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第70話 因縁の相手

お世話になっております。ヘイホーみりと申します。

この作品を選んでいただきありがとうございます。

誤字・脱字、おかしな点がありましたら教えていただけると嬉しいです。



『太陽の幼樹』と『漆黒の暴君』のギルド対抗戦当日。

冒険者協会が所有している闘技場周辺にはいつもとは比べ物にならないほど大勢の人が集まっている。

それもそのはず、今話題の『太陽の幼樹』と広域中核都市「ベーサイド」の4大ギルドの一角である『漆黒の暴君』の一戦が行われると聞き、みんなどっちが勝つか気になっているのだ。


タカラ達はいつものように闘技場に入る。


「わぁ……いつにもまして人が多いわね」


観客席に収まりきらないほどの人を見てセトはそう言う。

観客席には一般人だけでなく、冒険者と見受けられる集団もたくさん見に来ている。

その中には、広域中核都市「ベーサイド」の4大ギルドである『金色の獅子』や『銀牙の大狼』、『銅皮の巨象』の姿も見られる。

そしてなんと、この都市一番のギルドといわれている『虹音の協奏曲』の姿も見られる。


「おい、見てみろ! 『金色の獅子』や『銀牙の大狼』、『銅皮の巨象』……残りの4大ギルドが勢ぞろいだぞ……」


「いやいや、それよりもあっちだ! 『虹音の協奏曲』まで来てるぞ!」


4大ギルドに加えて、『虹音の協奏曲』まで(そろ)うというなかなかお目にかかれない光景に、観客席はざわめき立っている。

彼らが『太陽の幼樹』を見に来たのか、それとも同じ4大ギルドの『漆黒の暴君』を見に来たのかはわからないが、今回の一戦はかなり注目されているようである。


「さぁ、ついにこの時がやってきたね。みんな今まで本当に良く辛抱したよ。でもそれも今日までだ。今日は一切遠慮する必要はない。僕たちの強さを『漆黒の暴君』に、そして今日この闘技場に来ている人たちに見せつけよう!」


タカラがそう言いながらみんなを鼓舞(こぶ)する。

タカラの言葉を聞いたメンバーはみんな大きくうなずく。


「みんな、がんばってね! あんな奴らさっさとやっつけちゃいなさい!」


「みなさん、応援してます!」


「が、頑張ってください!」


ギルド対抗戦に出ないメンバーもそのように声をかける。


「よし、そろそろ一回戦が始まるよ。コバルト、頼んだよ」


「はい、任せてください! この戦いは僕が自分で招いたことです。なので、一回戦しっかり勝ってみなさんにつなぎます」


コバルトはそう言いながら闘技場の中央へと出て行く。

今回の『漆黒の暴君』とのギルド対抗戦の発端であるということを気にしているのか、いつも以上に気合が入っている。

コバルトは闘技場の中央で相手と対峙する。


「よぉ、久しぶりだな。お前が逃げださなくてよかったぜ。これでお前をボコボコにできるからな」


コバルトの相手がそう言う。

忘れるはずがない、コバルトがもめた3人組の内の1人だ。


「俺の名前はベルだ。自分をボコボコにした相手の名前くらい知っておきたいだろ? お前が俺にボコボコにされる前に俺からの餞別(せんべつ)として名前くらい教えといてやるよ」


ベルはそう言いながらナイフを構える。


「俺はコバルト。その言葉、そっくりそのままお返しするよ。行くぞ」


コバルトはそう言って剣を構える。


「ベルー! いけー! やっちまえー!」


「そんな奴ぶっ殺せー!」


「負けたら承知しねーぞー!」


『漆黒の暴君』から野次のような声援が聞こえる。

やはり『漆黒の暴君』には野蛮な連中が多いようだ。


「それでは、試合開始!」


審判の合図で試合が開始する。


「それじゃあ、行くぜ」


ベルはそう言いながら走り出し、コバルトに近づく。

ベルがコバルトの剣の間合いに入ってくるのに合わせて、コバルトは剣を振るう。

ベルはそれを難なくかわし、コバルトの懐に入ってくる。

そしてベルはナイフを振るう。

コバルトもそれを読んでいたのか、ベルの攻撃を剣で器用に受ける。

コバルトはベルのナイフを受けきり、距離を取ろうとするがベルはそれを許さない。

懐に入ったままピタリとコバルトに張り付き、距離を離そうとしない。


(くっ、なかなか引きはがせない! 戦い慣れしてるな)


