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第57話 デビュー戦

お世話になっております。ヘイホーみりと申します。

この作品を選んでいただきありがとうございます。

誤字・脱字、おかしな点がありましたら教えていただけると嬉しいです。



「2回目だけどやっぱり緊張するね」


セトはそう言いながら深呼吸をする。


「……だよな」


ムサシもセトに同意する。

ブラン以外の他のメンバーも少なからず緊張しているようである。


今回のギルド対抗戦も冒険者協会が所有している闘技場で行われる。

都市が違ってもそこは変わらないようだ。

しかし、広域中核都市「ベーサイド」の闘技場は始まりの町「コト」の闘技場よりも一回りも二回りも大きい。

観客席の数も断然こっちのほうが多い。

そして、今回は《月刊ニューヒーローズ》でギルド対抗戦のことを宣伝していないにもかかわらず観客席は満席である。

そしてもう一つ、始まりの町「コト」でのギルド対抗戦とは大きな違いがある。


「おい、今日はどこのギルドの対抗戦だ?」


「ヒュンスのとこだ。着々と実力をつけてきた中堅ギルドだな。相手は……『太陽の幼樹』? 初めて聞く名前だな。初心者ギルドか?」


「それならヒュンスのギルド一択だな。おい、俺はヒュンスのギルドに5万モルだ!」


「俺もヒュンスのギルドに10万モル賭けるぞ!」


このような感じで観客席ではお酒を飲みながらギルド対抗戦の勝者を予想して賭け事が行われている。

そう、広域中核都市「ベーサイド」のギルド対抗戦では賭け事が行われているのだ。

ちなみに、ギルド対抗戦の賭け事は広域中核都市「ベーサイド」だけではなく、ある程度大きな都市であれば行っているところは多い。

もちろん主催しているのは冒険者協会である。


(なるほど、ギルド対抗戦の勝者を予想して賭け事が行われているのか。僕がいたころにはなかったものだね)


タカラは観客席の様子を見ながらそう思う。

タカラが昔この都市で活動していたころより娯楽が発達しているようだ。

ちなみに、観客席にあるモニターのオッズを確認すると、ヒュンスのギルドのほうが圧倒的に人気である。

「ベーサイド」に来てから初めてのギルド対抗戦であり、『太陽の幼樹』は駆け出しのギルドだと思っている人も多いのであろう。

こう見ると、《月刊ニューヒーローズ》に一度取り上げられたものの、『太陽の幼樹』の知名度はまだまだということがわかる。

しかし、タカラはというと、不敵な笑みを浮かべている。


(せいぜいびっくりするがいいさ)


まもなくすると、ギルド対抗戦の1回戦が始まる。

『太陽の幼樹』の一番手はコバルトである。

『疾風の黒豹』では支援魔導士をしていたコバルトであるが、今は剣を腰に携えている。


「コバルト、落ち着いて!」


「……いつも通りでいいぞ」


セトとムサシがそう言いながらコバルトを送り出す。

タカラはコバルトのステータスを確認する。


ステータス

体力:A

魔力:B

パワー:B

スピード:B

知力:B

器用さ:A


スキル:<オールラウンダー>


(僕も初めてステータスを確認したときは驚いたんだけど、実はコバルトってステータスが意外と高くて、安定感があるんだよね。『疾風の黒豹』とのギルド対抗戦でコバルトが出場していなかったのが不思議なくらいだよ)


タカラはコバルトのステータスを確認して改めてそう思う。


(詳しく話を聞いてみると『疾風の黒豹』には支援魔導士が少なくてギルドマスターに頼まれたから支援魔導士になったらしいけど……魔力はBで結構高いし、おまけにスキル:<オールラウンダー>だから支援魔導士もそれなりにできちゃうんだろうね)


タカラはそう思いながら苦笑する。


(でもせっかくスキル:<オールラウンダー>があるのに支援魔導士だけで終わるのはもったいない。コバルトには何でもこなせるようになってもらわないと)


タカラにはそのような思惑があり、今はコバルトに剣を持たせているのだ。

そうしていると、開始の合図があり、コバルトの戦いが始まる。

相手も剣を構えており、コバルトと同じ剣士のようだ。

タカラは相手の剣士のステータスも確認する。


(ふむ、ステータス的にはC級冒険者といったところかな。コバルトは剣の修行を始めて間もないけど、これなら大丈夫そうかな)


