第41話 暗殺計画
お世話になっております。ヘイホーみりと申します。
この作品を選んでいただきありがとうございます。
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『太陽の幼樹』と『疾風の黒豹』のギルド対抗戦まで残り1週間となった。
《月刊ニューヒーローズ》で『太陽の幼樹』が取り上げられたこともあり、『太陽の幼樹』の人気は以前よりもさらに増して高い。
セトたちは《月刊ニューヒーローズ》の取材などがあったものの、それ以外はすべて修行に費やしている。
『疾風の黒豹』のメンバーも『太陽の幼樹』に恥をかかせるために燃えているようだ。
そんな中、落ち込んだ様子で歩いている一人の男性がいる。
『疾風の黒豹』のメンバーのコバルトである。
(ギルド対抗戦まで残り1週間か。自分が戦うわけではないけど恩人であるセトさんの敵になるのは嫌だな……)
コバルトはそう思いながらため息をついている。
(そうはいっても、僕にできることは何もないし、いつも通りクエストをこなしていくか……っといけない。そういえばギルドマスターに伝言を伝えるよう頼まれてたんだった)
どうやらコバルトは『疾風の黒豹』の他のメンバーに伝言を頼まれていたようだ。
コバルトはそう思うと、『疾風の黒豹』のギルドへと行き先を変える。
コバルトはギルドに着くとギルドマスターのアカヤがいる部屋へと向かう。
コバルトがドアをノックしようとしたとき何やら話し声が聞こえてくる。
コバルトが耳を澄まして聞いてみると、ギルドマスターであるアカヤとサブマスターであるゾーダが『太陽の幼樹』とのギルド対抗戦について話しているようである。
「ギルドマスター、『太陽の幼樹』とのギルド対抗戦本当に大丈夫なんですか? あの後雑誌を読み返してみたんですが、どうやら本当にあいつらがロックドラゴンを倒したみたいなこと書いてましたよ?」
ゾーダが不安そうに聞く。
「ゾーダ、あなたまであの記事のことを信じているのですか? 普通に考えて冒険者を初めて数か月のひよっこにロックドラゴンを倒せるわけがないでしょう。少し冷静になって考えれば誰でもわかることです」
アカヤは不安そうにしているゾーダに呆れながらそう言う。
「それに、万が一のことを考えてもう手は打ってあります。私たち『疾風の黒豹』が『太陽の幼樹』に負けることは万に一つもないでしょう」
アカヤは不敵な笑みを浮かべながらそう言う。
「そうだったんですね! その手を打っているというのは?」
ゾーダが尋ねる。
「隣町を拠点としている『不穏な影』という悪徳ギルドがあるのですが、そのギルドはお金さえ払えば何でもやってくれるというギルドでしてね。これまでも強盗、人さらい、暗殺に至るまで多くの悪行を行ってきた連中です。そのギルドに『太陽の幼樹』の主要メンバーであるセト、ムサシ、ブランの暗殺を依頼してきました」
アカヤはゾーダに平然とそう答える。
「!?……なるほど。あそこは少人数ですし、3人もいなくなれば5人用意することはできませんね」
ゾーダは暗殺という言葉に若干動揺を見せながらもそう言う。
「その通りです。『太陽の幼樹』の剣士2人と魔導士を暗殺してしまえば残りは攻撃の手段を持っていないような役立たずばかりです。仮に5人用意できたとしても私たちが負けることはありえないでしょう」
アカヤはそう言いながら満足げな笑みを浮かべる。
「暗殺はいつ実行されるんですか?」
「ギルド対抗戦の前日の夜です」
アカヤはそう言うと高らかに笑う。
ゾーダもアカヤにつられて笑みをみせる。
扉越しにこの会話を聞いていたコバルトは顔を青ざめさせる。
(とんでもないことを聞いてしまった……そんなことをすれば大問題だぞ? ばれたら『疾風の黒豹』も罰せられてしまう。なによりセトさん達の命が危ない!)
