第45話 “二刀流のムサシ”
お世話になっております。ヘイホーみりと申します。
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「それでは、これより『太陽の幼樹』と『疾風の黒豹』のギルド対抗戦を始めます!」
ギルド対抗戦の審判を務める冒険者協会の者が高らかにそう宣言する。
「待ってましたー!」
「『太陽の幼樹』がんばれー!」
「セトちゃーん! 手振ってー!」
審判の開始の宣言だけで会場は大盛り上がりである。
「各ギルドのギルドマスターは前に出てきてください」
審判がそう言うと、タカラとアカヤが前に出てくる。
アカヤはタカラをにらむように見ている。
「ギルド対抗戦はギルド間の親睦を深めるのが一番の目的です。ギルドマスター同士は握手を!」
審判がそう言うと、タカラとアカヤは無言で握手を交わす。
アカヤはすぐにタカラの手を振り払い、『疾風の黒豹』のほうへと戻っていく。
タカラも『太陽の幼樹』のほうへと戻っていく。
「それでは第一試合を始めたいと思います! 両選手は前へお願いします!」
審判が大きな声でそう言う。
「ムサシ、頑張って!」
セトがそう言ってムサシを送り出す。
「……おう」
ムサシはそう言って前に出て行く。
(1人目はムサシというやつですね。冒険者を始めて数か月のやつがのこのこと出てきて何ができるというのです? せいぜい恥をかけばいい)
アカヤはムサシを見ながらそう思う。
「ハヤト、出番です。あんな奴軽くひねってしまいましょう。『疾風の黒豹』の特攻隊長の腕の見せ所ですよ」
アカヤは一番手のハヤトを見ながらそう言う。
見た目はチャラそうな男であるが、ギルドのみんなが認める『疾風の黒豹』の特攻隊長である。
「おう! 任せとけって! あんな奴に負けねーよ!」
ハヤトはそう言いながら元気よく前に出て行く。
2人はある程度距離を取って対峙する。
「ムサシー!」
「ハヤトー! そんな奴やっちゃってー!」
2人が対峙すると、観客席から多くの声援が送られる。
ムサシに対する声援も多いが、ハヤトに対する声援のほうがわずかに多い。
それに、ハヤトはチャラいだけあって女性からの声援も多い。
ハヤトは声援に対して笑顔で手を振っている。
(あれが“疾風のハヤト”か)
タカラはそう思うと、『疾風の黒豹』側から出てきたハヤトのステータスを確認する。
ステータス
体力:B
魔力:E
パワー:C
スピード:A
知力:B
器用さ:C
スキル:<速度強化>
(なるほど、確かにこの町の冒険者にしてはステータスが高いね。B級冒険者といったところかな。でも……)
タカラがそう思っていると、
「それでは試合開始!」
審判から開始の合図が告げられ試合が始まる。
「君さ、逃げるなら早く逃げたほうがいいよ。最近みんなからちやほやされてるみたいだけど君みたいな駆け出しの冒険者が勝てるほど『疾風の黒豹』は甘くない。それに……俺以外のやつがちやほやされてるの見てると虫唾が走るんだよね」
ハヤトはそう言って、短剣をクルクルとまわしながら構える。
「まっ、結局俺からは逃げられないんだけどね」
ハヤトはそう言うとものすごい速度でムサシに近づいていく。
ハヤトのステータスのスピード:Aやスキル:<速度強化>からもわかる通り、速さに絶対の自信があるようだ。
そしてその速さが『疾風の黒豹』の特攻隊長といわれる理由でもある。
(どうせ俺のスピードについてこれないだろ。1勝目はもらったぜ)
ハヤトはすでに自分の勝利を確信しているようだ。
対するムサシはというと、試合が開始されると目をつむり、刀を抜かずに柄に手をかける。
(あいつ、びびって目つむってるぜ! もらった!)
ハヤトがムサシを見てそう思い、短剣で切りかかろうとした次の瞬間、
「居合抜刀・重ね斬り!」
ムサシがその場を動かず、目にもとまらぬ速さで刀を抜き、技を繰り出す。
気が付いたときにはムサシの刀はすでに鞘にしまわれており、試合を見ていた大多数の人はムサシが何をしたのか理解できていないだろう。
いや、刀を2本使ったことすらわかっていないのではないだろうか。
ハヤトはムサシの攻撃を真正面から受け、ムサシから少し離れたところで倒れており、全く動く気配がない。
一瞬の出来事に、闘技場には一瞬の静寂が訪れる。
審判もあまりの一瞬の出来事に試合終了の掛け声も忘れている。
「う……うおぉー! すげー!」
「なんだ今の!? 何が起きたんだ!?」
「速すぎて全くわかんなかったぞ!?」
「ムサシ強すぎだろ!」
一瞬の静寂の後、闘技場にはわれんばかりの歓声が起こる。
やはり、あまりの速さに何が起きたのかわかっていない者がほとんどのようだ。
「いいじゃねーか」
観客席で見ていたカインは満足そうに一言そうつぶやく。
「やったー! まずは一勝だね!」
セトはムサシの勝利を喜んでいる。
(まあ、そうなるよね。実力が違いすぎる)
タカラはそう思いながら、当たり前だという様子である。
一方、『疾風の黒豹』陣営はというと、
(ど……どうなっているのです!? ハヤトは『疾風の黒豹』を代表するメンバーの1人ですよ!? それをいとも簡単に……)
アカヤは目の前で起こった一瞬の出来事を信じられずにいる。
観客席にいる『疾風の黒豹』の他のメンバーも何が起こったかわからず、沈黙している。
(……いや、何かの間違いです! 駆け出しの冒険者ごときにハヤトが負けるはずがありません! ハヤトはたまたま当たり所が悪かったのでしょう。『太陽の幼樹』のやつらも運がいいですね)
アカヤはそう思い直し、頭を切り替える。
どうやら頭の切り替えの速さに関しては一級品のようだ。
ハヤトは冒険者協会が用意した回復魔導士によって治療室へと連れていかれる。
ムサシは服に汚れ一つ付けずにタカラ達のもとへと帰ってくる。
「ムサシ、ナイス!」
「……当たり前だ」
セトとムサシはそう言いながらハイタッチをかわす。
「ボクの出番はまだ!?」
ムサシの試合を見てさらにやる気に火をつけたのか、ブランは今にも飛び出して行こうとしている。
「ブランはまだだよ」
タカラは苦笑しながらブランを引っ張り戻す。
「……次、頼んだぞ」
ムサシはそう言いながらガンテに拳を向ける。
「任せときな」
ガンテはそう言いながらニッと笑い、ムサシの拳に自分の拳を合わせる。
どうやらガンテもムサシの試合を見てかなりやる気になったようである。
そして、ガンテは前へと出て行く。
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初めての小説投稿ではありますが、小説化、漫画化目指して頑張ってます。
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