第58話 闇夜の奇襲
お世話になっております。ヘイホーみりと申します。
この作品を選んでいただきありがとうございます。
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「おい! なんなんだ、あの強さは!? 強すぎるだろ!」
大きな声でタカラにそう怒鳴っているのはヒュンスである。
タカラとヒュンスはギルド対抗戦の後、また2人で飲みに来ていた。
ヒュンスはタカラのギルドに完敗したことが相当悔しかったのか、酒を浴びるように飲んでいる。
「ちょっとヒュンス、飲みすぎだよ」
「あんな負け方して飲まずにいられるか!」
タカラが心配そうにそう言うがヒュンスは酒を飲むことをやめない。
「くそ、道理でギルド対抗戦を申し込んでくるわけだぜ。まさかタカラのギルドがあんなに強かったとはな。この短期間であそこまで強くなれるもんなのか?」
「別に僕は何もしていないよ。みんなが一生懸命努力している結果さ」
「……」
ヒュンスは黙ったままタカラを横目でジトっと見ている。
どうやらヒュンスはタカラの言っていることを信じていない様子である。
「まあ、そんなことはどうでもいいが……しかし、今日俺のギルドに勝ったことで他の中堅ギルドが黙っていないだろうな。ギルド対抗戦で『太陽の幼樹』に勝って評価をあげようとしている奴らがたくさんいるだろうよ。タカラのギルドは駆け出しのギルドだと思われているから自分たちなら勝てると思っている奴らは多いと思うぜ」
「僕たちを絶好のカモだと思っているわけだね」
「そういうことだ」
ヒュンスにそう言われると、タカラは不敵な笑みを浮かべる。
「……タカラ、悪い顔してるぞ」
「そんなことないよ」
ヒュンスにそう指摘されるが、タカラは満面の笑みでそう答える。
♢
(あー、また飲みすぎたかな……)
ヒュンスとの飲みが終わり、タカラはそう思いながらギルド向かって歩く。
この前の反省を生かして今日は少し早めにヒュンスとの飲みを切り上げたのだが、この様子だと今回もまたお酒が明日に響きそうである。
「……」
ふと、タカラは背後に何者かの気配を感じる。
(誰かが僕のことをつけている?……はっきりとはわからないね。かなりのやり手だ。暗殺者か?)
タカラはそう思いながら周囲を警戒する。
タカラは何とか気配に気づくことができたが、他の者であれば気づかなかったであろう。
それほどのやり手のようだ。
タカラがしばらく周囲を警戒しながら歩いていると、タカラがなかなか隙を見せないことにしびれを切らしたのか、タカラをつけていた人物が暗闇に紛れて後ろからタカラを襲う。
「……!?」
手にはナイフを持っており、タカラの首元を狙ったようであるが、もう少しでタカラに刃が届くというところで身動きが取れなくなる。
「“蜘蛛の透明糸”、動けないでしょ?」
タカラはそう言いながら後ろを振り向く。
どうやらタカラはあらかじめ魔法を発動して対策していたようである。
振りほどこうと暴れているが、全く振りほどける様子はない。
(!? まだ小さな子供じゃないか!? こんな小さな子が暗殺をしようとするなんて……)
予想外の相手にタカラは驚きを隠せないでいる。
(でも、このまま見逃すのも危険だ。冒険者協会に引き渡そう)
タカラは仕方ないと思いつつ、小さな子供を拘束する。
タカラが小さな子供を連れて行こうとすると、
「兄ちゃん!」
さらに小さな子供がそう言いながらタカラのもとに飛び出して来て、タカラに泣きつく。
「兄ちゃんを返せ! 兄ちゃんを返せ!」
子供はそう言いながら、タカラをポカポカ殴る。
「ポルル! 出てくるなって言っただろ! 逃げろ!」
拘束された子供がそう言うが、もう一人の子供はタカラから離れようとしない。
(何か事情がありそうだね。少し話を聞いてみよう)
タカラはそう思い、2人を近くのベンチに座らせ、話を聞くことにする。
万が一のことを考えて、拘束はしたままである。
「君、名前は?」
「……パルル……こっちは弟のポルル」
「どうしてこんなことをしたの?」
「……お金がなくて……ポルルがお腹がすいて泣いてばかりだから……」
「毎回こんなことをしてるの?」
タカラがそう聞くとパルルは首を横に振る。
「……今までは何とか食いつないできたんだけど……もう限界で……」
