第5話 金の卵と銀の卵
お世話になっております。
ヘイホーみりと申します。
この作品を選んでいただきありがとうございます。
誤字・脱字、おかしな点がありましたら教えていただけると嬉しいです。
明日も5話ほど投稿しようと思っています。
タカラはいつもより少し早く目覚める。
今日は冒険者学校の特別講師をする日だ。
(よし、今日こそいい人材を見つけるぞ!)
タカラはいつになく気合が入っている。
家を出て20分ほどで冒険者学校に着く。
冒険者学校も冒険者協会と同様、町に必ず1つはある。
始まりの町「コト」では冒険者学校はここ1つである。
(ここが冒険者学校か)
タカラは目の前の建物を見上げる。
この町にしては大きめの建物である。
タカラが冒険者学校の来るのは今回が初めてである。
(僕はカインと一緒にすぐに冒険者を始めたから、ここは無縁の場所だね……いや、今日で縁の深い場所になるはずだ)
タカラはそう思い、建物の中に入る。
すると、校長と秘書がタカラを出迎えに来てくれていた。
「タカラ様、今回は特別講師を引き受けてくださりありがとうございます。S級パーティー『神秘の陽樹』の元メンバーであるタカラ様が来てくださり、生徒も大いに喜ぶでしょう。今日はよろしくお願いいたします」
校長はそう言って、丁寧に頭を下げる。
「頭をお上げください。こちらこそ依頼をくださりありがとうございます。僕自身どこまでお役に立てるかわかりませんが、今日はよろしくお願いします」
そう言って、タカラも頭を下げる。
「では案内いたしますね」
秘書がそう言い、先導する。
教室に向かっている途中、タカラは今日一番の目的を聞いてみる。
「もし今日気になる人がいれば僕のギルドに誘いたいと思っているのですが、よろしいでしょうか?」
「よろしいのですか!? こちらとしては願ってもないことですが……もちろん、こちら側としては何の問題もございません。生徒もタカラ様のギルドに入れるなら大喜びでしょう」
校長は驚きながらそう言う。
まさかそのような提案をされるとは思っていなかったのだろう。
秘書も前を向いたままであったが、驚いている様子である。
「ありがとうございます」
タカラはそう言いながら、心の中でガッツポーズをする。
教室に着くと校長からタカラの紹介があり、タカラも軽く自己紹介をする。
すると、クラスの中でざわめきが起こる。
「タカラじゃん、すげー!」
「えっ、『神秘の陽樹』の?」
「S級パーティーの人初めて見た!」
みんな興奮気味に話している。
そして校長から生徒の名簿が渡され、校長と秘書は教室を退出する。
(名簿も見せてくれるのか、名前がわからないからありがたいね……ってここ剣士クラスじゃないか! 僕は支援魔導士なんだけど……まあしょうがない。ある程度ならわかるから見てみよう)
剣士クラスとわかり、タカラは一瞬動揺したが、すぐにみんなのほうに目を向ける。
「では、今日は実技を中心に見ていこうか。じゃあ、みんな素振りから!」
タカラはそう言い、タカラによる特別授業が始まる。
(うん、みんな基本はしっかりできているね。さすがしっかり訓練されている)
タカラはそう思いながら感心する。
冒険者学校では、冒険者協会から派遣された講師によって基本に忠実な指導がなされている。
これはここの冒険者学校に限った話ではなく、どの町でもそうなのだ。
そんな中、タカラは1人の少女に目を付ける。
透け通るような肌をしており、顔はきれいに整っている。
髪は銀髪で、緑の髪飾りが特徴的である。
そして、他の子と決定的に違うのは耳がとがっているということである。
(名前はセトか。あの子、他の子より基礎ができていないけど、一人だけまとってる雰囲気が違うね。しかもあの耳……エルフか)
タカラはそう思い、ステータスを見てみる。
ステータス
体力:A
魔力:S
パワー:C
スピード:S
知力:A
器用さ:S
スキル:<剣聖>
(なんだこのステータス!? こんなステータスなかなかお目にかかれないぞ!? 金の卵じゃないか!)