コバルトはベルを見ながらそう思う。

剣とナイフではリーチに大きな差があるので、剣のほうが有利に見えるが、懐に入られるとなると話は別である。

これだけお互いの距離が近ければリーチの短いナイフのほうが断然有利である。

それをよく理解しているベルは決してコバルトに距離を取らせようとしない。

最初のほうは何とか攻撃をさばいていたコバルトであったが、徐々にさばききれなくなり体中にナイフの切り傷が増えていく。


「おいおい、どうした? 最初の余裕はどこに行ったんだ?」


ベルは余裕のなくなったコバルトを挑発するようにそう言う。


「くっ!」


それに対してコバルトはベルの攻撃を防ぐので精一杯の様子である。


2人の攻防を心配そうに見ているタカラは、ベルのステータスを確認する。


ステータス

体力:B

魔力:D

パワー:D

スピード:A

知力:B

器用さ:B


スキル:<ナイフ操術>


ちなみにコバルトのステータスは


ステータス

体力:A

魔力:B

パワー:B

スピード:B

知力:B

器用さ:A


スキル:<オールラウンダー>


(ステータスを見る限り、そんなに実力が劣っているようには見えないけど、相手との距離を離さないことにはコバルトは厳しいだろうね。でも、相手もそれをすんなりと許してはくれないだろうね。さすがは『漆黒の暴君』というべきか……)


タカラは2人の攻防を見ながらそう思う。


「へへっ、どうだ? 俺にいたぶられる気持ちは。このままいたぶり続けるのもいいが、そろそろ頃合いだな。俺のとっておきでとどめを刺してやるぜ!」


ベルはそう言うと、隠し持っていた無数のナイフを取り出し、上空にばらまく。

そのまま重力によって落ちると思われたナイフは地面に落ちることなく、空中にふわふわと浮いている。


「どうだ? 驚いたか? これが俺のスキル:<ナイフ操術>の真骨頂だ」


ベルは得意げにそう言う。


「でた! ベルのナイフ操術!」


「いよっ! 待ってましたー!」


観客席にいた『漆黒の暴君』のメンバーも盛り上がっている。


「さあ、とどめだ! “無重力の(ノングラビティ・)ナイフ(ナイフ)”!」


ベルがそう叫ぶと、宙に浮いていた無数のナイフがコバルトめがけて飛んでいく。

誰もが終わりだと思ったその時、


「“風の障壁(ウィンド・バリア)”!」


コバルトがそう魔法を唱えると、荒々しい風の渦がコバルトを包む。

その風の渦によってコバルトに飛んで行ったナイフははじかれてしまう。


「なんだと!?」


もう決着がついたと確信していたベルは目の前に出来事にひどく驚いている。


「“風の開放(リベレイション)”!」


続けてコバルトがそう唱えると、コバルトを包んでいた風の渦が消え、同時にコバルトを中心に突風が吹く。


「くっ……うぁ!」


風の勢いに耐え切れず、ベルは壁に打ち付けられる。


「くっ、くそ! 魔法が使えるなんて聞いてねーぞ! これまでのギルド対抗戦で魔法を使ったことは一度もないはず……」


まさかの出来事にベルは混乱している。

確かにコバルトはギルド対抗戦で魔法を使ったことはないが、タカラやブラン、セトたちと魔法の修行は日々行っていた。

今まではたまたま使う場面がなかっただけである。


「“身体強化《速》”、“身体強化《力》”!」


さらにコバルトは支援魔法を自分自身にかける。

これはコバルトが『疾風の黒豹』で支援魔導士として活動していた時から使っていた魔法だ。

剣術に攻撃魔法、支援魔法と難なく使えるのはコバルトのスキル:<オールラウンダー>のおかげであろう。


「まずい!……っ痛!」


身の危険を悟ったベルは急いでコバルトとの距離を再び縮めようとするが、壁に打ち付けられた衝撃で体が自由に動かない。


「終わりだ!」


コバルトはそう言いながら剣を振り下ろす。


「や、やめてくれー!」


ベルはそう言いながら気を失ってしまう。

コバルトが振り下ろした剣はベルに当たることなく、ベルの顔の横の壁をえぐる。


「勝者、『太陽の幼樹』コバルト!」


審判の声が高らかに響く。


「やった!」


「……さすがだ」


『太陽の幼樹』のメンバーは大喜びだ。


(相手が大技を繰り出す前に見せたわずかな隙を見逃さなかった。コバルトもかなり成長してるね)


タカラはそう思いながら満足そうにうなづく。

こうしてコバルトは『漆黒の暴君』から1勝目を勝ち取るのであった。


読んでくださりありがとうございます!

初めての小説投稿ではありますが、小説化、漫画化目指して頑張ってます。

もしよろしければブックマークに追加、そして下の評価☆☆☆☆☆を押して応援していただけると嬉しいです。モチベーション上がります!

そして、コメントや感想などもお待ちしています!

よろしくお願いいたします。

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