するかのように思われたが、ジェナートに直撃する寸前で雷の槍が壁のようなものにぶつかってはじき返され、ブランのほうへと向かっていく。
「“風魔の翼”!」
ブランはとっさに魔法を唱えると、間一髪で雷の槍を回避する。
「危なかったー!……なにしたの?」
「ふっ、そんなのは自分で見極めるもんだぜ?」
ブランの問いにジェナートは笑顔でそう言う。
「タカラ、今の何?」
「僕もよくわからなかったよ……」
セトやタカラも何が起きたのかよくわかっていないようだ。
タカラはジェナートのステータスを確認する。
ステータス
体力:C
魔力:B
パワー:D
スピード:B
知力:B
器用さ:C
スキル:<魔法反射>
「どうやらスキル:<魔法反射>というのを持っているらしい。さっきのもそのスキルじゃないかな?」
ステータスを確認したタカラはそう説明する。
(それにしてもスキル:<魔法反射>か……魔導士の天敵のような存在だね。“魔導士狩り”と呼ばれているのもうなずける。ブランも一筋縄ではいかないだろうね)
2人の試合を見ながらタカラはそう思う。
タカラの予想通り、ブランは攻めあぐねているようである。
先ほどから様々な魔法を試しながら攻撃してはいるが、スキル:<魔法反射>によってことごとく跳ね返されているようである。
しばらくすると、ブランは突然攻撃をやめる。
「どうした? もう終わりか?」
ジェナートが笑いながらそう言う。
「うん、もうやめた!」
ジェナートの問いかけに対し、ブランはそう言う。
その言葉にジェナートはもちろん、観客席にいた人たちや『太陽の幼樹』のメンバーまでも耳を疑う。
「ふっ……はは……はははっ、それはいい! じゃあ降参でも何でもしてくれ!」
ブランの言葉にジェナートは呆れたように笑いながらそう言う。
「違うよ。さっきまではどうやったら攻撃が通るかボクなりに考えながら魔法を使ってたんだけど、考えるのをやめるってことだよ。よく考えたらボクって考えるの苦手だし……だから、何も考えずにボクの魔力を全てぶつけることにしたよ」
ブランは無垢な笑顔でそう言う。
「ふっ、お前は今までの攻防で何も学ばなかったのか? 何をやっても結果は同じだ!」
ジェナートは自分のスキルである<魔法反射>に絶大な自信を持っているようだ。
そんなジェナートを無視して、ブランは両手を前に突き出し、魔力を溜め始める。
魔力はどんどんブランの両手に溜まっていき、次第にうなり声のような大きな音を立てるほど大きなものになっていく。
最初は余裕そうな表情をしていたジェナートであったが、次第に余裕がなくなっていき、顔がどんどん青ざめていく。
(なんなんだよ、あの魔力量は!? 明らかに異常だろ!?)
ジェナートはブランの両手に溜まっている魔力を見つめながらそう思う。
「こっ、来いよ! 俺のスキル:<魔法反射>は無敵だ! なんだってはね返してやる!」
ジェナートは強がってそう言うが、腰は引けており、明らかにびびっている。
(……ブランまさか……その両手の魔力を放つわけじゃないよね? そんなことしないよね?)
タカラもブランを見ながら焦り始めている。
そして、タカラのその予想は現実のものとなる。
「“魔力最大出力限界凝縮・魔力収束砲”!」
ブランの両手からありったけの魔力を凝縮した、何の変哲もない魔力塊がものすごい勢いでジェナートめがけて飛んでいく。
それをジェナートはスキル:<魔法反射>で受け止め、はじき返そうとする。
一瞬ブランの攻撃が止まったが、次の瞬間ブランの攻撃を止めていた透明な壁のようなものが壊れて、ジェナートに直撃する。
「う……うぅ……うぁぁー!」
ジェナートに直撃すると同時にすさまじい衝撃が闘技場を襲う。
(なんて威力だ! 僕があらかじめ“防御結界”を張っておかなかったらどうなっていたことか!)
タカラはとっさに“防御結界”を張っておいてよかったと心から安堵する。
冒険者同士が戦うということもあり闘技場には冒険者協会が施した防御結界が張ってあったのだが、それではこの衝撃を防ぎきれなかったであろう。
タカラが瞬時に危険を察知して“防御結界”を上乗せして張っていたおかげで観客席に被害は出ていないようだ。
「回復魔導士! 急いで!」
審判が慌てたようにそう言う。
ギルド対抗戦でけが人が出ることはしょっちゅうなので、回復魔導士もスタンバイしているのだ。
「テルル、僕たちも行こう!」
ジェナートがかなりの傷を負っていると判断したタカラはテルルを連れてジェナートのもとへ向かう。
そのおかげもあり、ジェナートは難なく一命をとりとめたようだ。
「勝者、『太陽の幼樹』ブラン!」
審判がそう宣言する。
「最後の、すげえ魔法だったな!」
「あんな威力の魔法見たことないよ!」
「魔導士が“魔導士狩り”に勝利しちまったぞ!」
観客席は大迫力の魔法にかなり興奮しているようだ。
「ただいま闘技場の修復作業を行いますので、しばらくお待ちください」
審判からそのようなアナウンスがある。
先ほどのブランの攻撃により、観客席に被害は出なかったものの、闘技場は一部半壊状態である。
「ブラン、やりすぎだよ……」
「……それは確かに」
タカラとムサシが呆れ気味でそう言う。
「そう? ボクは楽しかったよ? なんだかすっきりしたし!」
ブランはのんきにそんなことを言っている。
本当にマイペースな性格である。
こうして『太陽の幼樹』は2試合目も勝利し、リードを拡げるのであった。
読んでくださりありがとうございます!
初めての小説投稿ではありますが、小説化、漫画化目指して頑張ってます。
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