コバルトはそう思うと、ものすごい勢いで走り出した。
♢
『太陽の幼樹』のギルドではタカラとロキが深刻な表情で話していた。
「タカラ君、何やら物騒な情報が入っています」
ロキがタカラにそう伝える。
ロキの表情は今まで見たこともないような深刻そうな表情をしている。
「どうやらそのようだね。さっき僕のもとにもダンロッドさんの使いの人がやって来て教えてくれたよ。『疾風の黒豹』が悪徳ギルドに依頼して『太陽の幼樹』のメンバーを暗殺しようとしているって……」
タカラは静かにそう言う。
しかし、その表情は怒りで満ちている。
「まさかそこまでしてくるとは……非常に残念です」
ロキも少し意外そうにそう言う。
まさか暗殺を計画するまでとは思いもしなかったのだろう。
するとそのとき、ギルドの扉が勢いよく開かれ、一人の男性が中に入ってくる。
その男は急いで来たためであろうか、息を切らしている。
息を切らして前かがみになっているので見えにくいが、胸元には黒豹のマークが見える。
ギルド『疾風の黒豹』のマークである。
黒豹のマークを見てタカラとロキは身構える。
『太陽の幼樹』のメンバーを殺すように依頼したギルドなので当然の反応である。
しかし、その男性はそんなことは全く気にすることなく話し始める。
「……突然すみません。『疾風の黒豹』のコバルトといいます。どうしても伝えたいことがあってやってきました」
コバルトはそこまで言うと少し息を整える。
「実は私たちのギルドマスターが隣町の悪徳ギルド『不穏な影』に依頼して『太陽の幼樹』のメンバーを暗殺しようとしています。たまたま聞いていたんですが、いてもたってもいられず気づいたらここに向かっていました」
コバルトはそう言うとまた息を切らしながら下を向く。
「……わざわざありがとう。しかし、なんで『疾風の黒豹』のメンバーである君が教えてくれるんだい?」
タカラがそう尋ねる。
タカラたちが事前に得ていた情報と同じであるので、騙されているとは思っていないが、『疾風の黒豹』のメンバーということもありコバルトのことを疑いの目で見ている。
「……僕はあなたたちのギルドのセトさんに2度も命を救われました。その恩は今後一生償っても償いきれないと思っています。そんな恩人に、恩を仇で返す様なことはしたくないんです」
コバルトはそう言いながら涙をこぼす。
コバルトは自分が涙をこぼしていることに気づくとすぐに涙をぬぐい取り、
「暗殺はギルド対抗戦の前日の夜に実行されるそうです……セトさん達をお願いします」
コバルトはそう言うと『太陽の幼樹』を飛び出す。
「……彼、泣いていましたね」
ロキがそう言う。
「うん、そうだね。でも今はまだ彼を完全に信用するわけにはいかないよ」
タカラはそう言う。
タカラもコバルトに冷たく接していたのは十分よく理解している。
しかし、タカラがそうせざるを得ないということはコバルトも理解していただろう。
だからこそ、用件だけ伝えてそれ以上は何も言わずに『太陽の幼樹』を飛び出していったのだ。
タカラもロキもそれは十分わかっている。
「それにしても『不穏な影』ですか。隣町「ベーサイド」を拠点に活動している悪徳ギルドですが、悪いうわさしか聞きませんね」
ロキは『不穏な影』の名を聞いたことがあるようだ。
始まりの町「コト」にも悪徳ギルドが存在することには存在するが、暗殺のような明らかな犯罪をしている悪徳ギルドはない。
隣町「ベーサイド」は始まりの町「コト」とは比べ物にならないほど大きな町であり、世界中にいくつか存在する広域中核都市の役割も果たしている。
町の規模が大きい分、悪徳ギルドの規模もでかくなっており、『不穏な影』のような大きな悪徳ギルドも存在するのだ。
始まりの町「コト」では暗殺を依頼できる悪徳ギルドがなく、隣町の悪徳ギルドに依頼したのであろう。
「まずはなんといってもセトたちの命が優先だ。絶対に暗殺なんて実行させない」
タカラは鋭い目つきでそう言う。
「そうですね。みなさんは1週間後のギルド対抗戦に向けて修行を頑張っています。一生懸命頑張っている彼らの邪魔をする必要はない。ここは私たち大人の出番ですね」
ロキはタカラにそう言いながらニコッと笑う。
「そうだね、ロキさん。『太陽の幼樹』に手出ししようとしたことを後悔させないと」
タカラはそう言うと冷たい笑みを浮かべるのであった。
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初めての小説投稿ではありますが、小説化、漫画化目指して頑張ってます。
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