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第60話 『中堅ギルド同盟』

お世話になっております。ヘイホーみりと申します。

この作品を選んでいただきありがとうございます。

誤字・脱字、おかしな点がありましたら教えていただけると嬉しいです。



広域中核都市「ベーサイド」にある大きな建物のある一室に8人の人物が集まっている。


「それではこれより『中堅ギルド同盟』定例会議を始めます。それではまず各ギルドの今週のクエスト受注数とクエスト達成率から報告お願いします」


8人のうちの1人である女性がそう言うと、1人ずつ報告していく。

どうやら毎週この部屋で『中堅ギルド同盟』を構成している8つの中堅ギルドのギルドマスターが集まって定例会議を行っているようだ。

8人全員がクエスト受注数とクエスト達成率の報告を終え、その後もいつも通り報告や情報の共有、今後の予定などを話し合っていく。


「以上で定例会議は終わりですね。何もなければこれで終わろうと思いますが、何かある方いますか?」


最初に開始の音頭(おんど)を取った女性が7人のギルドマスターを見ながらそう尋ねる。

すると、一人の男性が手をあげ、話し始める。


「最近闘技場で話題になっているギルドがあるのですが皆さんご存じですか? 『太陽の幼樹』というギルドらしいのですが、この都市に彗星(すいせい)のごとく現れ、ギルド対抗戦で中堅ギルドをことごとく蹴散らしているようです。今までの戦績は20戦20勝無敗だとか……」


「ほう、そんなギルドが! 知りませんでしたな」


「私は聞いたことあります。聞いたのは最近ですが」


『太陽の幼樹』を知っている人もいれば知らなかった人もいるという感じである。


「しかし、そのギルドをこのままほっとくのも我々のプライドが許しませんな」


「そうですね、出る杭はしっかり打っておかないと調子に乗るだけですから」


「ここらへんで一度痛い目を見せておくかのう」


そう言うと他のギルドマスター達も同意するようにうなづいている。


「じゃあ、俺のギルドが対応しておきますよ。最近『中堅ギルド同盟』に入ったばかりなのでここでみなさんの信頼を得ておきたいですしね」


8人の中で最も若いと思われる男が自信ありげにそう言う。


「そうですか。それではお願いするとしましょう。くれぐれも『中堅ギルド同盟』の顔に泥を塗らないよう気を付けてくださいね」


「フッ、そんなことにはなりませんよ」


若い男は鼻で笑いながらそう言う。

こうして8人は『中堅ギルド同盟』の定例会議を終え、解散する。





「今日も完勝でしたね! 『太陽の幼樹』の勢いは止まりませんよ!」


「そうだね! この調子でどんどん行っちゃおー!」


テルルとセトがそう言いながら二人で話している。

どうやら今日もギルド対抗戦に勝利したようである。


ギルド対抗戦から帰ってきたタカラ達が食卓でご飯を食べていると、昨日のようにパルルとポルルがタカラのもとに駆け寄ってくる。


「タカラ! 今日もいろいろ情報集めてたんだけど、面白い話を聞いたよ!」


パルルはそう言いながら目を輝かせている。

早くタカラに伝えて褒めてもらいたいのであろう。


「へえ、そうなんだ! 何を聞いたの?」


「なんかね、『中堅ギルド同盟』っていう人たちがね、『太陽の幼樹』について話してたよ! 出る杭は打たないと調子に乗るとか、痛い目を見せるとか言ってた! あと、『中堅ギルド同盟』に入ったばかりの人が『太陽の幼樹』の対応をするとか言ってたよ!」


「よくそこまでの情報を得られたね! 二人ともすごいよ! 大活躍だね!」


「えへへ! また情報もってきてあげるね!」


タカラは想像以上の成果に驚きながらパルルとポルルをほめる。

パルルとポルルはタカラに褒められて心底嬉しそうである。


(しかし、話の内容的に『中堅ギルド同盟』の会議での話なんだろうけど、どうやって情報を手に入れたんだろう? 会議には8人のギルドマスターがそろっているだろうし、盗み聞きするのは至難の業だと思うんだけど……さすが僕が一流の暗殺者と間違えただけはあるってことかな?)