タカラは相手のステータスを確認し、そう推測する。

タカラの推測通り、剣に慣れていない様子は見受けられたものの、特に危なげなくコバルトは勝利する。


「コバルト、ナイス!」


「……よかったぞ」


セトとムサシはそう言いながら、帰ってきたコバルトとハイタッチをする。

ブランとガンテも嬉しそうにコバルトとハイタッチをする。


「なんとか勝ててよかったよ」


コバルトはほっと安心しながらそう言う。

一方、ヒュンスはというと、


(くそ、実力的にはあんまり変わらなかったが運が悪かったな。まあ、1敗くらいは我慢してやるか)


どうやらヒュンスは、先ほどの勝負は運が悪かったと思っているようである。

確かにコバルトはまだ剣に慣れておらずぎこちなく見えたので、客観的には実力は拮抗して見えたのかもしれない。


「あー、負けちまったぜ。幸先(さいさき)が悪いな」


「まあ、実力は同じくらいに見えたぜ? たまたまだろうよ。さすがにヒュンスのギルドが負けることはないだろ」


観客席でもそのような声が多数を占めている。


『太陽の幼樹』の2番手はガンテである。

ガンテは準備をし、前に出る。

ガンテの相手は右手に剣、左手に盾を持っているオーソドックスなタイプだ。

試合開始の合図があり、2人が闘技場の中央で戦い始める。

ガンテは相手の攻撃を難なく防ぐと、相手の攻撃に合わせて得意のカウンターをお見舞いする。


「しょっ、勝者、『太陽の幼樹』ガンテ!」


審判が大きな声でそう言う。


「おいおい、どうなってるんだ? もう2敗目だぜ? あとがねーよ」


「ヒュンスの野郎、しっかりしろー!」


思ってもみなかった展開に観客席からはヤジが飛ばされる。


(まさか2連続で負けるなんて……いや、落ち着け。まだ負けたわけじゃない!)


ヒュンスはそう思いながら気を引き締めなおす。


「おい、お前たち! もう後がないぞ! しっかりしろ!」


ヒュンスは自分のギルドメンバーにもそう言って(かつ)を入れる。


『太陽の幼樹』の3番手はブランだ。


「やっとボクの出番かー!」


ブランはそう言って勢いよく飛び出していく。

ブランは闘技場の中央付近で相手と対峙する。

審判の開始の合図とともにブランは魔法を唱える。


「“破滅の業火”」


ブランがそう言いながら右手を相手に向けると、右手から勢いよく炎が噴き出し、闘技場一帯を包む。

しばらくして炎が収まるとブランの相手が倒れているのが確認できる。


「勝者、『太陽の幼樹』ブラン!」


審判がそう告げると観客席からはブーイングの嵐が巻き起こる。


「ふざけんじゃねー! 俺の金どうしてくれるんだー!」


「俺の10万モル返せー!」


「名前も聞いた事ねえギルドになに負けてやがる!」


ヒュンスのギルドのまさかの敗北に会場は大騒ぎである。


(ばっ、ばかな!? まだまだ駆け出しのギルドに俺のギルドがこうもあっさりと負けるなんて! 何かの間違いだ!)


ヒュンスもそう思いながら自分のギルドが負けたことを信じられないでいる。

しかし、そんなヒュンスをよそにして次の試合が始まる。

『太陽の幼樹』の4番手はムサシである。

ムサシは開始の合図と同時に、相手を瞬殺する。


(……あんまり手ごたえがない相手だな)


ムサシはそう思いながら何事もなかったかのようにみんなの元へと戻る。

続くセトもムサシと同じように、開始の合図と同時にものすごい速さで距離を詰め、相手を瞬殺する。

あまりの決着の速さに今までうるさかった観客席がシーンと静まり返っている。


「しょっ、勝者、『太陽の幼樹』セト! よって5対0で『太陽の幼樹』の勝利!」


静まり返った闘技場で審判がそう宣言する。


「うっ……嘘だろ!? ヒュンスのギルドが完敗じゃねーか!」


「ヒュンスのギルドはこの都市の中堅ギルドだぞ!? それなりの実力もあるってのに!」


「『太陽の幼樹』が強すぎるのか!? あいつら何者なんだ!?」


「いや、でも『太陽の幼樹』なんてギルド聞いた事ねーぞ!」


観客席ではそのような声が多く聞こえ、『太陽の幼樹』は何者なのかという話で盛り上がっている。

こうしてギルド対抗戦は多くの観客の予想に反して『太陽の幼樹』の大勝利に終わり、広域中核都市「ベーサイド」で華々しいデビューを飾るのであった。


読んでくださりありがとうございます!

初めての小説投稿ではありますが、小説化、漫画化目指して頑張ってます。

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そして、コメントや感想などもお待ちしています!

よろしくお願いいたします。

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