パルルはそう言うとうつむいて静かに涙を流す。
(かなり大きな都市だけど、こういう子供もいるのか……)
タカラはパルルたちを見て悲しい気持ちになる。
「僕は『太陽の幼樹』っていうギルドのギルドマスターをしているんだけど、もしよかったら僕たちのギルドに来るかい?」
「……俺たちが行っていいの?」
パルルは助けを求めるような目でタカラにそう聞く。
「もちろんだよ! そのかわり、今日みたいなことはもう二度としてはだめだよ?」
タカラがそう言うと、パルルはさらに涙を流しながら大きくうなずく。
(精神的にもかなりつらかったんだろうね)
涙を流すパルルを見てタカラはそう思う。
タカラはパルルの拘束を解き、ギルドに連れて帰る。
「タカラ様、おかえりなさいませ……この2人は?」
ギルドに帰るとレフィーナがタカラを出迎える。
夜遅くだというのに、タカラのことを待っていたようだ。
「さっき会ったんだ。お腹がすいているようだからご飯を食べさせてあげて」
「かしこまりました」
レフィーナはそう言うと、2人を食卓へと連れていく。
パルルとポルルの前にご飯が持ってこられると、2人はものすごい勢いで食べ始める。
もう何日もご飯を食べていなかったのだろう。
そして、ご飯を食べ終わると、二人は安心したような表情で眠りにつく。
少し遅れて食卓にやってきたタカラが幸せそうに寝ている2人を見てほほ笑む。
(こんなところで寝ちゃって……緊張の糸が切れたんだろうね)
タカラはそう思いながら2人をベットに移動させる。
次の日の朝、タカラがコーヒーを飲んでいると、パルルとポルルがタカラのもとにやってくる。
「やあ、おはよう。よく眠れた?」
「……うん」
兄のパルルはそう言うと、何か言いたそうにしているが、なかなか言い出せない様子である。
「どうかしたの?」
それを察したタカラがパルルにそう尋ねる。
「いや……昨日はありがとう」
パルルは恥ずかしそうにそう言う。
こういうことに慣れていないのであろう。
「うん、全然大丈夫だよ」
タカラは笑顔でそう言う。
「……その……もしよかったら俺たちをこのギルドに入れてほしい。雑用でも何でもするからお願いします!」
パルルはそう言いながらタカラに頭を下げる。
「パルル、頭をあげて。君たちはもう僕たちの仲間だよ。これからもよろしくね」
「えっ……ほっ、本当にいいの?」
「もちろんだよ!」
タカラがそう言うと、パルルとポルルは満面の笑みで2人で抱き合って喜んでいる。
「タカラ、ありがとう! 俺たち何でもするから!」
パルルとポルルはそう言いながらタカラの命令を待っている。
すっかりタカラになついてしまったようだ。
(まるでしっぽを振って待ってる犬みたいだね)
タカラは2人を見ながらそう思い、笑ってしまう。
「なんで笑ってるの?」
弟のポルルは不思議そうに聞く。
「何でもないよ。じゃあ、2人にはこの都市の情報を集めてきてほしい。この都市のことなら何でもいいよ!」
タカラは笑いをこらえて、2人にそう言う。
「「わかったー!」」
パルルとポルルはそう言うと、元気よく走って行く。
タカラは2人の後ろ姿を見ながらステータスを確認する。
ステータス(パルル)
体力:B
魔力:E
パワー:D
スピード:A
知力:A
器用さ:B
スキル:<隠密行動>
ステータス(ポルル)
体力:C
魔力:D
パワー:E
スピード:B
知力:A
器用さ:C
スキル:<視覚・聴覚強化>
(昨日の夜つけられていた時かなりのやり手だなと思ったけど、パルルはスキル:<隠密行動>か。道理で僕でもわからないわけだ。それに、ポルルはスキル:<視覚・聴覚強化>か。実質スキルが2つあるようなものだね。2人とも情報収集をするにはうってつけのスキルだ)
タカラはそう思いながら満足そうにうなずく。
(今まで情報収集はロキに任せていたからどうしようかと悩んでいたけど、それも解決しそうだ)
タカラはそう思いながら嬉しそうにしている。
こうして『太陽の幼樹』には、パルルとポルルという2人の新しい仲間が加わるのであった。
読んでくださりありがとうございます!
初めての小説投稿ではありますが、小説化、漫画化目指して頑張ってます。
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