タカラはそう思いながらパルルとポルルの手腕に感心する。


(でも、パルルとポルルにあまり無茶はしないように言っておこう。2人に何かあってからでは遅いからね)


パルルとポルルの情報にありがたいと思いつつも、タカラは心の中でそう心配する。

タカラにとってはどんなに有益な情報よりも、当然2人の安全のほうがはるかに大事なのである。

とにもかくにも、『中堅ギルド同盟』の策略は『太陽の幼樹』に筒抜けの状態となるのであった。


(それにしても、ついに『中堅ギルド同盟』が動いてきたか。ここまで約2週間だから思っていたより早いほうだったかな。明日また冒険者協会に顔を出してみようか)


パルルとポルルの話を聞き、タカラはそう思う。

タカラも『中堅ギルド同盟』がいずれ動くであろうということは予想していたが、ここまで早いとは思っていなかったようである。


(それにしても、パルルとポルルが知らせてくれなかったら『中堅ギルド同盟』への対応が遅れるところだった。心の準備をしておくだけでもだいぶ違うからね。2人には感謝だね)


タカラはそう思いながら、パルルとポルルに改めて感謝する。





次の日の昼過ぎ、タカラは冒険者協会へと訪れる。

冒険者協会の中に入ると、タカラはレミーのもとへと向かう。


「あら、タカラちゃん、いらっしゃい」


レミーはいつもの笑顔でタカラを迎える。


「レミーおばさん、こんにちは。『太陽の幼樹』に対する新しいギルド対抗戦の申請はありますか?」


「ああ、あるわよ。ちょっと待ってね」


そう言うとレミーは書類をあさり、数枚の書類をタカラに渡す。


「前に比べたらだいぶ減ったわねえ。タカラちゃんたちが倒しすぎたんじゃないの?」


レミーは冗談っぽくそう言う。


「そんなことないですよ」


タカラはそう言いながら、新しいギルド対抗戦の申請書に目を通す。


(『中堅ギルド同盟』のギルドからの申請はまだ来てないね。会議が行われたのは昨日のようだし、さすがにまだ早かったかな)


もしかしたら『中堅ギルド同盟』に加盟しているギルドからギルド対抗戦の申請が来ていると思っていたタカラだったが、どうやらまだだったようだ。


「レミーおばさん、ありがとう。また来るよ」


タカラはそう言うと、冒険者協会を立ち去ろうとする。

すると、タカラは1人の男に話しかけられる。


「君が『太陽の幼樹』のギルドマスターのタカラか? 俺は『中堅ギルド同盟』のクリニッチだ。最近の君たちの活躍は聞いているよ」


クリニッチはタカラに笑顔でそう言う。しかし、次の瞬間、


「しかし、弱い者いじめはいけないな! 自分より弱い者たちをいじめてそんなに楽しいか? 恥を知れ!」


クリニッチは突然大声を出してタカラにそう怒鳴る。

冒険者協会の中にクリニッチの声が響き渡り、何事かと思った人たちがどんどんタカラとクリニッチの周りに集まってくる。

意図的に声を(あら)げてみんなの注目を集めたのだろう。


「そんなお前たちには俺のギルドが罰を与えてやる。俺のギルドとギルド対抗戦をしろ」


クリニッチがそう言いながらギルド対抗戦の申請書をタカラに投げつける。


「いいぞいいぞ、やれー!」


「逃げんなよー!」


その様子を見ていた周りの野次馬(やじうま)たちが2人をあおる。


(ふっふっふ、俺が思っていた通りの展開だ。この状況下ではギルド対抗戦を断ることはできないだろう。あいつが冒険者協会に来るまでわざわざ待っていたかいがあったぜ)


クリニッチは今の状況に満足した様子でそう思う。

どうやらここでタカラに出会ったのは偶然ではなく、タカラが来るまで待ち伏せていたようだ。

タカラは周りの野次馬やクリニッチに動じることなく、申請書を拾い上げ、黙ってサインする。


(びびって声も出ねーか。まあ、俺たちみたいな強いギルドとやるのは初めてだもんな。初めて黒星がつくのが怖いんだろ?)


クリニッチは黙ってサインをするタカラを見ながらそう思い、ほくそ笑む。

タカラはサインをし終えると、そのまま無言でレミーに申請書を提出する。


「タカラちゃん……」


レミーは心配そうにタカラを見つめるが、タカラは反応することなく冒険者協会を出て行く。


冒険者協会を出たタカラは大きなため息をつく。


(あんな奴相手にしているだけ時間の無駄だね。『太陽の幼樹』とは目指している場所が違いすぎる。二度とあんなことが言えないように、実力の差をしっかりとわからせてあげよう)


そう思いながらギルドに帰るタカラであった。


読んでくださりありがとうございます!

初めての小説投稿ではありますが、小説化、漫画化目指して頑張ってます。

もしよろしければブックマークに追加、そして下の評価☆☆☆☆☆を押して応援していただけると嬉しいです。モチベーション上がります!

そして、コメントや感想などもお待ちしています!

よろしくお願いいたします。

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