タカラはそう思いながら、驚きのあまり目を見開く。
(ギルドのエースになれる器だ。それに、エルフは魔導士になる人が多いのになんで剣士クラスにいるのだろうと思っていたが……スキル:<剣聖>か。これは剣士のまま育てたほうがいいね。いや、魔力:Sを使わない手はない。とすると魔導剣士か)
タカラはそう思いながら、セトの育成計画をすでに頭の中で始めている。
(おっといけない、授業中だった。あまりにもステータスがいいからつい……セトのことはまたあとで考えるとして……他にもいい子がいないか見てみよう)
タカラはそう思い、他の子のステータスも見てみる。
(んー、後の子はE~Cの子が多いかな……おっ、あの子は……スキル:<二刀流>? 初めて見るスキルだね。名前はムサシか。それにステータスもかたよりはあるけどかなりいいね。将来性込みで銀の卵といったところかな)
ステータス
体力:S
魔力:E
パワー:S
スピード:C
知力:B
器用さ:E
スキル:<二刀流>
タカラはそう思い、ムサシにもチェックを付ける。
その後は特に何もなく、タカラは特別授業を無事終える。
タカラはその後校長室へと案内され、椅子に座りながら校長と話をする。
「それでどうでしたか? タカラ様の気になる生徒はおりましたか?」
校長が尋ねる。
「ええ、二人ほど。ぜひ僕のギルドに勧誘したいのですがよろしいでしょうか?」
「もちろんでございます! そういう約束でしたので。しかし2人もいましたか。ちなみにどの生徒ですか?」
校長は満面の笑みでそう言う。
自分の冒険者学校から2人もタカラにスカウトされて嬉しいのであろう。
今後の冒険者学校の評判につながると思っているのかもしれない。
「セトさんとムサシ君です。この二人に声をかけてみようと思っています」
「そうですか。しかしその2人とは。全く予想していませんでした。二人共学校での成績は半分より下。セトは最近入学したばかりですし、ムサシは昔からいるのですが剣の上達が遅いのですよ」
校長は少し申し訳なさそうに言う。
(セトが他の子よりできていない気がしたのはそのためか。それにムサシは器用さがEだったもんね。確かに他の子と比べると上達が遅いかもしれない。でも剣を2本持たせた時どうなるか……)
タカラがそのように思っていると、
「しかし、タカラ様が目を付けたということは私たちでは思いつかないような、何か考えがあってのことでしょう。それでは二人を連れてまいります。少々お待ちください」
校長はそう言うと、秘書に二人を連れてくるように言う。
ほどなくして2人が校長室に呼ばれてきた。
「失礼します。何か御用でしょうか?}
エルフであるセトが部屋に入ってきた。
後ろからムサシが続いて入ってくる。
二人は校長室にタカラがいるのを確認したとたん、急に不安そうな顔をした。
何かやらかしたのではないかと思ったのだろう。
それを見越した校長が2人に声をかける。
「二人ともよく来てくれた。そう不安そうな顔をするな。ここに2人を呼んだのは、タカラ様が2人を評価してくれたからだよ。そして、タカラ様から2人にお話があるそうだ」
校長がそう言うと、二人は不思議そうな顔をし、きょとんとしている。
なぜ私たちが? そのように思っているのだろう。
「二人とも、今日はお疲れ様。校長がおっしゃってくれたように、僕は2人を評価している。2人に話があるんだけど……単刀直入に言うよ。2人を僕の作ったギルドにスカウトしたいんだ」
タカラは2人の目を見つめてそう言う。
2人とも状況が理解できないようで、その場で固まっている。
読んでくださりありがとうございます!
初めての小説投稿ではありますが、小説化、漫画化目指して頑張ってます。
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